【不登校】小学生の不登校。再登校後のフォローもしっかりと!

不登校だった子がようやく登校する気に。これまで、クラスメートや担任の先生からこまめに連絡をもらい、休みの日には遊びに誘ってもらったり。一方の親御さんもカウンセリングでのアドバイスを受け、必死な対応の毎日だったと思います。そんな努力が報われ、我が子がやっと登校する気になったのです。そして、友だちに迎えに来てもらい、とうとう再登校の第一歩が切れたのです。

「やれやれ。これで一安心」・・。カウンセラーももちろんそう申し上げたいのですが、しばらくは「再登校後のフォロー」をしっかりと頑張ってください。休んでいた期間に応じて勉強の遅れがあったり、休みはじめる前と比べてクラスの雰囲気や友だちのグループが変わっていることもあります(浦島太郎状態)。長期間の不登校+ひきこもりだった子なら体力面の心配もあるかもしれません。そうでなくても、一日中イスに座っているだけでも苦痛な場合もあるでしょう。

そうです、次は「頑張って登校をつづける」という試練が待っているのです。不登校のカウンセリングでも、「五月雨不登校(行ったり行かなかったり)」を繰り返したり、「やっと再登校したと思ったら、またすぐ不登校に」という相談も少なくありません。一方、登校が安定するまでのフォローをうまくこなしていただけると、登校が安定するだけでなく「また不登校になるのでは?」という不安さえもどんどん少なくなっていくことも十分にあるのです。

さらに、小学生の場合ならば、子どもさんのモチベーションを上げるために「プラスα」を考えてみる余地もあるでしょう。登校は「してあたり前」ではなく、「頑張った・よく我慢した」という「我慢の勲章」のような視点も加えてやるのです。「一週間がんばれたら日曜日はお寿司を食べに行こうかー」「二週間がんばれたら○○カードを1パック!」など、小学生ならでは飛びつきそうな「プラスα=ごほうび」を用意してあげると、いっそう登校のモチベーションが高まる子もいます。もちろん、ごほうびの内容や金額などはご家族次第。あくまで話をしっかり聴いてやり、当センターの他のアドバイスも実践していただいた上でのプラスαです。

2014.11.20  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2014.11.20

1.【不登校】小学生の不登校。再登校後のフォローもしっかりと!

不登校だった子がようやく登校する気に。これまで、クラスメートや担任の先生からこまめに連絡をもらい、休みの日には遊びに誘ってもらったり。一方の親御さんもカウンセリングでのアドバイスを受け、必死な対応の毎日だったと思います。 […]

2014.11.21

2.【不登校】会話の少ない時は「テレビ」などを活用して!

子どもさんが不登校やひきこもりになると、親子の会話も減ってしまうことがあります。一生懸命話しかけると嫌がられ、同じことを何回か言うと「しつこい!、うるさい!」の一言どまり・・。会話が少なくなると家庭の雰囲気も次第に暗く・ […]

2014.11.21

3.【不登校】小学生の不登校。「保健室」を拠点に教室登校へ

学校には行っているものの、なかなか教室には入れず、まずは保健室に。小学生の中には「保健室」を拠点とし、そこから少しずつステップアップしながら「教室」登校にこぎつけるケースが意外と多いのです。 数十人を受け持っている担任の […]

2014.11.26

4.【不登校】小学生の不登校。自分から友だちを誘えない内気な子

小学生の不登校の子は、学校(授業)のある時間帯は家でひっそりしているものの、放課後になって友だちから遊びの誘いがかかると、すんなりと行ける子がいます。放課後や学校の休みの日ならば近所の公園で遊ぶこともできるし、自宅で数人 […]

2014.12.04

5.【不登校】小学校低学年・中学年の「同伴登校・親子登校」

毎朝一緒に登校してやったり、授業中でも近くで見守ってやったり別室で待機してやったりと、「同伴登校」とはまさに「親子密着登校」といった感じです。以前は「小学1、2年生」の定番の再登校のステップの一つだったのですが、このとこ […]

2014.12.09

6.【不登校】小学生のさみだれ不登校は、もう一歩で安定登校!

小学生のうちは、毎朝のように学校に行き渋ったり、実際に何日か休んでしまった場合でも、「何日かに一回は登校できる」という子がいます。いわゆる「さみだれ不登校」です。さみだれ不登校は、当センターのカウンセリングでは「安定登校 […]

2015.01.18

7.【小学生の不登校】二学期の終わりに再登校できた子への親の期待

なかなか再登校ができなかった子でも、小学生の場合、二学期の後半、特に12月になると随分と授業内容が緩やかになるようです。 面談・懇談のある一週間は午前中だけの授業。それに、担任の先生の配慮によっては、「お楽しみ会」や「ク […]

2015.05.19

8.【小学生の不登校】担任の先生の「これる時にきたらいいよー」という配慮が報われない時

担任の先生の中には、毎日お忙しいにも関わらず、不登校の子がいつでも来れるようにとの配慮から「いつ来てもいいからねー」と、子どもを思いやった言葉をかけてくださる方がおられます。もちろん、そのお陰でちょっとずつ学校に行き始め […]

2015.07.09

9.【小学生の不登校】弟や妹をいじめる子

小学生の不登校の子にとって、気になる事は「再登校」「勉強の遅れ」「友だち」だけとは限りません。意外と家庭の中にも気になる事があるのです。その一つが「弟・妹」たちです。 特に弟や妹が小さい場合(0才~幼稚園)、どうしても母 […]

2016.03.01

10.【小学生の不登校】わざと親に叱られようとする子(暴言・暴力)

「わざと悪いことをして母親に叱られよう」という、いわゆる「親の気を引く行動」は、幼児(幼稚園児)や小学校低学年の子に多くみられる傾向です。子どもさんがまだまだ小さくて、親の方が力や口で勝っているうちは、「手のかかる子だな […]

関連記事

2022.03.31

不登校の解決に導く、親と子の3つのステップ

不登校の解決に導く、親と子の3つのステップ ~2月18日(金)不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会開催~ 終業式が終わりましたね。 ひとつの学年が終わり、また新たな学年が始まるということは、お子さんにとって とても […]

2014.10.28

【非行】「不良仲間との縁を切らせたい!」。その前に!

中学生・高校生の非行問題で悩んでおられる親御さんにとって、まず何よりも先に解決したいのは「不良仲間との縁を切らせること」ではないでしょうか。 「もともとは真面目な子だったのに、あの不良の子たちのせいで勉強に手がつかなくな […]

2015.04.24

【不登校】高校入学早々に「やめたい!」と言い出す子

四月も二週目になると、すでに高校の「入学式」を済まされた子も多いことでしょう。不登校の子の親御さんにとって「高校入学」は、「願ってもないやり直しのチャンス」である一方、「高校でもまた不登校になってしまうのでは・・」と不安 […]

記事一覧へ