【小学生の不登校】わざと親に叱られようとする子(暴言・暴力)
「わざと悪いことをして母親に叱られよう」という、いわゆる「親の気を引く行動」は、幼児(幼稚園児)や小学校低学年の子に多くみられる傾向です。子どもさんがまだまだ小さくて、親の方が力や口で勝っているうちは、「手のかかる子だなー」と気にはなるものの、目先の育児・家事や仕事に追われてしまい、「そのうち落ちつくだろう」「しばらく様子を見てみよう」になりがちではないでしょうか?
「親の気を引く行動」を放っておけなくなるのは子どもさんが小学校の高学年あたりになるころでしょうか。普通に口で言えばわかるのに、急にイスを蹴ったり、弟や妹をいじめたり、大きな声でわめいたり命令したり・・・、確かに親の気は引けるものの(親の)理解は到底得られません。おまけに子どもさんが反抗期(小学校4~5年生あたり)に入ってしまうと対応の方もいっそう骨が折れてしまいます。
子どもさんの年令に関係なく、親の気を引きたい子はいわゆる「かまってちゃん」が多いもの。しかし、暴言や家庭内暴力にまで発展してしまう「かまってちゃん」は、大きなストレスを抱えながらも上手に発散できていなかったり、上手に親に表現できていないのかもしれません。さらに、これから中学生・高校生になることを考えると、さすがに放っておくわけにはいかなくなってきます。
しかし、このような子をカウンセリングに連れ出すのというのは至難の業でしょう。「カウンセリング」という言葉を出しただけで「俺が悪いっていいたいのかー!俺のことをチクるんだろー!」と、暴れるきっかけになってしまうことも・・。当センターでは暴力を振るう子(本人)抜きでもカウンセリングを進めることができます。親御さんに対応を工夫していただくことで、子どもさんの知らないところで、子どもさんの知らない内に、子どもさん自身に「表現力」をつけさせることができ、結果的に「落ちつかせる」ことが望めるのです。
2016.03.01 著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
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