ゲーム依存症

ゲーム依存専門外来

ゲーム依存症

ゲーム依存は淀屋橋心理療法センターの経験では、ゲームを禁止しなくても、ゲーム以外の事への関心を深め広げていったり、親子関係の改善をはかる中で、解決する例も相当数あります。一概にゲームを全て断つという治療に偏らず、クライアントの状況に応じた治療が選ばれる事を望みます。

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同じような悩みを抱えていませんか?

〈ゲーム依存と不登校〉

「学校がしばらく休校になったのをきっかけに子供がゲームにハマりました。あらかじめ決めた時間のルールを全く守ることができず、今では深夜になってもゲームをやめません。最近は朝起きられなくて学校も休みがちになりました。このまま引きこもりになってしまわないかと心配で…」

〈ゲーム依存と癇癪(かんしゃく)〉

「Wi-Fiに使用制限をかけたり、ゲームを没収すると、“ゲームができないなら何にもやりたくない!”と言って床に転がり回りながら何時間も泣きわめきます。」

〈ゲーム依存と暴力〉

「ゲームでうまくいかないと、イライラして気持ちのコントロールができないみたいです。物や家族に当たるようになりました。はじめは椅子や机を蹴るといった程度でしたが、次第にエスカレートしていき、部屋の壁に穴を開けたり、母である私や小さい弟にまで暴力を振るうようになりました。子供は力も強くなってきていますし、もう私自身いっぱいいっぱいで…」

〈ゲーム依存と課金〉

「ゲームで5万円課金していたみたいなんです。請求がきてびっくりしました」 「親の財布からお金を抜いて課金していたみたいなんです。あいつ許せない!」 というようなお子さんの課金で困っているご相談もあります。中には、祖父母の家に侵入して100万円を盗ってきて親御さんが気づいた時には、全て課金済みだったというご相談や、30代男性が700万円課金していたという相談もありました。

当センターには、このような問題が家庭内で起き、必死で状況を説明される親御さんからのお電話が年々増えてきています。ゲーム依存症になるのではないかという心配は、多くの親御さんが感じている不安のひとつです。

一昔前テレビゲームが流行りだした頃は、主に皆が集まるテレビの前でゲームをしていました。子供がいつどのくらいゲームをやっているかを親は把握しやすく、またゲームに課金することもなく、中毒性の高いものが現在に比べて少なかったように思います。 現在、自分のスマホやパソコンを持つことが当たり前になり、誰の目も届かないあらゆる場所で、気軽にゲームができるようになりました。誰かと待ち合わせをしている間や電車に乗っている間、とにかく時間の隙間さえあればSNSやオンラインゲームに夢中になっている人を多くみかけます。また昔とは違い、世界中の知らない人とリアルタイムで繋がり、いつでも誰かと一緒にゲームをすることができます。誰かと繋がっている安心感や、複数の人とチームになってプレイする一体感などにより、やめ時がわからなくなるといった問題も生まれます。
ゲームが私たちの日常生活の中にどんどん浸透している今、ゲーム依存症は誰でもなりうる可能性がある、深刻な社会問題といえるでしょう。

ゲーム依存症:同じような悩みを抱えていませんか?

ゲーム依存症の診断基準

2019年5月にWHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」を新たな病気として国際疾病分類(ICD-11)の最新版に追加することを決定しました。スマートフォンやパソコンの普及により、子供たちはいつでも気軽にインターネットやゲームに触れることができる大変便利な環境に置かれています。その一方で「ゲーム障害(ゲーム依存)」の問題も深刻化しており、健康を害する懸念が非常に強まっています。

ゲーム依存症は、ギャンブル依存症などと並び、治療が必要な疾病として認められるようになりましたが、主にどのような場合、ゲーム依存症と考えられるのでしょうか。

WHOによりますと、次のような症状が定義付けられています。

  • ゲームをする頻度や時間を自分でコントロールすることができない
  • ゲームをすることが最優先され、他のことへの興味がなくなり、日常生活ではゲームが中心となる
  • 問題が起きているにも関わらず、ゲームを続ける、またはエスカレートする 
  • 日常生活に重大な支障をきたす(人間関係、家庭、学校、仕事など)ほどの重症度である

これらの症状に当てはまり、その状態が12か月以上続く場合、ゲーム依存症として診断される可能性があります。 厚生労働省の調査によると、中学・高校生のネット依存が疑われる者の割合は、2012年で52万人ですが、2017年には93万人に増加しています。コロナウイルスが流行している今、自宅に引きこもる時間が増えているため、インターネットやゲームをして一日の大半を過ごすといった人も多いでしょうし、ゲーム依存の更なる増加が懸念されます。

ゲーム障害、ゲーム依存、ネット依存、インターネットゲーム依存、スマホゲーム依存など様々な呼び方がありますが、当センターでは相談に来られる親御さんが最もよく使われる「ゲーム依存」という呼び方をします。 ※ICD-11は、各国が翻訳中。2022年1月にWHOが正式に発行予定。

ゲーム依存症の診断基準

親子の関わり方の注意点

ゲームに夢中になりすぎるあまり、お子さんが日々の挨拶をしなくなったり、雑談がなくなってしまうことがあります。 このように以前は出来ていた親子間のコミュニケーションが極端に減ってしまうと危険です。ゲーム依存になり、ゲームをすることが日常生活の中心になると、親と会話をすることや一緒になにかやることは二の次になってしまいます。

「おはよう」「いってきます」などの基本的な挨拶は出来ているでしょうか。
お子さんはその日にあった出来事を、一つでも親に話してくれているでしょうか。
コミュニケーションがとれなくなり、親からの問いかけにすら答えなくなってしまう、目すら合わなくなってしまう、もしそうなると、親御さんはとても心配されるでしょう。なんとかしないと…と悩み、「もうゲームをやめなさい!」などと口うるさく注意してしまうこともあるかもしれません。 しかし焦って注意しすぎると親子関係に溝ができ、ますますコミュニケーションが低下する恐れがあるため危険です。
また、「ゲームは1日2時間まで」などとルールを決め、それを守らなかったからといって、ゲームを取り上げたりWi-Fiを切ったり、強引な対応をした場合、怒って暴力に発展することがあります。あるいは、親に背を向け、部屋に引きこもってしまうケースも少なくありません。

ゲームを長時間することがやめられない場合でも、

それがすべて深刻な問題に繋がるわけではありません。

ゲーム依存の疑いがあっても、学校や職場などに行くことができる。

そして、そこで経験した出来事を 「今日こんなことがあってね」と

子供のほうから話してくるようであれば、問題は解決しやすい場合が多いです。

親子の関わり方の注意点

ゲーム依存症になりやすい人の特徴

当センターにご相談に来られる、スマホ・ゲーム依存の患者さんで一番多いのは、こんなタイプの方々です。

  • 「人に認められたい」という気持ちが本当は強いけれど、人とコミュニケーションをとることに自信がなく、なかなか行動を起こすことができない。
  • 興味のあることに高い集中力を発揮するが、興味の幅が狭くなっている。
  • ゲーム以外に集中力を発揮できる場所がなくモヤモヤしている。

このタイプのお子さんは、カウンセリングが進み、ゲーム依存から脱出すると、持ち前の高い集中力と「認められたい」というエネルギーで、学業や仕事等で高い成果を出すかたが少なくありません。

当センターでのゲーム依存症治療の進めかた

〈当センターの特徴〉

  • 基本的にお子さんご本人の来所は必要ありません。
  • お子さんの性格に合った対応を具体的にアドバイス差し上げます。
    「ゲーム依存」という問題だけを解決する訳ではありません。将来お子さんが自分らしくイキイキと生きていけるように成長させるお手伝いを致します。
  • お子さんからゲームを完全に切り離すのではなく、適度にゲームと関わりながら健康な日常生活を送れるよう治療を進めていきます。

〈治療の進み方~当センターで1番多いパターン~〉

1・まずはゲームの話が弾むように

ここが最も重要で、一番難しいところです。親御さんにとって最も大きな頑張りどころです。
お子さんにどう対応すればコミュニケーションを取りやすくなるのか、コツを覚えて頂きます。ゲームに依存している子は、親と会話することへの関心が薄れている場合が多いので、コミュニケーションを増やすことは難しく、工夫がいります。

母:これは敵?味方?

子ども:敵

母:このアイテムはどうやって使うの?

子ども:ドリンク。エナジーがアップするんだよ

子ども:お母さんやってみる?

母:うん、お母さんも少しだけやってみたいな。やり方教えて

言葉のキャッチボールがある程度増えてくると、お子さんの表情や態度は少し柔らかくなってくるでしょう。あえてゲームの話題でコミュニケーションを取り、お子さんに寄り添うことで、会話が弾みやすくなります。またお子さんは、お母さん(お父さん)にゲームの話をしても良いんだと、安心するようになります。
そして、しばらく続けていると「ねえ、僕が勝つところ見ててよ」などと言い甘えてくるようになります。これまで会話をすることや甘えることが少なかったお子さんだと甘え方が不器用かもしれませんが、しっかり受け止めてあげてください。

2・ゲーム以外の話がチラホラ出てきた

ゲームの話で盛り上がるようになると、お子さんは親御さんに対して、もっと聞いてほしい!もっと共感してほしい!と思うようになります。
今までゲームの世界に閉じこもっていたお子さんの視野が広がり始め、家族の事を意識するようになるなど、少しずつ外の世界へ出ていこうとします。すると、ゲーム以外にもチラホラと別の話題が出てくるようになり会話の幅が広がっていきます。
当センターのケースで多いのは、テレビやネットニュースで得た情報について、お子さんが熱心に語りはじめる姿。芸能人の誰誰が結婚した、離婚した、社会問題や政治、アメリカ・中国の世界情勢についてなど…。
ゲーム依存になるお子さんは、興味がある事柄に関してとことん追求するような凝り性の性格がよくみられるため、親が思ってもみないような面白い考えや深い考えを内に秘めている場合があります。自分の意見を面白おかしく、時には真剣に語りだすので、今まで見たことのないお子さんの姿に驚かれる親御さんがとても多いです。

3・ゲーム以外の話題や関わりがかなり増えてきた

ゲーム以外の話題で盛り上がるようになってきた頃には、親子関係はだいぶ変わってきているでしょう。 「おはよう」「お母さん、ちょっと出かけてくるわ」と、お子さんが自分からあいさつをしたり、簡単な報告をしてくれるようになった。
家族と一緒に食卓を囲み、誰かが喋ったことに対し「ハハハ」と笑うことが増えた。
食事のあとに自分でお茶碗を下げたり、「テーブル、拭こうか?」などと言い、少しくらいは家のお手伝いをするようになった。
など、お子さん自身の意識が変わり始めます。ここまで来ることは決して簡単ではありませんが、日常生活を楽しみたい、家族の一員として役に立ちたいと、ゲーム以外のことにも価値を見いだせるようになっていきます。
この段階まで来ると、(ガチャで欲しいアイテムが手に入らなかったから)(対戦相手に負けてしまったから)などと言って、ゲームで自分の思い通りにいかなくてもイライラすることはあまりなくなってきます。また、暴力がある子については、それが大幅に減っている場合が多いです。

4・学校の話や悩みを言い出した

その後も順調にカウンセリングが進めば、話題がますます広がり、深まっていくでしょう。

何気ない会話を続けていけるようになると、お子さんは親に対する信頼感や安心感が少しずつ大きくなってきます。すると徐々に、心の内に秘めている、なかなか言えずにいたことも言い出せるようになり、学校の話や自分の悩みについてぽつぽつと話し始めるでしょう。
なぜゲームに依存してしまうのか、解決に繋がる糸口になるかもしれない話が色々と出てくるはずです。
そうなると、現実に向き合う少し手前の段階です。お子さんがゲームから離れ、外に出たいという欲求が高まるのと同時に、現実と向き合う不安や葛藤も出てくるので、親御さんの対応には注意が必要です。

外での活動が増え始め、交友関係が広がり、他のことに興味を持つようになると、自然とゲームをする時間は減っていき、日常生活に支障をきたさない程度になります。
当センターでは、完全にゲームを断たなければいけないとは考えておりません。ゲーム自体が悪いわけではなく、依存してしまうことが問題だからです。ゲームをすることで、友達や家族との良いコミュニケーションにつながったり、様々な知識を得られる場合もあるでしょう。アルコール依存やギャンブル依存とのかかわり方とは違い、今後の生活からゲームをすっかり切り離してしまうのではなく、お子さんが息抜きをできる程度に、うまく付き合っていけたらよいと考えています。

ただ、過去に当センターに来られた一部のかたには、親子のコミュニケーションが活発化し元気に登校するようになっても、ゲームに熱中し続け、その後はゲーム制作会社などでプログラマーとして活躍されているかたもいらっしゃいます。

最後に

ゲーム依存の子のゲームに対する執着や集中力は凄まじいものがあります。
それを抑えるのではなく、、活かすということによって、
ゲーム以外への関心を広げる道があるとお伝えしたくてこの章を書かせて頂きました。
皆様にその真意が伝わればと思います。

簡単な道ではありません。親御さんの努力と忍耐も必要ですが、
成功すればお子さんが素晴らしい輝きを見せることでしょう。
その為の努力を惜しまないという親御さんに出会い、成果をあげたいと考えています。
親御さんに我々の想いが伝わりますように。

当センターでのゲーム依存症治療の進めかた

最終更新日:2024.4.8

こちらの記事の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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