【不登校】会話の少ない時は「テレビ」などを活用して!

子どもさんが不登校ひきこもりになると、親子の会話も減ってしまうことがあります。一生懸命話しかけると嫌がられ、同じことを何回か言うと「しつこい!、うるさい!」の一言どまり・・。会話が少なくなると家庭の雰囲気も次第に暗く・重たくなっていくのではないでしょうか。

淀屋橋心理療法センターでも「会話」を非常に大事に扱います。会話が多くなればなるほど対応のアドバイスもお出ししやすくなり、解決の見通しも開けてきやすくなるからです。ただ、私どもの元に相談に来られるご家族でも「会話が少ない」という例は少なくありません。

カウンセリングでは会話を増やすための方法も考えていく前に、まずはご家族の雰囲気や日頃のご家族の生活の様子をしっかりと把握しておきます。すると・・・親子の会話が少なくなってしまう要素(理由)が色々と浮かび上がってくることがあります。

よくあるのは「両親ともにあまり口数が多くない」「子どもが一人っ子で、親以外に話し相手がいない」「特別なことが無い限りテレビはつけない」などでしょうか。

こんな場合、まず手をつけやすいのが「テレビ・・」でしょうか。「テレビを(ほとんど)つけない」という場合、どうしても家族間の「会話のネタ」が少なくなってしまいがちな気がします。逆に言えば、テレビこそ「ネタの宝庫」とも言えるのです。テレビは放っておいても次から次へとネタを提供してくれます。もちろん、全てのネタに反応するわけではないでしょうが、たまたまリビングにお茶を飲みに来た時、テレビがついているだけでちょっと立ち止まったり、リビングにやってくる回数が増えるということも。

当センターに相談に来られているご家族でも「バラエティ番組をつけておいたら、少し笑うようになりました」「歌番組を少しみたなーと思ったら、後でその歌をハミングしていました」など、ちょっとした変化を起こしてくれる事があります。ここに親御さんの「笑い」や「○○だなー」といった、ちょっとしたコメントがあるだけでも、家庭のムード自体が変わってくることがよくあります。

こうなってくるとカウンセリングでも「会話を弾ませる」ためのアドバイスがお出ししやすくなってきます。場合によっては「こんなん○○やん!」「わたし、このタレント嫌い」など、批判的なコメントがでてくることも。ここで慌ててチャンネルを変えたり、「そんなことないでしょー」と批判を和らげようとすると、かえって口数が少なくなる事があります。意外に思われるかもしれませんが、こんな「批判精神」も会話を伸ばす「チャンス」なのです。

2014.11.21  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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