【不登校】小学生の不登校。「保健室」を拠点に教室登校へ

学校には行っているものの、なかなか教室には入れず、まずは保健室に。小学生の中には「保健室」を拠点とし、そこから少しずつステップアップしながら「教室」登校にこぎつけるケースが意外と多いのです。

数十人を受け持っている担任の先生に比べ、保健室の先生(養護教諭)は自分だけをみてくれる、いわば「学校での母親」のような存在といったところでしょうか。保健室の先生が自分の良き理解者であり、味方だという安心感があれば、「教室は嫌だけど、保健室だったら行く」、または「教室に入るのは怖いけど、保健室なら行ける」という子はけっこういます。

不登校のカウンセリングでは、「保健室登校」までたどり着いている子ならば、あとはその子に合った方法を親御さんと相談していくことで、比較的スムーズに「教室登校」を実現させることができます。たとえば、仲の良い子がいれば休み時間に顔を見せてもらったり、担任の先生に馴染んでいなければ「1日1~2回の数分の顔合わせ」を何度かもっていただいたり、その子の「まあ、それなら」という所からスタートし、少しずつ友だちの人数を増やしていったり、担任の先生との接触時間を長くしていったりと、不登校の子が強い不安を感じないように慣らしながら、徐々にハードルを上げていくといった方法もあります。

他にも、小学生の不登校の場合なら色々な選択肢があるのです。好きな授業から少しずつ参加していったり、保健室で給食を親しい子と一緒に食べたり、低学年・中学年の子ならば、お母さんと一緒に廊下から授業を眺めるだけでも教室登校の役に立つのです。

同じような方法が中学生や高校生の不登校の子にも通じるかというと、そうは簡単には行きません。「小学生」ならではの解決方法は独特のものがあり、かつ、シンプルです。おまけに、低学年の子ほどさらに短期解決しやすいというのが実情です。

2014.11.21  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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