
2026年7月9日(木)、淀屋橋心理療法センターの臨床心理士・福田俊介が、鳥取県教育センター主催の専門研修にお招きいただき、講演を行いました。
今回の講演テーマは、「昨今の課題を抱えた子どもたちへの理解と支援~ネット・スマホ依存から見えてくる問題を中心に~」です。
当日は、鳥取県内の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校に勤務されている先生方をはじめ、スクールソーシャルワーカーの方々など、約80名の皆さまにご参加いただきました。また、鳥取県内のみならず、島根県から足を運んでくださった方もおられ、多くの教育関係者の皆さまが、ネット・スマホ依存や、そこから見えてくる子どもたちの課題に高い関心を寄せておられることを感じる機会となりました。
目次
ネット・スマホ依存の現状

近年、スマートフォンやタブレット端末は、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。それは、子どもたちにとっても同じです。
ICT教育の推進により、学校では一人一台端末が配布され、学習や情報収集、コミュニケーションなど、さまざまな場面でICT機器が活用されるようになりました。また、スマートフォンを持ち始める年齢も低年齢化しており、小学生のうちから自分のスマートフォンを持つ子どもも少なくありません。
こうした電子機器の普及に伴い、ネットやゲーム、SNSとの付き合い方に悩む子どもたちも増えています。
そして、学校現場でも、ネット・スマホの利用をめぐって、次のようなさまざまな問題が生じています。
- 夜遅くまでゲームや動画視聴を続け、生活リズムが乱れてしまう
- オンラインゲームやSNSをきっかけに、友人関係のトラブルが生じる
- 学校生活への意欲が低下し、不登校につながる
- スマートフォンやゲームの利用時間をめぐり、保護者と子どもの間で対立が生じる
こうした子どもたちを前に、学校の先生方からは「どのように声をかければ良いのか」「家庭とはどのように連携していけば良いのか」といった悩みも聞かれます。
講演内容|ネット・スマホ依存の子どもたちとどう接するか

今回の講演では、当センターで実際に関わらせていただいた事例もご紹介しながら、ネット・ゲーム依存の子どもたちとどのように関わっていくことが支援につながるのかについてお話ししました。
ネットやゲームの問題が深刻化すると、「ゲームの時間を決める」「スマートフォンに規制をかける」といった対応だけでは、なかなか解決につながらないことがあります。
かといって、「こう声をかければ、子どもがゲームをやめる」という決まった声かけや、ネットへの興味をすぐに別のことへ向けさせる万能な方法があるわけでもありません。
では、どうすればよいのでしょうか。
福田は講演の中で、子どもへの関わりについて次のようにお話ししました。

そのための糸口のひとつとなるのが、日常の中にある「雑談」です。
もちろん、雑談をすれば、それだけでネットやゲーム依存の問題が解決するということではありません。
何気ない会話を重ねる中で、少しずつ子どもとの距離が縮まり、関係性が築かれていく。その関係性ができてくることで、子どもの中にイキイキパターンが生まれ、子どもの様子に良い変化が見られたり、これまでとは違った関わり方ができるようになったりすることがあります。

講演では、この「雑談」が関係づくりのきっかけとなり、そこから子どもにどのような変化が見られていったのかを実感していただくために、ある中学生のゲーム依存症が改善していった事例をご紹介しました。
こうした事例をご紹介すると、「自分の学校にも似たような子がいる」と、思い当たる児童生徒を重ね合わせながら聞いてくださる方も多くいらっしゃいます。今回も、先生方が事例に熱心に耳を傾け、頷きながら聞いてくださる様子が印象的でした。
実際の事例を通して、子どもとの関係性を築いていくこと、その中で「雑談」をひとつのきっかけとして大切にすることの意味を、より具体的に感じていただけたのではないかと思います。
今回ご紹介した事例や、「雑談」がネット・ゲーム依存の回復にどのようにつながっていくのかについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
ディスカッション|先生方同士での意見交換

講演中は何度かグループディスカッションの時間を設け、参加者の先生方同士で、それぞれの学校での経験や悩み、講演を聞いて感じたことなどについて意見交換をしていただきました。
今回は、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校など、異なる校種や職種の先生方が一緒になるようグループを編成してもらいました。
普段関わっている子どもたちの年齢や、学校での立場はそれぞれ異なりますが、子どもたちへの関わりや支援については、共通する悩みも多くあるようでした。日頃の実践や困っていることについて、先生方が熱心に意見を交わされる姿が印象的でした。
Q&A|教育現場ならではのご質問

講演後のQ&Aコーナーでは、多くの先生方から、教育現場で実際に感じておられる悩みや課題についてご質問をいただきました。
ネット・スマホ依存をはじめ、学校への不適応やさまざまな問題を抱える子どもたちへの対応、さらには保護者との関わり方など、現場ならではの具体的なご質問が寄せられました。
一つひとつのご質問からは、日々子どもたちと向き合う先生方の難しさだけでなく、「子どもたちを支えたい」という強い思いも感じられました。
講演でお伝えした内容を踏まえながら、福田もそれぞれの質問に丁寧に向き合い、先生方と一緒に子どもたちへの支援について考える時間となりました。
アンケート|先生方のご感想

後日、ご参加いただいた先生方からご感想をお寄せいただきました。
明日からの子どもたちへの関わりや支援に役立てたいというお声も多くいただき、大変嬉しく思います。



講演を終えて|子どもを支える輪を広げるために

このたび、このような貴重な機会をいただきました鳥取県教育センターの皆さま、ご参加くださった先生方、教育関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。
淀屋橋心理療法センターでは、今後も講演活動や研修を通じて、学校現場やご家庭で子どもたちを支える皆さまとともに、子どもたちへの理解と支援について考え続けてまいります。
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