
令和8年6月25日(木)、大阪市南部里親支援センター主催の子育てスキルアップ研修会が開催され、講師として淀屋橋心理療法センター 臨床心理士・福田俊介がお話しさせていただきました。
講義名:「どうして関係がうまくいかないの?」里親と子の相性を合わせる勉強会
以下の解決事例を解説しながら「親子の相性合わせ」をテーマにお話ししました。
事例1:親が愛情を注いでいるのに、心を開かなかった中学生が心を開くようになるまで
事例2:すごく気難しい小学生のとても激しい癇癪
一人ひとり異なる背景をもつお子さん(里子さん)との生活の中で、
「どう接したらよいのかわからない」
「なぜ親子関係がうまくいかないのだろう」
と、愛情をたっぷりと注いでも、お子さんとの関係がうまくいかずに悩みを抱えているご家庭は少なくありません。
そのため今回の講演では、「子どもの文句」と「心の成長」をキーワードに、親子関係をより良くするための相性の考え方についてお話ししました。
その中でも、参加者の皆さんが特に熱心に耳を傾けてくださった内容を一部ご紹介します。
目次
子どもが「文句を言える」ことは、とても大切なこと

臨床心理士・福田俊介が、今回の勉強会ではじめにお伝えしたのは、
里親さんのご家庭だけでなく、どのご家庭でも一度は悩みの種になる「子どもの文句」について。
「子どもが親に文句を言えることは、決して悪いことだけではありません」福田はそう話します。
「学校が嫌だ」
「先生が嫌い」
「友達がムカつく」
「なんで私ばっかり」
こうした言葉を聞くと、大人はつい、
「そんなこと言わないの」
「前向きに考えよう」
「あなたにも原因があるんじゃない?」
と、すぐにアドバイスや励ましをしたくなります。
けれど、子どもはそのアドバイスや励ましを、「自分の気持ちを否定された」と受け取ってしまうことがあります。子どもは、自分の気持ちに寄り添って話を聞いてくれる親にこそ、安心してさまざまなことを話せるのではないでしょうか。
子どもが文句を言えるということは、「この人なら話しても大丈夫」という安心感があるからこそできる行動でもあります。
そのため、大人がまずは否定せずに耳を傾けることが、親子関係を築く大切な土台につながるのです。
文句の奥には「本当は……」という気持ちが隠れている

子どもが言う文句の裏側には、本当の悩みや不安が隠れていることが少なくありません。
例えば、
「学校なんて行きたくない」
という言葉の裏には、
「友達に嫌なことを言われた」
「授業についていけなくてつらい」
「先生に相談したいけれど勇気が出ない」
といった、本音が隠れていることもあります。
大人は早く解決してあげたいという思いから、つい励ましたり、アドバイスをしたりしがちです。けれど、子どもが本当に求めているのは、まず自分の気持ちをわかってもらうことです。
だからこそ、文句を途中で止めたり、すぐに解決しようとしたりするのではなく、最後まで丁寧に耳を傾けることが大切なのです。
子どもは安心できる相手だからこそ、
「本当はね……」
と、心の奥にしまっていた本音を話してくれるようになります。
「元気」よりも大切なのは「心の成長」

今回の研修では、もう一つ大切なテーマとして、
「子どもが元気かどうかではなく、心が成長しているかどうかを見ること」
についてもお伝えしました。
子どもは、元気そうに笑っている日もあれば、落ち込む日もあります。
学校へ行ける日もあれば、行けない日もあるでしょう。
その日の様子だけを見て、「今日は元気だから大丈夫」「今日は元気がないから心配」と判断するのではなく、以下のようなことにも注目してみてください。
- 自分の気持ちを言葉で伝えられるようになった。
- 困った時に大人へ相談できるようになった。
- 少しずつ自分で考えて行動できるようになった。
こうした心の成長こそが、子どもの将来にとって大切な力になります。
日々の変化だけに一喜一憂するのではなく、長い目で子どもの成長を見守る視点を持つことはとても大切なことです。
福田は、次のように話しました。
「子どもの成長とは、『毎日元気でいること』ではありません。
困った時に助けを求められること。
自分の気持ちを言葉にできること。
安心して親御さんを頼れること。
そうした心の成長こそが、将来子どもが自分らしく生きていくための土台になるのです」
たくさんの質問が寄せられました

「学校に遅刻してしまうと困るので、朝起こすために声をかけるのですが、なかなか起きてくれません。どのように対応したらいいでしょうか?」
「子どもが欲しがるものを買ってあげると喜ぶのでついつい買ってしまうのですが、どこまでなら大丈夫でしょうか?」
講義の後の質問コーナーでは、里親の皆さんから実際の養育場面でのお悩みや疑問などのご質問が予定時間いっぱいまで寄せられました。
福田は、一つひとつの質問に対し、お子さんの性格や心理状態を踏まえながらお答えしていました。
愛情が伝わる親子関係は、「相性合わせ」から始まる

今回、筆者はアシスタントとして研修に参加させていただきました。研修を通して感じたのは、参加された里親の皆さまが、お子さん一人ひとりと真剣に向き合い、「もっと理解したい」「より良い関係を築きたい」という強い思いを持たれていることでした。
また、福田が講演中にお話しした、
「親御さんの愛情をお子さんの心に届けるには、親子の相性を合わせて接していくことがとても大切です」という言葉には、参加された皆さんが、新しい愛情の伝え方として新鮮さを感じられたようでした。
里親家庭では、一人ひとり異なる背景をもつお子さんと生活を共にするため、悩みや迷いが生まれるのは自然なことです。
今回の勉強会が、子どもの言葉や行動の背景に目を向け、親子がお互いに安心して本音を伝え合える関係づくりの一助となれば幸いです。
淀屋橋心理療法センターでは、今後もカウンセリングの専門的な知見を活かし、親御さんや教育・福祉関係者の皆さまを対象とした研修・講演活動に取り組んでまいります。

大阪市南部里親支援センターの皆さま、このたびは貴重な講演の機会をいただき、 誠にありがとうございました。
関連記事
「どうしてこの子とはうまくいかないの?」関わり方を変え、親子の相性を合わせるためのヒント
「やって当たり前思考」からの卒業で、親子関係はグングン良くなる|子どもの変化を喜ぶ子育て
真ん中っ子の性格、本当のところは?その子だけを見る親の接し方

