スマホ・ゲーム依存と暴力 依存症からの脱出

令和4年8月30日(火)、親御さん向けゲーム依存勉強会を開催しました。

<まずは親御さんとお話したい!>

勉強会は私、福田俊介と親御さんたちとの交流から始まりました。

「この勉強会にわざわざ足をお運びいただいたということは、
当センターのホームページのどこかの部分が、
親御さんたちの心に響いたと思うのですが、どこがよかったですか?」

という私の質問に、

「荒れる本人を連れてこられる状況じゃないので、本人の来所不要がいいと思いました」
「見守るだけじゃなくて、アドバイスを下さるのが良いと思いました」

とお答え下さいました。

中には、「先生方の顔写真を見て、来てみたいと思いました」と答えてくださった親御さんもおられました…!
私が「ありがとうございます」と言うと、なぜかスタッフを含めて、周囲からクスクスと聞こえてきました。ん?何もおかしなことはなかったはずですが…

<スマホ・ゲーム依存についての説明>

さて、親御さんたちの緊張感が少し緩んできたところで、当センターの考えるゲーム依存の治療について説明を始めました。

お話した内の1つが、「カウンセリング治療の2本柱」についてです。

柱の1本目は、お子さんへの接し方の技術的な面です。
 声かけや、話の聞き方などについて具体的にアドバイスさせて頂いております。
柱の2本目は親御さんの心の状態です。

今回の勉強会では、この2本目の柱である「親御さんの心の状態」の重要性を強調してお伝えしました。
どんなに優しい言葉をかけていても、親御さんの表情が硬かったり、声のトーンが少しでも不機嫌そうだったら、お子さんにうまく伝わりません。特に、お子さんの警戒心が強かったり、敏感なタイプだと、親御さんの不安やイライラは隠そうとしても伝わってしまいます。専門家に悩みを聞いてもらったり、具体的なアドバイスを受けて、時間の経過とともにお子さんが着実に前進していることがわかると、親御さんの不安やイライラが小さくなってきます。するとそれが、好循環を生むのです。

これら2本の柱の両方を徹底して機能させることで、お子さんはスマホ・ゲーム依存を克服していきます。

<事例発表>

勉強会では当センターにおいて実際に解決した事例を2つ発表いたしました。

【ケース1】 発達障害グレーゾーン ゲームばかりで、家族と交流しようとしない
【ケース2】 ゲームでイライラすると、暴言や暴力を振るう中学生の男の子

2つ目の事例は今回、新たに追加したものです。
最近はゲーム依存に限らず“家庭内暴力の相談”が急増しているため、このケースを発表しました。このケースでは、元々優しかった男の子が、お母さんに暴力を振るうようになりました。
息子がいつ怒り出して暴力を振るい出すかわからないので、常にお母さんは緊張状態で、精神安定剤を服用されるほどでした。

さて、このケースのポイント !
その1つは「子どもが荒れていない時、機嫌の良い時の対応を工夫する」です。
親御さんは、どうしてもお子さんが荒れた時の対応をどうすれば良いか?とそこに着目しすぎてしまいます。しかし、お子さんを成長させて、依存症を根本的に解決するためには、お子さんが冷静に話せる状態の時の接し方の方が重要です。

〜勉強会の10分休憩〜

勉強会の10分休憩

事例発表の後は必ず10分間の休憩を挟みます。これは親御さんにお伝えした情報を整理していただくための時間です。 勉強会で知識を得て「それ知ってます」ではなく、「それやってます」という状態になって頂きたいからです。
さらに3ヶ月後には、「それ、続けています!」という状態になっておられたら最高です。

<Q&Aのコーナー>

さあ、ここからは所長で医師の福田俊一が登場します。勉強会の雰囲気に慣れてこられた親御さんたちは、とても積極的に質問してくださいました。
Q&Aのコーナーのやり取りの一部をご紹介します。

(Q1)うちの子はゲームをして負けるとものすごく荒れます。今はできるだけ、子どもが怒らないように気を遣って対応しているのですが、正直それがしんどくな ってきていて・・・

(A)お母さんは気遣い対応が永遠に続くんじゃないか?と感じて、しんどくなっておられるのではないでしょうか?事例でもカウンセラーが強調して説明していたように、お子さんの機嫌の良い時の接し方がとても重要になってきます。その際のポイントをしっかり押さえておけば、徐々に荒れる頻度は減り、荒れ方もマシになってきます。
正しい関わり方を続けて下されば、今の状態が永遠に続くなんてことはありません。数ヶ月だけ辛抱して下さい。適切な対応ができていれば、その先は明るいですよ。

(Q2)今日の勉強会の事例に出てきた子は口数が増えてゲームから距離を取れるようになったようですが、うちの子は部屋にこもってゲームに夢中でほとんど会話がありません。このような場合はどうしたらよろしいでしょうか?

(A) その子の持ち味を細かく分析することが大事です。ある男の子はトイレの時以外は部屋から出て来ませんでした。食事にも下りて来ないので、お母さんはご飯を息子の部屋のドアの前に置いていました。このような対応が子どもの心を開くきっかけになる場合もあれば、うまく行かない場合もあります。このケースではむしろ、ご飯をドアの前に置くのをやめると、男の子の警戒心が徐々に緩んできました。ご飯を置いてあげることで、愛情を感じる子もいる一方で、「食事を押しつけられた」という風に捉える子もいるのです。

〜勉強会終了〜

<スタッフの反省会>

さて、勉強会が終わった後は我々カウンセラーとスタッフみんなで反省会をします。食事をした後に反省会をするのですが、最近我々がハマっているのが近所にある「本家かまど屋」のお弁当です。お値段はリーズナブルですが、できたてのお弁当は美味しいです!
サクサクっとした揚げ物、そしてあの大根の漬け物は、おかわりが欲しくなりますよね?

「本家かまど屋」のお弁当

参加された皆様が書いて下さったアンケートに目を通しながら、より良い勉強会にして行くためにはどうしたらいいかと、みんなで話し合います。当センターの勉強会も通算45回となりました(R4.11月時点)。回を重ねるごとに勉強会の質は上がってきています。 お子さんへの関わり方のヒントを掴みたい方はぜひご参加ください。お待ちしております。

2022.11.28  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》臨床心理士 福田俊介

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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