2月24日(金)
「ゲーム依存やゲーム依存になって暴れるお子さんに悩まれている
親御さん向け治療説明会」を開催しました。
説明会に参加された親御さんとの関わりの中で
「ゲームを無理やり取り上げずにゲーム依存を治療したい」
「ゲームと共存しながら、宿題など、やることはやってほしい」
このような思いを持っている親御さんが多くいらっしゃることがわかりました。
しかし現状は、なかなかゲームをやめてくれず、他の事はなにもしない子どもに
どう対応してよいかわからず、怒ってゲームを取り上げてしまったり、
「1日〇時間」というルールを決めても破られて、お母さんは落ち込んでしまったり…
ゲーム依存から脱出させるというのは、かなり困難であるようです。
またゲーム依存は、それ単体での悩みを抱えているというよりは、不登校やひきこもり、家庭内暴力などが複雑に結びついている病気でもあります。
ゲーム時間を減らしてほしい、学校に行ってほしい、明るく笑ってほしい…
親御さんは様々な悩みを抱えながら、先が見えない暗闇の中をさまよっておられる
ことと思います。
ゲーム依存の子どもに対して親ができることはなんでしょう
ゲーム依存症チェック✔《診断基準》
WHOが示したゲーム依存症(ゲーム障害)の診断基準は次のとおりです。
ゲーム依存症の診断基準
✔ ゲームをする時間や頻度を自分でコントロールできない
✔ ゲームをすることが最優先され、他のことへの興味がなくなり、日常生活ではゲームが中心となる
✔ 問題が起きているのにも関わらず、ゲームを続ける、またはエスカレートする
✔ 日常生活に重大な支障をきたす(人間関係、家庭、学校、仕事など)ほどの重症度である
こうした状態が一年以上続く場合、ゲーム依存症と診断される可能性があります。
症状の進行が早い場合、症状が重い場合は、一年未満でも診断される事もあります。
特に、子どもは進行が早いと言われていますので、早めの対応が必要でしょう。
ゲーム依存症の子どもの対応方法
ゲーム依存のお子さんへの対応方法として
時間制限を設ける、〇〇したらゲームをしても良い…など
何かルールを作ったり、ゲームに制限をかける方法があります。
ゲーム依存の程度が軽いお子さんは、この方法でうまくいく場合もあるでしょう。
しかし、程度が進んでしまっている場合、このような方法では
根本から解決するのはかなり難しいと考えます。
また、お子さん一人一人によって、ゲームの依存度や、その子の性格、環境が全く異なります。するとゲーム依存を解決する方法もまた、一人一人異なるのです。
「約束を守らなかったから、ゲームは没収ね」
「ゲームばかりしていると、勉強する時間もなくかるから成績が下がるわよ」
お母さんは、決して間違ったことを言ってるわけではありません。
しかし、このような対応がお子さんにとって逆効果になってしまう場合があります。
それはなぜでしょう?
なぜならお子さんは、約束を守れないことが良くないことも、ゲームばかりしていては いけないことも、頭の中ではちゃんとわかっているからです。
しかし、実際にはお母さんの言う通りにはできません。
正しい意見に反論することができないお子さんは、
何も言えずに親から距離を置くようになったり
言葉で反論できない代わりに、暴力を振るってしまうこともあります。
この状況では親子の距離をどんどん広げてしまい、ゲーム依存の治療にも悪い影響を与える 恐れがあります。
では、お子さんの考えや行動を否定せずに、好きな事をさせておくこと〈見守ること〉は、 ゲーム依存の克服にはつながるのでしょうか。
当センター所長・精神科医の福田は、
“ゲームを否定しないことは大切であるが、それは極端であり、見守るだけでも不十分”
だと言います。
お子さんのやりたいことを好きにさせておけば、自然と問題が解決するケースはとても少ないでしょう。
大切なのは、どのように肯定していくかです。
ゲーム依存克服のための第一段階は
【ゲームを肯定し、親子でゲームの会話をすることができる】
ということです
「ゲームは悪いもの」と決めつけずに、親御さんはお子さんの好きなゲームについて興味を持ち、話のきっかけを掴むと良いかもしれません。
しかし、ほんとうに重要なのは第二段階からです
【第一段階でのやりとりをきっかけに、親子のコミュニケーションを広げていく】
一部の専門家の方の意見や、インターネットなどに出回っている情報を聞いていると、 第一段階までで終わってしまうアドバイスが多いように感じます。
何か月経っても第一段階より上には進まず、親子の会話はゲームの話止まりになっているならば、お子さんのゲーム依存の克服は難しいと言えるでしょう。
お子さんとの会話は、ゲームの話をきっかけに、更に発展しているでしょうか?
そこがとても大事になるのです。
【お子さんから発せられる言葉が、〈ただの事実〉から〈自分の意見〉に】
これが第三段階です。
「ゲームでこんなことがあった」と、ただの事実しか話さなかったお子さんが 「こんなのことがあったから、俺はこう思う」などと、徐々に自分の意見を語れるようになってくると、成長の兆しが見え始めます。
ここでの説明だけでは不十分になりますが、お子さんはイキイキと自分の意見を語れるようになることで、徐々に自分のことがわかるようになるのです。
この三段階を読んで、お気づきになるかたもいらっしゃるかもしれませんが
ゲーム依存の克服や、お子さんの成長にとって、親子の会話というものは
とても重要なものになります。
(詳しくは、説明会でお話しできたらと思います)
また、お子さんの状態にもよりますが、ここまで来るのは簡単なことではありません。
しかし、これらの段階を確実に踏んでいくことは、ゲーム依存の克服だけではなく、今後の人生をしっかり生きるために必要なこととなるでしょう。
今回はわかりやすく三つの段階に分けましたが、さらに細かい変化の段階があります。
当センターに来所されている多くの親御さんも、何度も悩み、つまづきながら、たくさんの困難を乗り越えていかれます。
カウンセリングをしていると、親御さんは小さな変化に気がつかないまま、
「うちの子はいつまでたっても成長しない」などと落ち込んでしまうことがあります。
しかし、カウンセラーはその小さな変化を、見逃しません。
その小さな変化を掬い上げ、次の発展へと繋げていくことは、お子さんの未来にかかわる大きな素晴らしい変化につながるのです。
お子さんは今、親御さんにどんなことを話してくれますか?
ぜひこの機会に、じっくり考えてみられて下さい。
ゲーム依存克服の、大切なカギとなることと思います。
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