子どもの不登校(特徴と傾向)カウンセリングの効果と回復事例

子どもの不登校(特徴と傾向)カウンセリングの効果と回復事例

現在、日本では小学校、中学校、高校で不登校の子どもが年々増加しています。その原因はなんでしょうか?今回、この記事では、不登校になりやすいお子さんの特徴やチェックリスト、カウンセリングによる回復事例をご紹介します。カウンセリング40周年になる、淀屋橋心理療法センターの医師と臨床心理士のアドバイスもぜひご参考ください。

目次

子どもの不登校

淀屋橋心理療法センターでは、お子さんの不登校で悩んでいる親御さんの姿が多く見られます。

2023年に文部科学省が全国の小・中・高校、特別支援学校を対象に行った不登校調査によると、30日以上不登校状態にある子どもは前年に比べ5万4000人余りも増加し、この値は過去10年間で最多で、今後も増加するものとみられます。

不登校の子どもの数

出典:NHK

現代社会において不登校は特別なケースではなく、非常に身近な子ども、そして家族の問題ともいえます。そのような中、「わが子の不登校にどう向き合えばよいのか」と悩まれる親御さんの数も今後、増えていくものと思われます。

不登校チェックリスト

そこで、まずはお子さんに不登校のタイプ(傾向)がどの程度見られるのかを、以下の不登校チェックリストで確認してみましょう。

▶不登校のタイプ

・ひきこもりタイプ
・非行タイプ
・心身症タイプ
・対人恐怖症、緊張症タイプ

不登校のタイプ

ひきこもりタイプ

□ 誰とでも気軽におしゃべりできるタイプではない。
□ 明らかにガンコである。
□ 家族が集まるリビングよりは、一人で過ごせる空間を好む。
□ 宿題でもクラブ活動でも、やる以上は完璧にしようとする。
□ 何かに没頭してしまうと、やめさせるのに苦労する。

非行タイプ

□ 夜遊びが多かったり、不良の子たちとの付き合いがある。
□ 携帯電話の使いすぎや高額な買い物、ゲームの課金などをめぐって親子でよくもめる。
□ 表面では強がっているが、内面が弱気で寂しがり屋のところがある。
□ 登校しても、遅刻や早退が多い。
□ 担任の先生との相性が悪く、他にも心をゆるせる先生がいない。
□ 過ちや行いを咎めればすぐに反抗姿勢になる
□ 苦手なことは克服しようとせず、あきらめて、逃げてしまう。

心身症タイプ

□ 朝になると体調の悪さをうったえたり、しんどそうにしている。
□ 人の前で沈黙が続いたり、気まずい人と長時間いると、おなかが痛む。
□ 原因不明の腹痛や頭痛などの身体症状が続いている。
□ 家では元気がなくても、学校では明るく振る舞っているようだ。
□ 場の空気を読みすぎたり、気をつかいすぎる傾向がある。
□ 先生に頼まれたり友達に誘われると断れないタイプだ。

対人恐怖症、緊張症タイプ

□ 話し方が堅苦しかったり、どもることがある。
□ ついつい喋りすぎてしまうことがある(そこまで聞いていないのに)。
□ 要領が悪く、世渡りが下手な子だなと思う。
□ 相手の顔や目を見て話せない。
□ 多汗症・赤面症である。
□ 優柔不断なところがある。

結果は、いかがでしたでしょうか。
ただ、ここで注意していただきたいのが、実際には不登校のタイプは十人十色だということ。カウンセラーなどの専門家が個別に分析してみないと明確な結果は出ません。このチェックリストは、学校や行政の相談窓口、カウンセラー等に相談する際の参考にしていただければと思います。

もっと詳しくチェックリストをみたい方は、本稿の最後にある参考URLをご覧ください。

不登校になりやすい子(性格・特徴)

不登校になりやすい子(性格・特徴)

ここでは、このチェックリストの結果と照らし合わせながら、不登校になりやすいお子さんの性格の特徴を見ていきます。
「不登校」とひと言でいっても、お子さんによってそのタイプはさまざまです。

不登校になりやすい子の性格特徴

・自意識過剰、完璧主義
・潔癖症、こだわりが強い
・プライドが高い
・友達、人との関わりが苦手
・自尊心が低い子
・子どもの依存心が非常に高い

また、気を付けていただきたいのが、「不登校=ずる休み」というパターンが少ない点です。お子さんは、何らか問題を抱えている場合が多く、そのために登校できない状態にあります。よって不登校の傾向が見られるということは、お子さんが何らかの問題を抱え苦しんでいるサインと見ることができます。

自意識過剰・完璧主義な子

自意識過剰・完璧主義な子

こちらは、チェックリストの【引きこもりタイプ】です。
失敗することが怖くて、新しいことにチャレンジすることを苦手とする特徴があります。
このタイプのお子さんは、失敗することを恐れて学校に通うこと自体が辛くなる傾向にあります。例えば、進級時、新学期など環境が大きく変化する時、または友達に間違いを指摘されたり、投げやりな言葉を発せられた時、心が折れてしまいがちです。

潔癖症、こだわりが強い子

潔癖症、こだわりが強い子

こちらは、チェックリストの【心身症タイプ】です。
ちょっとした体の不調や、軽いケガなどが原因で、必要以上に不安を大きく捉えてしまうために、学校に行くのが苦しくなることがあります。

不登校のお子さんの多くは、お腹の不調を訴えます。最近では、子どもの過敏性腸症候群も話題になっており、精神的な不調が体にもたらす影響についても研究が進みさまざまなことが明らかになってきました。
また、潔癖でこだわりが強い子も、学校生活への適応不安から生きづらさを抱え不登校になる場合も多く見られます。

過敏性腸症候群について知りたい方は、本稿最後のURLをチェックしてみてください。

プライドが高い子(大人に心を許せない子)

プライドが高い子(大人に心を許せない子)

友達や家族との間でも、プライドや見栄が高いお子さんは相手のアドバイスや指摘を素直に受け取ることが難しいことがあります。また、困った時に誰かに頼ることが苦手なお子さんも多くいます。学校での悩みや助けて欲しいことを先生や親に伝えられず、不登校になってしまうケースもよくあるパターンです。
学校の先生が信じられなかったり、心を許せる友達が少ないなどの傾向もあります。
非行グループと仲良くなって、帰宅しない、または昼夜逆転生活になってしまうこともあります。

友達、人との関わりが苦手な子

友達、人との関わりが苦手な子

チェックリストの【対人恐怖症、緊張症タイプ】が子の特徴です。
人とのコミニュケーションがあまり上手ではないお子さんは、話が自分主体の内容ばかりになってしまったり、その場の雰囲気に合わない会話を続けてしまうこともあります。人の気持ちを敏感に感じ取ってしまう子の場合は、人との関わりに緊張したり恐れを抱くことがあります。その場合、学校で周囲と馴染めない状態になってしまい不登校になるケースがあります。

親への依存度が高い子(自立心がとても低い子)

親への依存度が高い子(自立心がとても低い子)

チェックリストにはありませんでしたが、こちらも一般的に言われている不登校のお子さんに見られる特徴です。お母さんがわが子に対して、過保護・過干渉の場合、お子さんはお母さんへの依存が高く不登校になるケースがあります。

淀屋橋心理療法センターの考え

お母さんが過保護、過干渉の場合、淀屋橋心理療法センターのカウンセリングでは、とてもプラスなことだと考えています。そのようなお母さんは、確かなアドバイスさえあれば非常に有能なお母さんになれます。お子さんへの愛が深いほど、子どものために一生懸命になれる方が多く見られるからです。親子の会話を通して、お子さんの主体性・能動性を高める、当センターのカウンセリング療法では、お母さんの努力次第で、お子さんの不登校が解決していくケースが多く見られます。
「甘やかして育ててしまったかしら…」とお子さんの不登校に悩まれている方は、ぜひ淀屋橋心理療法センターのカウンセリングをおすすめします。

不登校にカウンセリングは必要?

臨床心理士・公認心理師の福田俊介はこれまで多くの不登校カウンセリングを担当してきました。特にこれまで、摂食障害や不登校のカウンセリングで成果を上げています。 なぜ、不登校の問題にカウンセリングが必要なのか聞いてみました。

Q.なぜ不登校の解決にカウンセリングが必要なのか?

カウンセリングでは、
不登校のお子さんへの接し方を教えるだけではなく
親御さんの頭の中を整理させて頂くことも重要視しています。
親御さんの頭の中心に不安やイライラがあると、お子さんの問題点ばかりみえてきてしまうからです。

「娘が朝起きれない」
「なぜ学校にいかないんだろう」
「部屋がちらかっている」

親御さんがお子さんの問題点ばかりに
意識を向けていたら、不登校はなかなか解決できません。
学校に行かない、家でだらだらしている、
ゲームばっかりやっているなどの事実も確認しながら、
お子さんの小さな良い変化に気付けることが、
不登校を解決する上でとても大事なのです。

しかし、親御さんだけでは、
小さな変化に気付くことがすごく難しいのです。
だから、我々カウンセラーが解決までの道案内をします。

臨床心理士 福田俊介

臨床心理士による不登校アドバイス

2023年9月22日に淀屋橋心理療法センターで、「不登校を乗り越えるための親御さん向けカウンセリング説明会」が行われました。多くの親御さんに来所していただき良い説明会となりました。臨床心理士の福田俊介が紹介した、不登校の回復事例の内容を一部ご紹介します。

カウンセラーのその子の性格や状況に合ったアドバイスで、親御さんはどう行動し、不登校の子はどう変化したのでしょうか?一緒に見ていきましょう。

不登校ゆうじくん(仮名)の事例

不登校ゆうじくん(仮名)の事例

ゆうじくんは、高校2年生の男の子。
普段は穏やかな子です。
小学校の時に、とても勉強を頑張り、中学受験後名門校に合格しました。
性格は、「好きなことはとても頑張れる」お子さんです。
パソコンが得意で、学校ではプログラミング部に入っていました。

親御さんがカウンセラーに相談した内容が、
「好きなことにはとことん頑張れるが、興味のないことは頑張れない。
その差が極端でどうして良いのか困っている。」とのことでした。

その後、ゆうじくんはだんだんと学校の遅刻や欠席が目立ってきました。
高校では、課題を出さずに、テスト勉強もしないので成績も下がってきました。
高校留年の危機です。

ゆうじくんは、勉強しなさいと言われると
「生きている意味がわからない。自分のことを傷つけたくなる」と、うつろな目で
言い、親のいうことを聞きません。その内に自分を追い詰めるような問題行動も起こすようになりました。
親御さんだけでは対応出来なくなっていったのです。

アドバイス①指示する、正論をいうことをやめる

アドバイス①指示する、正論をいうことをやめる

臨床心理士の福田俊介は、ゆうじくんの性格を分析しました。
彼の場合は、親御さんが指示したり、正論をいうことが逆効果になると判断しました。
こだわりの強い子には、一般論が通じないことが多いからです。
学校に行かないわが子に、「勉強しなさい」と声をかけたくなる気持ちもわかります。
でもそこはぐっと我慢してもらい、様子をみることにしました。

お母さんがカウンセラーのアドバイスを意識してから、ゆうじくんの表情の険しさが減ってきました。

アドバイス②子どもの意見を修正しないようにする

アドバイス②子どもの意見を修正しないようにする

子どもはまだ未熟なので、浅はかな意見や偏った考えがあることが多いです。
ニュースの話や、好きなYoutuberが言っていた意見、評論など、さまざまな方面から情報を仕入れてきます。親御さんと話して、自分が得た知識や考えを共有したいのです。
しかし、お子さんが話す度に親御さんから「それは違うでしょ!」と些細な間違いを訂正したら、どうでしょうか。子どもは話す気が無くなってしまいますよね。

そこでカウンセラーは、「親子の会話の中で、小さな間違いを修正しないように」とアドバイスしました。
もちろん、お子さんの発言に対して「この考えは危ないな」と親御さんが感じた場合は、修正したほうが良いでしょう。しかし、親子の会話の大半は何気ない日常会話です。
会話を楽しむ上で、多少間違った情報をお子さんが自信満々に語ったとしても何も問題はありませんよね。

まず、カウンセラーは、親子の雑談を通じてゆうじくんの気持ちをオープンにしていくことが最優先だと考え、お母さんにアドバイスをしました。

お母さんがカウンセラーのアドバイスを意識してから、ゆうじくんは色々お母さんに話をしてくれるようになりました。

カウンセリング 開始2ヶ月目の変化

カウンセリング 開始2ヵ月目の変化

カウンセリングを開始して2ヶ月になり、ゆうじくんに少しづつ良い変化が見られるようになりました。カウンセラーはこれらの小さな変化を見逃さず、お母さんにゆうじくんが成長していることを伝えました。

▶お母さんとゆうじくんの関係の変化

・お母さんの後を付いてきては、よく話をするようになった。
・冗談も言えるようになった。
・「僕は寂しがりやだから」と、ぽつりと本音も言えるようになった。

【カウンセラーより】
「お母さんがゆうじくんの話を否定しないで聞いてあげることで、ゆうじくんは安心して自分の気持ちを素直に表現できるようになってきましたね。

また、自分が「寂しがりや」と弱音をお母さんに伝えられるようになってきたのも、心を開いているからです。毎日お子さんと接している親御さんは、このような小さな変化に気が付かないこともあります。それをカウンセリングでお伝えすることにより、『うちの子は前進してる』と分かるのです。」

▶ゆうじくん自身の変化

・学校を休む日が少しずつ減ってきた。
・部活で活躍するようになった。
・自分からゴミ出しや風呂掃除をした。

【カウンセラーより】
「不登校のお子さんは、心根が優しい子がとても多いです。それ故に、学校や家庭で受け身になってしまっていることが多くあります。友達や先生の顔色を気にしたり、相手の要求に応えようとエネルギーを使ってしまうために、疲れてしまうのです。そうなると、自主的に何かアクションを起こす「学校に行く」ことなどが難しくなるんですね。

このゆうじくんが、お母さんに言われてないのに、自らゴミ出しやお風呂掃除もやってくれるようになったことは、自主性が出てきた、とても良い変化といえるでしょう。

また不登校のお子さんの中には、こだわりが強く、人のアドバイスを聞くことが苦手なお子さんも多いのです。そういうお子さんには、自主性の芽をしっかりと伸ばしてあげることがとても大切なのです。自主性の芽をしっかりと伸ばしてあげることで、人の意見はあまり聞けないけども、自分で判断して学校に行くことができるようになるのです。」

カウンセリングが上手くいきすぎ?注意すること

カウンセリング開始2ヵ月後、で、ゆうじくんに良い変化が起きてきました。
我が子の様子が変わってきたので、お母さんは
「先生、ほんとにありがとうございます。
ゆうじは良くなってきました。」
と、カウンセラーに目をキラキラさせて感謝してくださいました。

しかし、カウンセラーは、そのお母さんの様子に不安を覚えました。
皆さん、どうしてだと思いますか?

カウンリングを開始して間もない中、ゆうじくんはまだ安定していないのに、親御さんの気が緩んでしまい、ゆうじくんに影響が出てしまうのではないか。

カウンセラーの予想は的中。
次のカウンセリングで、面接室には暗い表情のお母さんが座っていました。

ゆうじくんが調子を崩してしまったのです。
学校に少しずつ行けるようになっていましたが、
ある時、親に内緒で学校にも連絡せず無断欠席をしてしまいました。

お母さんは落胆。

お母さんは落胆。とてもがっかりしてゆうじくんを責めると、ゆうじくんは部屋から出てこなくなりました。

カウンセラーはこう分析しました。

ゆうじくんは一時的に「元気」にはなったけれど、
まだ成長していなかったんですね。
元気には波があり、流動的です。
不登校を本当の意味で解決するためには、
人として、 成長させてあげることが大切なのです。
「元気になったから、うちの子は安心!」ではなく、
「成長したから、うちの子は安心◎」と考えていただきたいのです。

カウンセリング開始から間もない、ゆうじくんの場合、まだ成長途中です。
このように、カウンセリングの途中では、アップダウンがあります。軌道に乗せるまでの数か月間は勝負の時であり、努力と、工夫と持続が必要なのです。お子さんを輝かせるために。

親御さんの不安や思っていることもカウンセラーにぜひご相談してください。そうすることで、お子さんの不安定な時期を親御さんと一緒に乗り越えることができます。

アドバイス③楽しそうに話し続けることを受け入れる

ニコニコ元気よく話すようになったゆうじくん。
楽しそうに色々と話してくれるようになりました。
この段階でゆうじくんはまだ自主的に勉強はしていません。

しかし、お母さんのお気持ちはどうでしょうか?
不登校の息子がやるべきことをやらないでニコニコ、楽しそうに話していたら親はどう感じるでしょうか?最初は嬉しいですが、きっとイライラしてきますよね。
「楽しそうにしゃべってないで勉強しなさい」と言いたくなる方が大半だと思います。

しかし、カウンセラーからみたらこの状態は、ゆうじくんを成長させる大チャンスなのです!
機嫌が良いときは、人を成長させやすいからです。よく話をしてくれる状態は、心を開いているからです。
この状態を受け入れながら、会話を通してゆうじくんの自主性をさらに伸ばしてあげることが、不登校の脱出の糸口になるのです。

カウンセリングを受けた お母さんの感想

息子の気分の波に、落胆してしまうこともありました。
最初の3ヵ月はこれでいいのか、とても不安でした。

その度に、 カウンセラーの先生と話して、
私も気持ちを保つことができ、カウンセリングを続けられました。
息子はしばらく不調の時もありましたが、
元気を取り戻していきました。
今は、学校に行けるようになり、 親子の会話も楽しめています。

カウンセリングを通して、 息子との関わり方に自信が持てました。
親の私も成長できたと思います。

対応の仕方を変えるとは?医師からアドバイス

ここまで臨床心理士による不登校のお子さん向けアドバイスを3つお伝えしました。
しかし、親御さんのコメントに「子どもへの対応を変えたけどこれでいいのか分からない」
「続かない」などのお声も多く聞きます。
それではここで、精神科医 福田俊一のアドバイスを紹介します。

当センターの家族療法では、雑談、無意識の会話の中にこそ
お子さんを伸ばす糸口が豊富にあると考えています。

子どもが親に「相談したい」と伝えてきた場面で、
親が子どもにどう答えるかは、
親御さんにとって比較的簡単です。
しかし、日常の対応を変えるということは
一見簡単なようですが
無意識なのでなかなか難しいのです。

子どもの無意識のところを
親御さんは意識を集中して
流れを変えていかなければなりません。

お子さんを現状維持の流れから
どんどん伸びていく、変わっていく、
という流れに乗せていくのは結構骨の折れる作業なのです。
専門家の助けが必要な場合が多いと思います。

淀屋橋心理療法センター所長 医師 福田俊一

精神科医 福田俊一の不登校【Q&A】

治療説明会では、淀屋橋心理療法センター所長であり、精神科医の福田俊一のQ&Aコーナーがあります。参加された方のご質問に福田が答える人気のコーナーです。
今回、2つのご質問に福田が答えています。ぜひ、ご参考になさってください。

ゲーム依存症で不登校(中学生)

Q.ゲーム依存で不登校になっています。昼夜逆転の生活をどう直したらいいですか?

「生活のリズムを変えることはとても難しいです。昼夜逆転を直そうと、そこだけにフォーカスしてしまうと親もついつい口うるさくなってしまいイライラしてしまいます。
また、子どもはそんな親を見て、壁を作ってしまい心を閉ざしてしまいます。
無理はしない方がいいですね。

まずは、昼夜逆転の問題を根底から見つめ直してみましょう。
ゲーム依存症の子は、物事にハマる性質(こだわりの性格)があります。
そのような子にゲームを無理にやめさせるのはとても難しいです。
こうなったら、ゲームを利用してゲーム以外のことに意識を広げてあげる作戦!がよくききます。お子さんがゲームについて話す力、説明する力(自主性を伸ばしてあげる)ことが大切です。
お子さんとどんな会話をしているか記録してみることもおすすめします。

親子の雑談はできていますか?
子供の話を訂正、否定しながら聞いていないですか?不登校治療では、お子さんの変化や良い部分をカウンセラーと分析しながら、その子の自主性を伸ばしてあげることをします。そうすることで、自主的に「〇〇したい!」「学校にいきたい」と活動的になってきます。」

不登校の姉と妹の間でギクシャク(小学生)

Q.不登校の姉と、学校に頑張って行く妹の間でギクシャクしています。「お姉ちゃんは学校も行かず好きにやってていいな」と不満が溜まっています。どう対応したらいいですか?

「実は、兄弟、姉妹間が一番もめやすいです。
お母さんも板挟みになって大変なことでしょう。

姉・妹・母の三角関係に入らないことが大切です。ポイントは、それぞれの言い分を聞いてあげることです。
一対一の関係で、姉の言い分、弟・妹の言い分を聞いてあげる。
淀屋橋心理療法センターでは、この様なケースに悩む親御さんのカウンセリングを多くしてきました。その解決の方法を多く持っていますが、お子さんの性格や状況がそれぞれ異なるため、ここでは簡単にはお伝えできません。

不登校のカウンセリング

不登校でお困りの場合、学校のスクールカウンセラーや行政の相談窓口、また民間のカウンセリングセンターなどに早めに相談することが大切です。
ご両親や家族で抱えていると、悩みが大きくなり、複雑になっていくからです。
まずは、信頼できる相談先、カウンセラーを見つけましょう。

淀屋橋心理療法センターの不登校治療

不登校や摂食障害などの多くのカウンセリング実績がある、淀屋橋心理療法センターのカウンセリングの特徴をご紹介します。

<淀屋橋心理療法センターの特徴>

  • お子さんの来所は基本的に不要です。
  • 親御さんとお話し、お子さんの性格に合った対応・解決策などのアドバイスを差し上げます。
  • 昼夜逆転の生活から健康的な日常生活が送れるように、お子さんの自主性を育てながら治療を進めていきます。
  • 精神科医・臨床心理士によるカウンセリング。
  • オンラインカウンセリング対応。
    (Zoom、FaceTime、電話など)

お子さんをカウンセリングに連れて行くのが大変という親御さんも多いです。
子どもの理解が得られなかったり、昼夜逆転の生活で外出のハードルが高かったりなどあると思います。

淀屋橋心理療法センターのカウンセリングの場合、原則本人の来所は不要です。
親御さんに来所していただき、お子さんの性格や行動を分析します。
その子に合った、声かけや接し方をすることで心を開いてもらい、学校に行けるように自主性を高めてもらう方針です。

医師と臨床心理士の判断によっては、オンラインカウンセリング(Zoom、FaceTime、電話)でもカウンセリングが可能です。日本全国、また海外からのご相談に対応しています。

カウンセリングの方針やカウンセラーとの相性などが気になる方は、【事前相談】がお勧めです。カウンセリングを始めるか悩まれている方はご相談してみてはいかがでしょうか。

子どもの不登校「生きづらさ」をチャンスに

子どもの不登校「生きづらさ」をチャンスに

ここまで、不登校について、そのパターンや特徴、不登校治療説明会で紹介された回復事例などをお伝えしました。親御さんは決しておひとりで抱え込まず、カウンセラーや医師など、専門家の力を借りることも必要です。早めに対応することで、親御さんの精神状態安定し、不登校のお子さんをサポートしやすい体制になるからです。

また、そのお子さんが抱えている、「生きづらさ」が何なのか、その子の考え方の特徴や性格から知ることができたら、不登校の解決の糸口も見えてきます。

「不登校は子供も、親も成長できるチャンス」にすることができるのです。 親御さんは、ゆったりとした気持ちでいながらも、適切な対応でお子さんをサポートできるかが、不登校克服のポイントになります。

【「不登校」関する記事はこちら】

【不登校に関連する記事はこちら】

2024.01.20  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》上江洲りべか

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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