昔は手のかからない良い子? 過食症になる人・ならない人

9月9日(金)開催 過食症を乗り越えるための親御さん向け勉強会

ご家族の方に「過食症の正体」を理解してもらうことが、なぜ必要なのでしょう?

当センターで開催している過食症に特化した勉強会は、今回で第6回目となりました。

第1回目から遡ってみると、「過食症の正体とは何か」や、「過食症の治療には、なぜ親御さんの協力が重要なのか」について、繰り返しお伝えしていることがわかります。

ご家族の方に「過食症の正体」を理解してもらうことが、なぜ必要なのでしょう?

過食症とは、ただの食べ過ぎてしまう病気でも、見た目や体重にこだわるだけの病気でもないことは、過食症で悩むお子さんのそばにいる親御さんなら、既にご承知の事と思います。

しかし親御さんにとって、過食症は正体不明の不思議に満ち溢れたものとお考えの方も、少なくはないのでしょうか。

「過食症は、なぜこんなに治すことが難しいの?」
「大事に育ててきたつもりなのに、どうして親のことを恨むようになったの?」

当センターに来所された親御さんの中には、このように行き詰まり、悩みを抱えている方も多くおられます。過食症は、過食症を患っているお子さん本人ですら、自分のことがわからないまま苦しんでいることが多いため、親御さんが理解しがたいのも無理はありません。

過食症は
・親御さんの適切な協力のもと治療をおこなえば、とてもきれいに治る可能性が高い病気である
・しかし、治すのには専門的なコツがある
というのが、当センターの認識です。

過食症の正体の全てを把握することは、簡単なことではありません。

しかし、過食症の根っこの部分が少しでもわかるようになると、お子さんのことをより身近に考えられるようになり、治療の効果も上がるのではないでしょうか。

今回の勉強会レポートでは、過食症をどう捉えるかについて、少しお話したいと思います。

過食症をどう捉えたらよいでしょう

過食症をどう捉えたらよいでしょう

【① 過食症になるまでの途中経過は、一般的な成長の通過点と変わらない

過食症を発症すると、「食」をはじめ、物事に対するこだわりがとても強くなるケースが多く、親御さんはお子さんの事を「気難しい」「扱うのが大変だ」と感じることがあると思います。しかし、過食症になったお子さんは、以前からそういう性格だったでしょうか?

過食症になる前は、

・ 適応力が高い

→周りに合わせるのが上手 人が何を望んでいるか考えられる〈特に家の外で〉…など

・ 育てやすい

→不平・不満をあまり言わず、親子関係がうまくいっている兄弟のお世話やお手伝いを積極的にする …など

このような、親御さんにとってわりと育てやすかった性格のお子さんも多いのではないでしょうか。(もちろん、当てはまらないお子さんもいらっしゃると思いますが)

しかし思春期などをさかいに
「自分らしく生きたい!」「現状を変えたい!」
というエネルギーが体の奥から湧き出でくるのです。
※これは、成長する上で自然の流れです

そのエネルギーが、反抗期として形になる子もいれば、
何かに打ち込むという子もいるし、
たまたま、「痩せたい」という気持ちに
グッと集中する子もいます。

「自分らしく生きたい!」「現状を変えたい!」というエネルギーが体の奥から湧き出でくるのです。

【② 成長する人、過食症になる人、その分岐点

自分の殻を破るエネルギーとして、「痩せたい」に打ち込むことは悪くありません。
初めは、痩せることによって自分が生まれ変わった気分になり、喜びを感じるでしょう。

過食症(または拒食症)の芽が出かかっていたとしても、その気持ちを利用し、乗り越えて、自分を成長させることができればそれで良いのです。 しかし・・・

【③ いつまでたっても穴に詰まって抜け出せない、それが過食症

「痩せたい」という気持ちは、成長のための起爆剤の一部でしかないはずなのに、いつまでたっても「痩せたい」の場所に執着し、気持ちが止まったまま…

過食症になる人は、いつまでも思春期の穴に
詰まったまま、時間がストップしたようにその場にとどまり
続け、成長できません。

詰まっている場所の、その奥に隠れているものは何でしょうか・・・?

いつまでたっても穴に詰まって抜け出せない、それが過食症

【④ 過食症という詰まった穴から、お子さんを引っ張り出す

では、詰まっている穴からズルズルと引っ張り出すと、どんなことが起こるでしょう?

「痩せたい」のその先にある、「本当に求めているもの」がでてくるはずです。

それは、本当になりたい自分だったり、やりたい事だったり…
痩せることがその方の全てではなかったことが わかるでしょう。

過食症という詰まった穴から、お子さんを引っ張り出す

このことから考えてみても、薬をつかって一時的に食生活や心理状態を改善しても、
過食症をきれいに完治させるには、あまり効果を感じられない可能性があることがわかると思います。

食のコントロールや体型の維持だけに焦点をあて、自分自身の欲求と闘い続けていても同様です。

では、どうやって「過食症」という詰まった穴から引っ張り出していくのでしょう。
それについては、勉強会などでお会いし直接お伝えさせていただけたらと思います。

おわりに・・・

おわりに・・・

所長の福田俊一は言います。 みんなが間違えてしまいがちな事…それは順番です。

過食が治ったら・・・→ 「幸せになれる」
「自信が持てる」ようになるわけではありません。

先に幸せになり、自信を持つ。
そしてその過程の中で、過食が治っていくのです。

ですから、過食克服だけにこだわってはだめなのです。
過食を受け入れ、一緒に暮らしつつ、自分の幸せになれる方法を考えていくのです。
そうしているうちに、気づいたら過食がいなくなっている…そのようにして、過食症をきれいに治していきます。

「過食症になったから、自分の幸せを考え、成長できる機会を持てた。
過食症になったことにも、意味があったと思える」

そこまでくることができれば、再発の可能性もなくなるでしょう。

勉強会では、この内容の他にも、臨床心理士・福田俊介による事例紹介や、 Q&Aコーナーなど、たくさんの情報を発信し、少しでも親御さんた達のお力になれたら良いなと考えております。

皆様、ぜひご参加ください!

次回の「過食症を乗り越えるための親御さん向け勉強会」は、
2022年11月18日(金)に開催いたします。

次回の「過食症を乗り越えるための親御さん向け勉強会」は、2022年11月18日(金)に開催いたします。

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2022.11.15  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》湯浅愛美

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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