カウンセリングに失敗しやすい例 3選

更新日:2026.05.01
カウンセリングに失敗しやすい例 3選

淀屋橋心理療法センターのホームページには成功した事例がたくさん紹介されていますが、カウンセリングが失敗に終わってしまうケースも存在します。今回は、“よくある”カウンセリングがうまくいかなかった事例を臨床心理士・福田俊介が厳選して3つご紹介します。

現在カウンセリングを受けていらっしゃる、または、これから受けようと思っていらっしゃる親御さんはぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事の執筆者
カウンセラー:福田俊介(ふくだ しゅんすけ)
福田俊介(ふくだ しゅんすけ)
臨床心理士・公認心理師(国家資格)。家庭内暴力をはじめ、不登校・過食症・リストカットにおいても高い治療成績を上げる。大阪府公立学校スクールカウンセラーとして現場に立ちながら、養護教諭や行政機関の専門職向けに研修・講演も精力的に行っている。

カウンセリング失敗例①:短期間でよくなりすぎて油断

短い期間で結果が出すぎて親御さんが油断されるケース:カウンセリングの失敗しやすい例

まずは、短い期間で結果が出すぎて親御さんが油断されるケースです。

過食症の高校生の女の子の事例をご紹介しましょう。
彼女は毎日のように食べては吐いてを繰り返していました。
学校も休みがちになり、親御さんがカウンセリングに来られました。

過食症の高校生の女の子の事例:カウンセリングの失敗しやすい例

彼女の弱点は、物事が思うようにいかなかったときに「まあいいか」と思えず、ふさぎ込んでしまうところ。

そこで、カウンセラーは初回の面談で親御さんに「彼女が“まあいいか”と思えるようになること。まずはこれがひとつの目標ですね」と伝えました。

「先生、娘の症状が良くなるにはどれぐらいかかるんでしょうか?」とお母さん。

カウンセラーは「個人差はありますが、早くて3カ月。
半年あるいは1年ぐらいかかることもあるかもしれません」とお伝えしました。

個人差はありますが、早くて3カ月:カウンセリングの失敗しやすい例

さぁ、カウンセリングが始まりました。
すると、彼女はものすごく速いスピードで良くなっていきました。

カウンセリング開始からわずか1カ月半後には、物事が思い通りにいかなかったときに「まあいいか」と発言するようになったのです。
親御さんは目をキラキラ輝かせてカウンセラーに言いました。

「娘にこんなに早く良い変化が起こるなんて!」

個人差はありますが、早くて3カ月:カウンセリングの失敗しやすい例

カウンセラーもあまりの変化の早さに、このカウンセリングが楽しみで仕方がありませんでした。とても順調なケースでした。

ところが、ある日の面談。親御さんはがっくりとされた様子でした。
お母さんのスマートフォンの検索履歴を娘が見てしまい、「気難しい育てにくい子どもへの接し方」とお母さんが調べていたことがバレてしまったのだそう。

個人差はありますが、早くて3カ月:カウンセリングの失敗しやすい例

せっかく良くなっていたのに、その事件から娘さんは口数が減り、また過食の状態が悪化してしまいました。そして、その親御さんは「ちょっとしんどくなったので…」と、カウンセリングを中断することに。

検索履歴を消さずに自分のスマホを放置することは、一般的にはごくごく普通にあることです。ですが、問題を抱えているご家族にとってはトラブルの元になることもあり、日頃から慎重になる必要があります。

このように、早いスピードで順調に進むカウンセリングは、親御さんがすぐに油断してしまう傾向があるのです。

早く良くなりすぎる場合は「油断」に注意です。

カウンセリング失敗例②:アドバイスを実践できない

アドバイスを実践できない:カウンセリングの失敗しやすい例

次に多いパターンは、カウンセラーがアドバイスしたことを親御さんがなかなか実践できないケース。

ご相談内容にもよりますが、カウンセラーは親御さんに「あまり意見を言わず、お子さんに同調してあげてください」とアドバイスすることがあります。

ある引きこもりの20代後半の女性の話です。
その娘さんは、親御さんが長めに言葉を返すとしゃべらなくなる傾向があったので、親御さんには「とにかく返事は短く返す」ということをアドバイスしました。

ところが、何度お伝えしても、親御さんは短く返すことができず、自分の意見を必ず付け加えてしまうのです。

アドバイスを実践できない:カウンセリングの失敗しやすい例

カウンセラーは「お父さんお母さん、このままじゃダメですよ。
もうちょっと自分の意見を減らして、返事を短くするようにしてください」と伝えました。

ところが、次の面談でも、ご両親ともに短く返すということができていません。
そんな形で面談が4回、5回、6回目…と続いていきました。

7回目の面談。カウンセラーは言います。
「大変申し上げにくいのですが、今みたいな対応を続けていると結果が出ないです」とお伝えしました。

すると、親御さんは
「毎回注意されてしんどいんです。しかも、効果もあまり出てないので、カウンセリングはもう辞めます」

と、カウンセリングを中断されてしまいました。

カウンセリングを中断:カウンセリングの失敗しやすい例

このように、最初の段階で親御さんが正しい対応を身につけられない場合、カウンセラーに同じことを何度も指摘され、親御さんの気分が下がってしまうことがあります。お子さんへの効果も上がりにくく、カウンセリングを中断する方向へと舵を切ってしまうのです。

最初が肝心です。

カウンセリング失敗例③:勝負どころで勝ちに行けない

勝負どころで勝ちに行けない:カウンセリングの失敗しやすい例

最後、3つ目のパターンは、勝負どころで勝ちに行けなかったケースです。

20代の拒食症の女性がいました。
「親子の会話が大事です」とカウンセラーは親御さんに伝えていました。
娘さんは、以前からお母さんに対して口数の少ない子でした。

娘さんの口数が増えたらいいのですが、親御さんにカウンセラーが具体的にアドバイスしてもなかなか娘さんの口数は増えません。

2カ月が経ち、3カ月が経ちました。娘さんの口数は増えません。
大体平均的には3、4カ月経てばお子さんの口数が増えてくることが多いのですが、
4カ月経っても5カ月経っても、なかなか娘さんの口数、そして、笑顔も増えませんでした。

20代の拒食症の女性:カウンセリングの失敗しやすい例

カウンセリングを始めて半年。
カウンセラーが「これは長期戦だな…」と思っていた矢先、急に娘さんの口数が増え出しました。
そのときから笑顔も増え、お母さんの肩を触ってきたり、急に親子関係が良くなってきたのです。

急に娘さんの口数が増え出しました:カウンセリングの失敗しやすい例

カウンセラーが言いました。「お母さん、今までよく耐えてくださいましたね。正直、他の人よりも時間がかかりました。でも、続けていたらちゃんと効果は出るんですね。娘さんがよく喋るようになって、今はチャンスが来ています。ここからもぜひ一緒に頑張っていきましょうね」

これまで親御さんは2週間に1回のペースでカウンセリングを受けていたのですが、「次のカウンセリングは1カ月半後にしてください」と親御さんがおっしゃいました。
カウンセラーが「いやいや、ここは勝負どころだから、引き続き2週間後に来てください」と返します。

ところが、親御さんは「私、親の介護や仕事があって忙しいので」と、1カ月半後に予約を取られました。

さあ、1カ月半後のカウンセリングはどうなったでしょう…。

1カ月半後のカウンセリングはどうなったでしょう...:カウンセリングの失敗しやすい例

カウンセリングルームには、がっくりと肩を落とされている親御さんの姿が。
娘さんがお母さんと喧嘩して部屋に引きこもるなどして、娘さんの口数が再び減ってしまったのです。

これまで頑張ってきて、チャンスが訪れた。その勝負しなければいけないところで、急に手を抜いてしまう親御さんがいます。勝負どころで勝ちに行かなかったら、このように負けてしまうのです。

カウンセリングの失敗パターンから学ぶ

Miss:カウンセリングの失敗しやすい例

今回は当センターで“よくある”カウンセリングの失敗事例を3つご紹介しました。

「よくある」と書いた通り、これらの失敗談は誰もが陥りやすいものばかり。
当センターのホームページに掲載されている成功事例の親御さんたちも、失敗せずにすんなりとゴールにたどりついたわけではありません。
失敗を乗り越え、諦めずにコツコツと続けてきた結果が成功へと繋がったのです。

ふとしたときにこの「失敗パターン」を思い出し、意識いただけると、当センターでのカウンセリングの効果は出やすくなります。

油断も経験! 幾度の失敗を乗り越えて過食症を克服した親子の実話
▼【摂食障害克服】過食症カウンセリング体験手記| vol.3 大荒れ、嵐の始まりと収束
https://www.yodoyabashift.com/column/25289/

ほか関連記事はこちら

▼臨床心理士が伝えたい保護者カウンセリング成功の秘訣は
「油断しないこと」
https://www.yodoyabashift.com/column/25103/

【子どものカウンセリング】悪化してる?実は回復のチャンスかもしれません
https://www.yodoyabashift.com/column/21155/

【公式】淀屋橋心理療法センター youtubeはこちら
▼親子の会話が大切な理由とは?
https://www.youtube.com/watch?v=kNMNnRhoz1A

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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