<拒食症の治療は植物を育てるように>

<拒食症の治療は植物を育てるように>

~「親御さんのための拒食症治療説明会」が開催されました!~

*拒食症は体重の減少が急激な場合、すぐに治療に取り掛かる必要があるため、「勉強会」から「説明会」に名称変更しました。

まだまだ肌寒い2月15日、「親御さんのための拒食症治療説明会」を開催しました。説明会は、当センター所長、福田俊一の話から始まりました。

🌷 まずは心の回復を 🌷

拒食症になる子は、他者に気をつかい、場の空気を読む力に長けている反面、強い自己主張を秘めていて、信じたものを貫きたい芽が出口を求めて土の中に潜んでいます。芽を伸ばせる場所を見つけられない時、「痩せる事に執着する」という変わった出口から自分の殻を突き破ろうとするのですが、この芽の力は強いので、押し戻すのは難しいんですね。

「自分らしく生きたい」「信じたものを大切にしたい」という気持ち、エネルギーが芽を後押ししているので、「自分らしく生きたい」という気持ちが伸びるように援助してあげると、痩せる事に執着する気持ちが徐々に薄れていきます。そうすると、過食にも走らず、健康な体を取り戻せるようになります、との内容でした。

🚀 大学生Aさんの事例紹介 🚀

次に、臨床心理士の福田俊介から、当センターのカウンセリングで拒食症が解決した事例が紹介されました。 Aさんはダイエットから拒食になった大学生で、初診時の体重は29kgと危険水域でした。協調性は高いものの、完璧主義で自信がなく、なにより親御さんに甘える事が苦手でした。

ご両親と最初に訪れた病院では「食べる量を少しずつ増やしましょう」、次に通院した病院では「親の受容と共感が大事」という助言を受けたそうです。しかしAさんの状態が好転する事はありませんでした。

拒食症の治療は最初が肝心で、軌道に乗れば大丈夫なのです」との福田の説明に、身を乗り出して聞き入る方も居られました。

来談されたお母様に対するカウンセラーの助言により、1ヶ月後には母親の髪を触るなど、甘える様子を見せるようになってきたAさん。ここで福田が「お子さんは甘えてきますか?」と参加者の皆様に質問したところ、シーンと静まり返る会場。

その後、紆余曲折があったものの、Aさんの体重は1年2ヶ月後に50kgまで増加しました。逆に過食に陥る事も無く、元気いっぱい勉強やサークル活動に取り組み、学生生活を謳歌されるまで回復しました、という事例でした。

終了後、参加者の方から、「上手く行き過ぎではないか?」という感想が聞かれましたが、決して特別上手くいっているケースを取り上げたわけではなく、当センターの治療経過の典型例のひとつなのです。

🐶 質問コーナー 🐶

Q:以前入院した病院の主治医に「娘さんは、お母さんのような女性になりたくないと必死に成長を拒まれている。治るか治らないかはお母さんしだいです。」と言われた言葉が心に刺さっていて、娘に対する懺悔の気持ちで毎日を過ごしているのですが、どうすれば良いのでしょうか。

A:これは「成熟の拒否」という古い理論で、囚われる必要はありません。母と子の歯車を上手く噛み合わせる事が出来たら、娘さんの中に建設的なエネルギーが生まれてくるでしょう。

Q&Aの時間では、質問されたかた全員がお子さんの状況を詳細に説明され、質問コーナーというよりミニ相談会という雰囲気になっていたのが印象的でした。皆様には寒い中ご足労頂き、誠にありがとうございました。

※その他、こちら← に、「Q.怒られたりしないか心配です」とのご質問にお答えしています。よろしかったらこちらも参考になさってください。

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2022.3.8 著者:<淀屋橋心理療法センター> 公認心理師 益子玄一郎

2022.03.08  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》公認心理師 益子玄一郎

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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