「イキイキと学校のクラブの部長を務めていると思っていたわが子が、実はリストカットをしていて、子供部屋のゴミ箱に、血の付いたティッシュが捨ててあるのを見つけてしまった。」
「学校の先生から、あなたのお子さんはリストカットをしているようですと連絡が入り、わが子がリストカットをしていたことを初めて知った。」など、
お子さんがリストカットをしていた事実を知った時。
親御さんの衝撃は、計り知れないものではないかと思います。
目次
なぜリストカットしてしまうの?
お子さんがリストカットしていることを知り、心配で、「なぜリストカットするの?どうして?」とお子さんに聞いても、お子さんは何も答えてくれず黙ってしまう・・・・
数日後、お子さんの部屋に行くと、また血の付いたティッシュが部屋にあるのをみつけてしまう。
その度に、親御さんは心を痛ませ、(なぜなんだろう?わが子はどうなってしまったんだろう?)と、不安になるばかり。
このようなケースは、リストカットのお問い合わせのお電話で何度もお聞きする内容です。
本来であれば、その理由をお子さんの口から聞くことができればよいのかもしれません。
理由が分かることで、そのことを改善し、リストカットが治ることもあるのかもしれません。
ですが、リストカットするお子さんは、理由や本当の気持ちを答えるところまでに至らないのがほとんどのようです。
親御さんが心配されて、声をかけたとしても、「大丈夫」とか、「ほっといて」などと、理由を説明してくれるどころかまた切ってしまっていた、親御さんに傷口をかくす、あるいはどんどん傷口が増えていく、といったお子さんが多いようです。
リストカットをする子どもの心理
2024年4月16日リストカット・OD親御さんへの治療説明会が行われました。
当センター所長で精神科医の福田俊一(以下、医師福田俊一)は、「生き方に無理をしている子、すごく無理をしているのに学校でニコニコ振る舞っているような子にリストカットをするお子さんが多い」と話します。
無理に無理を重ね、それでも笑顔をつくってしまうお子さんの気持ちとは、一体どのようなものなのでしょう。
笑顔の部分とは裏腹に、自分の体を傷つける行為をしてしまうお子さんの気持ちとは、いったいどのようなものなのでしょう。
当センターHPのリストカット(自傷行為)を説明するページでは、”どうしようもない感情の嵐から解放されるためにするようです。
リストカット以外に楽になる方法を知らないのかもしれません。
ご家族は、なぜそんなことをするのかと理解に苦しみますがリストカットをする人の中には「血を見たらホッとする」と言う人もいます。
ご本人(お子さん)にはリストカットが「私にはこれしかない」「これが私の救いだ」となっている人が多いのです。”
と、あります。
リストカットしてしまうお子さんに対して、「リストカットしちゃダメだよ」「命にかかわるよ」「心配してるよ」と、外部からあれこれいっても本人には伝わらない、だからお子さんの心の内部にある解決に至る芽の部分を伸ばしていくんだと医師福田俊一は言います。
では、一体どのような方法をとれば、お子さんの心の内部にある解決に至る芽を伸ばせるのでしょうか?
リストカットに関係する問題5問(親御さん向け)
説明会では臨床心理士福田俊介が、リストカットが解決した事例を話しました。
まずは、問題に答えて頂く前に事例をお読み下さい。
~リストカットするお子さんがカウンセリングで解決した事例~
臨床心理士福田俊介より
4人家族で、2人きょうだいの長女Mさん。
Mさんは、過呼吸があり不登校、そしてリストカットをしていました。
親御さんに相談することが全くなく、ネット上の知り合いが相談相手。
クラブ活動のグループLINEで、自分以外の悪口を言っている人の話を聞くのをしんどがり、怖がっていたようですが、そんな内心とは裏腹に、表面では周りに合わせ無理をしてニコニコしていたそうです。
当センターでカウンセラーのアドバイスのもと、お母さんは娘さんへの対応を工夫していかれました。
少しずつ表情が変わってゆき、明るい様子になっていたMさん。
ところが、また突然リストカットを・・・
お辛いお気持ちの中、それでも頑張ってカウンセリングに通ってくださったお母さん。
お母さんのサポートの甲斐もあり、自己中な友人に振り回されていたMさんが、その友人の誘いもうまく断れるようになってきました。
親御さんにも甘えたり相談できるようになり、今まで言えなかったことが言えるようになりました。
その後、徐々にリストカットと過呼吸が収まってゆき、学校に行ける日も増えていったという内容でした。
リストカットに関する問題5問スタート
今回はその内容の中から問題を5問お出しします。
説明会に来られた親御さんには、説明会の中で臨床心理士福田俊介がお話しした内容を思い出し復習していただいた上で、お子さんの対応に向き合って頂きたいとおもいます。
そして、まだ説明会に来られていない親御さんには、問題の答えを想像しながら考えて頂き、予習していただくことで、次回来られたときにはより深い理解をしていただけるのではないかと思いますので、答えてみていただけませんか?
問題
【問1】事例に出てきたお子さんはどんな特徴がありましたか?
説明会に参加されていない親御さんは、ご自分のお子さんと照らし合わせてみて下さい。
(下記の中から、3つお答えください。)
① よく喋る
② 心配性
③ 社交的
④ 緊張しやすい
⑤ 甘えない
【問2】臨床心理士福田俊介は、親御さんにお子さんへの対応の大切なポイント2つ言いましたが、それは、どれでしょうか?
(下記の中から、2つお答えください。)
① お子さんにどんどん質問する
② 声かけや、話の聞き方
③ リストカットしていないかチェックする
④ 親御さんの精神状態
⑤ 理性的なことを教える
【問3】臨床心理士福田俊介は事例の中で、カウンセリングを受けていただいた親御さんに対し、お子さんを見る時に、どういうところを大切にしたほうがいいと言いましたか?
(下記の中から、1つお答えください。)
① 顔色を見る
② 様子が悪い所を見る
③ 良い変化を見る
【問4】「説明会に参加された親御さんから、お子さんを成長させるためには会話が大切なんですとお伝えすると、“子どもとはよく話しています”と言われることがありますが、親子の会話は精度が大切なのです。」と、臨床心理士福田俊介はいいます。
さて、どのくらいの精度であればお子さんを成長させることができるでしょうか?
(下記の中から、1つお答えください。)
① 40パーセント
② 60パーセント
③ 80パーセント
【問5】臨床心理士福田俊介は、親御さんがお子さんと話をする時に、どういう話ほど大切だと言いましたか?
(下記の中から、一つお答えください。)
① 意味のある話
② 過去を悔やむ話
③ 中身のない話
答え合わせ
いかがでしたでしょうか?次は答えを出しますね。
【問1】事例に出てきたお子さんはどんな特徴がありましたか?
【答え】②心配性 ④緊張しやすい ⑤甘えない
【臨床心理士福田俊介による解説(以下解説)】リストカットするお子さんの特徴として、心配性で緊張しやすい、そして親御さんに甘えるのが苦手な子が多いのです。ただ、ポーカーフェイスの子も多く、自分が心配性で、緊張しているのを悟られないようにしている子も多いのです。
【問2】臨床心理士福田俊介は、親御さんにお子さんへの対応の大切なポイントを2つ言いました。それは、どれでしょうか?
【答え】 ②声かけや、話の利き方 ④親御さんの精神状態
【解説】多くの親御さんは、声がけの方法や話の聞き方など、テクニック的なところを知ろうとされます。しかし、それらが効果を発揮するのは親御さんの精神状態が、ある程度よくないといけません。親御さんがイライラしている雰囲気の時に、優しい声がけをしたところで、うまくいかないのです。
【問3】臨床心理士福田俊介は事例の中で、カウンセリングを受けていただいた親御さんに対し、お子さんを見る時に、どういうところを大切にしたほうがいいと言いましたか?
【答え】 ③良い変化を見る
【解説】我が子となると、どうしても問題な面に注目してしまいがちです。ですから、お子さんの良い変化を見逃さないようにしましょう。と私は伝え続けていますが、これがなかなか難しい・・・
【問4】「説明会に参加された親御さんから、お子さんを成長させるためには会話が大切なんですとお伝えすると、“子どもとはよく話しています”と言われることがありますが、親子の会話は精度が大切なのです。」と、臨床心理士福田俊介はいいます。
さて、どのくらいの精度であればお子さんを成長させることができるでしょうか?
【答え】 ③80パーセント
【解説】多くの親御さんは、60%くらいの精度で対応ができていると合格ラインだと思っておられるようです。しかし、早く大きな結果を出そうとしたら、その精度では不十分です。80%くらいの精度で対応できるように、カウンセリング中は何度も親御さんの対応を確認しながら進んでいます。
【問5】臨床心理士福田俊介は、親御さんがお子さんと話をする時に、どういう話ほど大切だと言いましたか?
【答え】 ③中身のない話
【解説】中身のない、しょうもない話すらできない相手と、深い話をしたいとなかなか思いません。特に、子どもの場合はそうでしょう。結局中身のない話を大事にすることが、不安や悩みを語らせることに繋がるのです。
以上となります。
子どもとの会話の精度の重要さとは?
5つの問いを見ていただいて、どのような感想をお持ちになられたでしょうか?
「私の対応、あってるかもしれない」「子供の話もちゃんと聞けているし、このままで大丈夫かもしれない」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
念を押して言いますと、お子さんとの会話の精度は80%なければお子さんの成長を促すことはできないようです。
では、80%の精度が如何なるものなのか?
それは、説明会で臨床心理士福田俊介がわかりやすく説明していますので、是非とも参加していただいてご自宅での実践に役立たせていただければと思います。
リストカットするお子さんの心が内部から変わっていく方法とは?
答えは、5つの問いの答えから少しずつ見えてきますよね。
心配性で、緊張しやすく、あまり甘えることのないようなお子さんに対して、「リストカットしちゃダメだよ。」と、正論で諭してもお子さんには響きません。
「お母さん(お父さん)は心配してるよ。」「なぜ、リストカットするの?」などといった、質問をしてもはっきりと答えることはできません。
むしろ、親御さんがお子さんに対して、声かけや話の聞き方を工夫し、親御さんの精神状態を安定させ、良い変化を見続けることを意識し、たとえ中身のないような話に思えても根気よく聞いていくうちに、少しずつ、ほんの少しずつ、お子さんの内面が変わってゆき、お子さんがゆっくりと気持ちを話はじめるのです。
文章で書くとたった数行で簡単に見えそうですが、実際は、この何十倍ものエピソードと、お子さんの状態のアップダウンがあり、それに負けない親御さんの根気が必要になります。
医師福田俊一は、例えで、「最初は負け戦」だと言います。最初のうちは、いくら親御さんが心配したとしても、説得したとしても、叱ったとしても、一生懸命話を聞いたとしても、お子さんのリストカットは変わりません。
だけど、「いまに見ていろ」なんだと。
お子さんがリストカットしている親御さんは、ハラハラしながら、いたたまれない毎日をお過ごしになっておられるでしょう。
ですが、カウンセラーとの連携を取って頂きながら「いまに見ていろ」と根気よく、お子さんとの会話を大切にして頂くことで、お子さんが変わっていくのです。
是非とも、当センターにご相談に来られた親御さんには、お子さんとの会話を大切にして、お子さんを成長させていただくことで、リストカットの心配のない家庭を勝ち取って頂きたいと思います。
参加された親御さんのご感想
リストカット治療説明会に参加された親御さんの中には、ポロポロと涙を流してお子さんのことをお話ししてくださる親御さんがいらっしゃいました。
お子さんのことが心配でしょうし、とても不安に思われているのでしょう。
お気持ちが痛いほど伝わってきました。
Q&Aコーナーでは、親御さんは食い入るように次々と質問されていてリストカット治療に対する真剣みを感じました。
こちらが、参加された親御さんのアンケートに答えてくださった内容です。
リストカット治療説明会を終えて
リストカットの治療は一筋縄ではいかないですし、とても根気がいることですが、親御さんがコツコツとお子さんに対応してくださることで、リストカットは治ると医師福田俊一はいいます。是非ともカウンセラーと協力して、親御さんには頑張って頂きたいと思います。
説明会の最後の所で、医師福田俊一が今後の夢を語っていました。お越しいただいた親御さんは、それを聞いて思わずクスッと笑っておられました。さて、いったいそれはなんだったのでしょう。
答えは、LINE、X、Instagramで ^^
リストカット(自傷行為)
リストカットの意外な治し方
リストカット(自傷行為)チェックリスト子どものSOSに気が付くためには?