2020年も残すところあと数週間となりました。今年は、日々の生活スタイルが急速に変わった1年でした。きっと多くの方が戸惑い、これから先、当たり前の暮らしが戻ってくるのか、不安に思われているのではないでしょうか。そんな中、当センターでは11月28日に「不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催いたしました。寒い中、定員が埋まるか心配しておりましたが、お申し込みを開始してから3日で定員になり、うれしく思いました。
受付の私は、お電話で毎日、親御さんから不登校に関するお問い合わせをお受けしておりますが、いつもと違う生活に不安を感じているのは、子ども達も一緒なのだと再確認しています。
勉強会は、まず当センター所長の福田俊一の話から始まりました。子どもを理解するポイントについて、過去の治療ケースの話を交えながらお伝えしました。そして「子どもがこけないようにするよりも、こけた時に立ち上がれる力を養いましょう」と話し、そのために“今なにから始めたら良いのか”について、親御さんに聞いていただきました。また、事前のアンケートで「不登校は本当に治るのか」というご質問を、親御さん全員からいただいていたので、そちらについてお答えしました。その他に、それぞれの親御さんから、聞きたいとご希望をいただいた質問項目についても、合わせて話をさせていただきました。
臨床心理士の福田俊介からは、実際に当センターでカウンセリングを行い、解決に至った不登校の事例2つを、ストーリーとして話させていただきました。1つ目は「友達の多い目立つタイプ、だけど突然不登校になった中3女子」の事例です。こちらは、お母様がカウンセリングに通ってくださったケースです。2つ目は「好きなことは頑張れるが、人からの指示は聞きたくない頑固タイプ。自己肯定感が低い、不登校の高1男子」の事例です。こちらは、ご両親がカウンセリングに通ってくださったケースです。どちらの事例も、どのようにして良くなっていったのか、子どもとの接し方でどういったところに気をつけていただいたのか、詳しく説明させていただきました。ご自身のお子さんと重ね、うなずきながら聞いておられる親御さんもいらっしゃいました。説明会後のアンケートに「事例の子が、うちの子にそっくりでした」と記載された親御さんもいらっしゃいました。
勉強会の最後には、質問コーナーを設けました。例えば「親が対応を工夫して、家での子どもの状態が良くなってきたのだけれど、まだ再登校には至っていません。あとの詰めをどのようにしたら良いのでしょうか?」といった内容の質問などを頂きました。親御さんから直接カウンセラーに、お子さんのことについて質問していただき、具体的なアドバイスをお答えできる時間となりました。
自分の子どもが不登校になった時、親として何ができるのだろう、何をしたら良いのだろうと悩んでしまうのは、当たり前のことです。きっと、親自身も先の見えない真っ暗なトンネルに入ってしまったような、そんな気持ちになってしまうのだと思います。
勉強会では、たくさんの親御さんが熱心にメモを取られていました。今回の勉強会が少しでも参考になり、親御さんお子さんどちらにとっても、状況が好転していくきっかけとなれば、とてもうれしく思います。
寒空のなか、当センターの勉強会に足を運んでいただき、ありがとうございました。皆さんにとって、良い年末となりますことを願っています。