「不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催しました!

桜が咲き始め、少しずつ春らしくなってきましたが、コロナの不安も拭えないこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

当センターでは去る3月2日(火)に、「不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催しました。

勉強会は、まず当センターの所長、福田俊一の自己紹介から始まりました。

家族の力は大きい

元々はロケットエンジニア志望だったものの、親の反対もあり、医学部に入学しました。卒業後に勤務していた公立病院では、月曜日が一番不安でした。なぜかと言うと、特に不安定な若い入院患者さんは、週末の家族との面会の後、良い事だけではなく、余計に不安定になる等、悪い事も起こるからです。私は「家族の力の大きさ」を目の当たりにし、家族療法の理論に関心を持つようになりました。

お子さんの性格のタイプを見極める

当センターの家族療法は、子どもを想って一生懸命な親御さんが、お子さんが活き活きと元気に生きて行く力を伸ばす事に長けています。独自のチェックリストを用いて、お子さんの性格や持ち味を細かく分析し、タイプを見極めます。お子さんによって、同じことを言っても発言の受け取り方が異なるので、どう伝えるのが効果的か修正していきます。

具体的な解決事例

続けて、臨床心理士の福田俊介から、当センターのカウンセリングで不登校が解決した2つの事例が紹介されました。

1つ目のケースは、テキパキタイプのお母さんとマイペースな娘さんです。親が自分とは子どものタイプが違うんだなと子どもの性格を認める事で、お子さんが親に対して弱みを表現するようになり、素のままの自分を楽しむ事ができるようになりました。そして登校できるようになりました。

2つ目は、有名進学校に在籍し、家の手伝いもしますが、とても頑固で親の助言を全く聞こうとしない子のケースです。留年するのを避けるため、親が強引に勉強させようとすると、「生きてる意味が分からない」などと言って、家の中で荒れた事もありました。ご両親が、お子さんに正論は通用しないと考えを改め、お子さんへの対応を変えました。すると、締め切りギリギリですが、自ら課題を提出するようになり、留年を免れた、というお話でした。

参加者の皆様からは、「具体的な事例が聴けて参考になった」「事例がうちの子と一緒」、等のお声を頂戴しました。

いじめへの対応

質問のコーナーでは、「報復を恐れていじめられている事を相談できない子に、親としてどう寄り添えばよいのか?」という質問を頂きました。所長からは、いじめ問題の一番の難しさは表に出てこない事であり、いじめられている子の心を掴み、信頼関係を作る事が大事である。ただし、子どもが自分が虐められている事を語るようにするには、深い信頼関係が必要で、それを築くには“コツ”がいる、という話でした。

皆様には雨天の中ご足労頂き、誠にありがとうございました。

2021.03.23  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》益子玄一郎

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2021.07.14

1.摂食障害の治療法 解決のカギは“食”以外のところに目を向けること

― 摂食障害(拒食・過食)を乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました! - 梅雨の晴れ間の6月25日(金)に、摂食障害を乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました。 プログラム 所長 福田俊一(医師)からの […]

2021.06.01

2.増加する【子供から親】への家庭内暴力のご相談

「そちらでは家庭内暴力の相談はできますか?」 というお問い合わせが増えてきています。 考えてみると、 当センターのホームページでは家庭内暴力のチェックリストは以前からあるのですが、家庭内暴力に特化して記載したページを作っ […]

2021.05.28

3.妹にはたくさん食べさせようとする、拒食症の大学生

6月25日金曜日に、親御さん向けの摂食障害勉強会を開催いたします。 前回の摂食障害勉強会では過食症を克服された方のケースを発表いたしました。 今回の勉強会では過食症だけではなく、拒食症を克服された方のケースも発表予定です […]

2021.05.21

4.不登校の子に未来が明るく見えてきた

親御さんにお子さんの性格に合った対応をして頂くと、 まずお子さんが家の中で元気になってきます。 学校に行く事ができなくても、 家の中での今現在の過ごし方が元気になり、 目の前が明るく見えてくると、 将来も明るく見えてくる […]

2021.04.20

5.Instagram始めました

いつもホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 実は淀屋橋心理療法センター、Instagramもやっています。当センタースタッフが撮影した季節のすてきな写真を掲載するアカウントは以前からあったのですが、この度ス […]

2021.03.23

6.「不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催しました!

桜が咲き始め、少しずつ春らしくなってきましたが、コロナの不安も拭えないこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。 当センターでは去る3月2日(火)に、「不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催しました。 勉強会は、 […]

2021.03.01

7.焦らずスモールステップ

「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」など昔から言われているように、この時期はあっという間に過ぎていく気がします。長い冬が終わり、もうすぐ春が訪れる。ワクワクする気持ちの人と、そうでない気持ちの人がいると思います。春に […]

2021.02.05

8.「過食」という強者

当センターには、過食の治療のために通われ、やがて卒業してゆく方々が多くいらっしゃいます。中には「とにかく今すぐに過食を治したい、過食を治して早く普通の生活を送りたい」と焦るかたも少なくありません。過食に限らず、自分の病気 […]

2021.01.23

9.軽い気持ちでダイエットが拒食症に

コロナの影響で、学生のお子さんは、1学期の大半という長い間、自宅待機を余儀なくさせられました。 ずっと自宅にいる中、(これといってやることもないなぁ・・・そうだ、今度みんなに会ったとき「やせたね~!」って言われるようにダ […]

2021.01.15

10.令和3年みっつの明かり

当センターでは、治療を進めていく中で親子の相性が良くなることは大切な要素のひとつです。 親子関係がうまくいき始めると、その過程で子供には色々な良い変化が起こってきます。 新年はじめは、3組の親子の明るい笑いをお届けしたい […]

関連記事

息子の暴力に悩むお母さんへの手紙─「見守りましょう」は落とし穴

拝啓、おたより拝見しました。 1月も終わりに近づき寒さもいちだんと厳しくなってまいりました。高校一年生の息子さんの家庭内暴力で悩んでおられるご様子、お察しいたします。ご参考になればと思い、当センターで対応した治療体験をも […]

2021.09.11

「夏休み・冬休み・春休みの終わり」にプレッシャーを感じている不登校の子供たち・親御さんたちへ

夏休みが終わりました。 新学期をきっかけに・・・ 学校へ行こうと意気込んでいるお子さんや、学校に行きたい・行きたくないと葛藤しているお子さん、みなさん様々な思いを抱えていると思います。 ずっと夏休みだったらいいのに&#8 […]

2010.02.23

不登校のカウンセリング相談は口コミ

当センターに不登校の相談でカウンセリングに来所されている方のほとんどは、インターネット検索しホームページを見て来所されています。当センター以外にも不登校のホームページは沢山ありますし、無料の相談施設も沢山あります。又スク […]

記事一覧へ