痩せたい、でも食欲に負けてしまう
 心の優先順位が変化することで、過食症は治る

痩せたい、でも食欲に負けてしまう 心の優先順位が変化することで、過食症は治る

11月10日(金)に、親御さん向け過食症治療説明会を開催しました。

目次

痩せたい、でも食欲に負けてしまう

たくさん食べてしまう自分が許せない

過食症は、痩せ願望がとても強いが、強烈な食欲に負けてしまっている状態であると臨床心理士の福田俊介は言います。

痩せ願望がとても強いが、強烈な食欲に負けてしまっている状態

「痩せたい、スラっとしたキレイな人になりたい」というご本人の理想とはウラハラに、 「どうしても食べたい!たくさん食べないと落ち着かない」という強い欲求が心に混在している状態なのです。
過食症の人は、「食べたい」という強い欲求に勝つことができません。
しかし、たくさん食べてしまうことは
「痩せたい、キレイになりたい」というご本人の理想に反しているため、
過食してしまった自分を許せずに、どんどん自信を無くしていってしまう方が多いのです。

実は、食べることを我慢できている時間もある

しかし、過食症だからといって、常に食べたり吐いたりを繰り返しているわけではありません。
過食症で悩んでおられる方の多くが、痩せてキレイになった自分を手に入れるために、 1日の中で、強烈な食欲に耐えて食べることを我慢している時間があるというのはご存知でしょうか。
“むちゃ食いしては吐くことを繰り返す”ことをやめられないのが過食症の症状ですが、 “痩せること”への強いこだわりも併せ持っているので、実は、痩せるために頑張れている時間もあるのです。

食べ吐きしている時間もあれば、全く食べない時間もあるというのは良いことではありませんが、痩せるために努力している彼らの根底にあるのは、
本当は自分の理想に向かって努力できる、頑張り屋さんである点なのだと筆者は感じました。

それでは、本当は努力家で頑張り屋のはずなのに、なぜ食欲に負けてしまうのでしょうか?
それは、ご本人の性格と関係があります。

過食は精神安定剤?

過食症に悩む方の性格の特徴として、
・周囲の人に気を使いすぎる
・他人からの誘いを上手に断れない
・何かに悩み始めると長い間辛い思いを引きずってしまう
という傾向が強いことが、当センターの多くの症例を分析した結果わかりました。

「本当は痩せたい、過食している自分は嫌い」と思っていても、
人付き合いなどで溜まったストレスから解放されるために、どうしても過食にはしってしまう。
過食することがストレス解消や精神安定剤のような存在になってしまっている方は、たくさんおられるのです。

生きづらさと過食症の関係

「ダイエットがきっかけで・・・」
「ストレス解消に美味しいものをたくさん食べていたら・・・」など、
過食症になってしまったきっかけは、人それぞれですが、
食べ吐き(過食症)を止められない原因には共通点があります。

過食症の人の多くは、家の外(学校・職場など)で生きづらさを感じています。

前述したように、気を使いすぎる・断れない・気持ちをひきずる傾向が過食症の人にはあるので、こういったご本人の性格が生きづらさの原因になり、
生きづらさからくる心への負担(ストレス)から、過食がやめられない状態に陥ってしまっているのです。

「なぜだかわからないけど、生きづらい、
食べ吐きに夢中になっているとそれを忘れられる」

このように感じている人は、生きづらさ自体を改善していかないと、過食症は治りません。
ですが、ご本人は、“痩せること”や“過食して心の安定を得ること”にしか気持ちが向いていないので、「“生きづらさ”を改善しよう」と周囲がご本人に働きかけても、ご本人の心はなかなか動かないのです。

ご本人が、生きづらさや過食症治療になかなか乗り気になってくれない状態で、どのように治療を進めたら良いのでしょう?
大切なことは、ケース紹介の中にありました。

《 臨床心理士 福田俊介によるケース紹介 》

ケース1:過食した後に当たり散らす20代女性

ケース2:「本当は断りたいのに断れない・・・」
職場のストレスで過食が止まらない30代女性

「本当は断りたいのに断れない・・・」職場のストレスで過食が止まらない30代女性

※ケース紹介では、当センターで治療を受けられた方が、どのように回復されていったのか
個人情報に配慮しながら紹介させていただいています。

ご本人が頑張らなくても、無意識のうちに治っていく?

当センターでの過食症治療では、
ご本人が頑張らなくても、親御さんがコミュニケーションのとり方を変えることで、
過食症が治っていく環境を整えることが可能です。

当センターでの過食症治療

親御さんとの何気ない会話の中で、自分の好きなことや嫌いなこと・感じたことをたくさん語っていくと、本音や不安を少しずつ語れるようになります。そうすると、次第に視野が広がり、気持ちや考え方が整理されていきます。痩せること以外にも夢中になれることを見つけたり、自分自身の良いところを発見できたりするようになっていくことで、無意識のうちに痩せることに執着しなくなる(過食症が治っていく)環境が出来上がっていくのです。

え?どういうこと?

と思われた方や気になった方は、次に進んでみましょう

過食症治療で大切なこと

過食症の人は基本的に優しい性格の人が多いので、何か嫌なことが起きたとしても、言いたいことや不満などを言葉に出さずに飲み込んでしまったり、それがストレスとなっていると感じにくかったりする場合があります。
つまり、何が自分にとってストレスなのか自覚するのが苦手な人がとても多いのです。

しかし、ストレスを自覚していなかったとしても、嫌なことや理不尽なことが起きればストレスはどんどん溜まっていきます。適度に吐き出せなければ、溜まりに溜まったストレスは、過食へと暴走してしまいます。

過食症治療で大切なこと

当センターが過食症を治療していく上で大切にしていることは、
他愛無い親子の会話です。

他愛無い親子の会話

はじめは、好きなアニメやゲーム、アイドルの話などご本人が好きな話題から広げていきます。色々と話を聞いていくうちに、会話が弾んだり、会話の内容が深まっていくと、 自分の考えていることや愚痴・悲しかったことなどについても親御さんに話せるようになります。自分の思いをどんどん語ることで、ご本人の頭が活性化したり、整理されていき、 「私はこんなにストレスを溜めていたんだ」と気付くことができるようになるのです。
また、自分のことについて深く話すことができるようになれば、心の中に溜まっていたモヤモヤやイライラが解消されやすくもなります。
こうして、ご本人の語りが深まっていくことで、ストレスを吐き出しながら本当の自分自身を見つめ直すことができ、過食症は解決に近づいていくのです。

ケース紹介では、ご本人の心の内に秘めていた本音や不安などを安心して語れる人間関係を築くために、どのようにして親子の会話を深めていったのかを詳しく解説しました。

職場や友人関係など、さまざまな人間関係の中でストレスを避けて生きていくことは難しいですよね。ストレスを上手に発散していくことはとても大切なことです。
ですが、それ以前に、
「ストレスを溜め込んでしまっているという自覚はなかったけれど、
実は溜め込んでしまっていたんだ」と、しっかりと自覚できるようになること。
それだけでも、今後の人生の輝き方は違ってくる
のだと筆者は感じました。

医師・福田俊一が疑問や不安にお答えします

当センターでは、勉強会に参加していただいた方々の声をとても大切にしております。
どの勉強会の最後にも、
親御さんの疑問にお答えできるようにQ&Aコーナーを設けておりますが、
毎回、親御さんのお子さんに対する熱い思いと共に、非常に盛り上がるコーナーでもあります。

そのほんの一部をご紹介させていただきます。

Q:
摂食障害の人が治るというのは、
痩せたいという願望がなくなるということですか?
痩せていないことにも妥協できるようになることですか?
所長・医師 福田俊一

所長・医師 福田俊一

A:
ゼロ 痩せたい思いが0になることはありません。
ご本人の中での痩せたいという優先順位が不動の1位から、
2位、3位、4位・・・と順位が自然に下がっていくことで、治ったと言えます。
人間ですから、人の目が全く気にならなくなるということはありませんが、
今までよりも、あまり気にならなくなり、自分らしさという部分に自信を持てるようになります。

所長・福田の言葉には、ハッとする説得力がありました。
確かに、人間関係の中で生きていく上で、周囲の人からの視線を全く気にせずに生きていくなんて、心の状態が健全な人でもなかなかできないことです。
過食症が治る=痩せることに興味がなくなる のではなくて、
痩せることへの強い執着が、ただの憧れに変わっていく。
そんな中で、自分らしさを取り戻すことができ、過食症が治っていくんだなと感じることのできる言葉でした。

淀屋橋心理療法センターの考える過食症治療

実はできていそうで、できていなかったこと

・ご本人が話したいタイミングでしっかりと話を聞いてあげる
・出かける前の準備をせかさずに待ってあげる
・アニメやゲーム、アイドルなど、ご本人が夢中になっているものに興味を持ってみるなど

言葉にすると当たり前にできていそうなことでも、実はしっかりとはできていないことってありますよね?

ご本人のタイミングや段取り、好きなものを尊重してあげることは、過食症治療にとても効果的です。前述したような、実は親御さんができていそうでできていなかった事を、しっかりと見直してできることに変えていくだけで、「一人の人間として尊重してもらっている、大切にされている」という、ご本人の自信と親御さんへの信頼に繋げていくことができます。

具体的な会話の方法や接し方などは、ご本人の性格を分析してみないとわかりませんが、 もし、当センターの治療方法がご本人の性格や考え方にぴたりとはまれば、ご本人の中に眠る大きなパワーが目を覚まし、ぐんぐん解決に向かい始めます。
何気ない日常の中に糸口があるのです。
それを見つけるのが、専門家の腕の見せどころです。

「一人の人間として尊重してもらっている、大切にされている」

過食症を治すのは長期戦

過食症治療では、早く治そう・早く結果を出そうと、親御さんが焦ってしまうことがとても多く、はじめに全力を出しすぎてしまって、途中棄権してしまう方が多くおられます。

過食症は、一朝一夕では治りません。
治療を開始する前に、長期戦になることを覚悟していただく必要があります。

長距離走は、ペース配分がとても大切ですよね。
それと同じように、過食症治療もスタートダッシュにばかり気を取られてしまって、早い段階で疲れ切ってしまわないように、カウンセラーというペースメーカーと一緒に、1歩1歩着実に歩みを進めることがとても大切です。

大切なのは、少しずつ親子間のコミュニケーションを温めておくこと

大切なのは、少しずつ親子間のコミュニケーションを温めておくこと

親子で、どうでもいいような内容の雑談がたくさんできること。
そんな会話の中で、ポツリと本音(不安や文句)がこぼれたら、それはお子さんが過食症克服へ変わり始めている合図です。
はじめはぽつりぽつりだった本音が、少しずつ増えていき、
最終的には、自分の中のストレスを気楽に吐き出せている(発散できている)状態になります。

筆者は、世の中に人間関係で悩まない人はいないと思っています。
悩み方に違いがあるだけ。
悩みを解決する方法に違いがあるだけ。
それは個性で、無理に変える必要はないのです。

けれど、ずっと悩み続けてしまうのか、パッと気持ちを切り替えて次に進めるのかというのは、トレーニング次第で変えることができます。
気持ちの切り替え方が変わるだけで、毎日を過ごしていく心持ちとか、自分自身を大切にできる生き方とか、そういったものが大きく変わっていくでしょう。
1度しかない自分の人生、どうせなら、
“私らしさ”に自信をもってイキイキと突き進んでいける人生の方が素敵だと私は思います。

今の自分に自信が持てなくて、素敵な自分に変わろうとする手段として、
“痩せる”ことに人一倍一生懸命になっている人だからこそ、
そのパワーを他のことへ向けることで、今まで見えていなかった、素敵な人生が見えてくるのだと感じました。

過食症の完全克服は大きな目標です。
親御さんだけで頑張ろうとせず、専門家を味方につけるのも目標達成の大きな近道になるかもしれません。お子さんのために頑張る親御さんのために、私たちの力が少しでもお役に立てたら、こんなに幸せなことはありません。

この度は、当センターの過食症勉強会にご参加いただきましたありがとうございました。

この度は、当センターの過食症勉強会にご参加いただきましたありがとうございました。
参加してくださった親御さんにとって、良いきっかけとなりましたら幸いです。

次回の過食症治療説明会は、2024年2月ごろに開催を予定しております。

【淀屋橋心理療法センター公式 LINE】から、
勉強会開催のお知らせや最新記事の更新などをお知らせしております。
是非ご登録ください。

◆ 編集後記 ◆

最後までお読みいただきましてありがとうございました。今回の記事を読まれて、「あれ?この内容、この記事の前半にも 読んだような・・・」と思われた方も少なくないのではないでしょうか。 実は、過食症に悩む方の心理状態や治り方について、表現の仕方などを少しずつ変えながら何度も解説しています。

ひとつひとつの解説は短めにし、何度も読んでいただくことで、当センターの目指している過食症の治り方についてご理解いただけるように工夫をしてみました。

少しでも、当センターの思いが皆様に伝わりますように。

スタッフ原田友美

◆淀屋橋心理療法センター【過食症】の関連記事はこちらです◆

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記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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