小学生の不登校の子は、学校(授業)のある時間帯は家でひっそりしているものの、放課後になって友だちから遊びの誘いがかかると、すんなりと行ける子がいます。放課後や学校の休みの日ならば近所の公園で遊ぶこともできるし、自宅で数人と一緒に携帯ゲームで遊んだりできるのです。不登校の原因は勉強の遅れでもなさそうだし・・、「じゃあ何で学校に行けないの?」と、疑問に思われる親御さんも少なくありません。
不登校の原因はともかく、「友だちと気軽な関係を築いて再登校へ」。これも当センターの不登校のカウンセリングではよく用いる手段です。一方の親御さんも、家で一人で悶々とされるよりは、友だちと一緒に遊んでくれる方が良いと考え、友だちが訪ねてくれば歓迎される方が多いようです。
そんな中、なぜか友だちがピッタリと誘いに来なくなることがあります。お母さんが担任の先生に相談してみると、「たびたび押し掛けると子どもさんの負担になるかと思いまして・・」「学校に来なくても遊べるんだと思われても困りますし・・」と、担任の先生が何かしらの思惑があって友だちに指示していることもあるようです。また、小学生でも高学年になってくると思春期を迎え「特定の友だち」と遊ぶようになります。それまでは、だれかれともなく遊んでいた子たちが、だんだん趣味や性格の合う子などのグループに分かれていくのです。そんな過程で不登校の子が取り残されるということもあります。
「誘いに来てくれないのなら、自分から誘えばいいのに・・」。実は不登校の子は意外と内気で「受け身」な子も多く、いくら遊びたくても自分からは誘いにくいのです。「誘っても断られたら嫌だしなー」「僕から誘ったら迷惑なんじゃないか」。こんなことを内心で考えている子もいるのです。
しかし、こんなことが不登校問題の解決に役立つことがあるのです。対人関係で受け身であるとか、気をつかったり気兼ねをしやすいという性格は、登校していた頃からそう変わっていないはず。もしかすると、そんな性格と不登校の原因やきっかけが関係しているかも・・。
不登校のカウンセリングでは、明確な不登校の原因がはっきりしない場合、子どもさんの性格や対人関係での関わり方などをお聞きし、そこから解決の糸口を見つけることが多々あります。「友だちから誘ってもらえない・友だちを誘えない」といった小さなジレンマやストレスは、一回だけでは問題にはならないかもしれません。しかし、同じようなことが何日も何ヶ月も積み重なっていくと大きなストレスになってしまうこともあるのです。
淀屋橋心理療法センター
所長 福田俊一(精神科医・心療内科医)
担当 小川和夫(不登校・非行問題研究室長 ファミリーセラピスト・心理カウンセラー)
2014年11月26日
