淀屋橋心理療法センターでは、臨床心理士・福田俊介と精神科医・福田俊一とともに、お子さんのリストカット・オーバードーズに関して学ぶ会を定期的に行っております。
今回は7月15日(火)に「リストカット・オーバードーズ治療説明会」が当センターで行われました。福岡や長野など遠方から親御さんがお越しくださったうえ、参加者にはお父さんたちの姿もありました。
臨床心理士・福田俊介によるリストカットの「カウンセリングによる回復ケース」や、精神科医・福田俊一によるリストカット・オーバードーズを克服するためのアドバイス、親御さんの疑問に答えるQ&Aコーナーを通して、リストカット・オーバードーズの解決の糸口を親御さんと一緒に考えていきます。
◆ 講師プロフィール ◆

所長・医師
福田俊一(ふくだ しゅんいち)
大阪大学医学部卒。 大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科にて精神医療に取り組む。 米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニック(P.C.G.C.)にて家族療法をS.ミニューチンに師事。 住友病院心療内科、大阪厚生年金病院神経科、大阪市立小児保健センター精神科に勤務。 厚生省・神経性食思不振症調査研究班メンバー(1984~1986年) 大阪大学医学部非常勤講師(2013年)

カウンセラー
福田俊介(ふくだ しゅんすけ)
臨床心理士・公認心理師(国家資格)
オレゴン大学卒業(University of Oregon Bachelor of Science)
自動車関連会社勤務後、兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 人間発達専攻 臨床心理学コース卒業
不登校・過食症・リストカット
で高い治療成績を上げています。
大阪府公立学校スクールカウンセラー
目次
子どもがリストカット・オーバードーズ。親の本音
10時30分、「リストカット・オーバードーズ治療説明会」が始まりました。
親御さんはどのような思いを抱えて今日の説明会に足を運んでこられたのでしょうか。
親御さん同士の自己紹介タイムより一部をご紹介させていただきます。
夏だから半そでを着ているが、見るたびに傷がどんどん増えている。
家族は「またやったな…」と思いながら生活している。 専門学生 娘 母親

一時期リストカットをしなくなったのに、最近またリストカットした。なぜ繰り返すのか? どう対応したら、リストカットがやめられるのか? 高校生 娘 母親

小学校高学年の時にリストカットをしていたが、その時は軽く考えていて何も対応しなかった。その後リストカットを繰り返し、オーバードーズもしたのでクリニックへ連れていくも反発。うまく治療できなかった。娘にどのように接するべきなのか。高校生 娘 父親
リストカット・オーバードーズに走りやすい子の特徴
冒頭の自己紹介タイムが終わり、いよいよ本題へ。
臨床心理士・福田俊介がリストカットを克服したご家族の事例を、スライドショーを使って発表します。
なお、この事例は当センターでカウンセリングを受けたご家族の本当のお話。
「同じお悩みを持つ方のお役に立てるなら」と、ご家族が事例での使用を許可してくださった、他所では聞くことのできない唯一無二のストーリーです。
親子の具体的な会話のやりとりをはじめ、家族に降りかかる生々しい事件がそこには描かれています。
事例を紹介するなかで臨床心理士・福田俊介は「リストカット・オーバードーズをしてしまうお子さんには
- 繊細な性格の持ち主
- 自分の親に対して本音が言えない
という特徴を持っている場合が多い」と話していました。
説明会に参加してくださった親御さんからも
「子どもがイヤだと言ったものを排除したのに何も状況は変わらず、何を考えているのかわからない…」
「親が一番知りたいリストカットに関する話は触れてくれるな、という雰囲気を出してくる」
といったエピソードが実際に出ていました。
「リストカット・オーバードーズをやめさせる」の先にある本物のゴールとは
「リストカットやオーバードーズをしなくなる」ことがカウンセリング治療の最終目標だと思われている方が多いのですが、
本当の治療のゴールはお子さんが精神的に強くなる、成長すること。
では、どのようにしたらお子さんの成長が促せるのか。子どもの成長とリストカット・オーバードーズは何が関係しているのか。
もしこの答えが気になった方は、次のQ&Aコーナーにヒントが隠れているのでぜひ読んでみてくださいね。
臨床心理士・精神科医がお悩みに回答! Q&Aコーナー
当センターの治療説明会では、臨床心理士・福田俊介と精神科医・福田俊一によるQ&Aコーナーを設けています。当日に親御さんから挙がった質問を一部ご紹介します。
(Q1.) 妻が精神的にだいぶ参っていて、落ち着いた思考はできていない状態です。どうしたらよいのでしょう。
(臨床心理士・福田俊介A.) 奥さんは趣味の時間は持てていますか? 現実は頑張ったから結果がすぐに出る、というわけではないですし、ぜひ心のリフレッシュを優先してください。夫婦で旅行をするのもおすすめです。
(Q2.)朝の支度中に子どもがリストカットしているようで、朝食時に傷が増えています。私の何が彼女の気に触れたのでしょうか。
(臨床心理士・福田俊介A.)お子さんがとても繊細なんです。だからといって、親御さんが自身の言動に敏感になりすぎると不自然な空気が家庭に流れると思います。ですから、敏感になりすぎないことも大切です。
また、お子さんを精神的に強くしてあげることができれば、お子さんは人の話に影響を受けにくくなります。ぜひそこまで成長させてあげてください。これらは当センターの得意分野です。
(Q3.) もし傷が増えていることを見つけたとき、本人には何かも言わない方がいいのでしょうか?
(精神科医・福田俊一A. ) お子さんによります。どこまで関わってほしいのか、どこまで関わってほしくないのか。クセの強い子ほど「これ以上はやってほしくない」という線があるので「ばんそうこ、つけようか?」と話しかけてみるなど、いろいろと試しながらやっていくとおのずとその線が見えてきます。
(Q4.) リストカットはなぜ繰り返すのでしょう? リストカットをまったくしていなかった時期もあるのに…。
(精神科医・福田俊一A. )リストカットをするお子さんの親御さんは「自分の一言でまたリストカットをしたらどうしよう…」など、常にピリピリしておられると思います。ただ、そこに気を遣ったからといって本質は変わりません。
リストカットをするお子さんの ストレス→もやもやする→リストカット という回路を変えないといけません。そのためには、お子さんの心をたくましく成長させる必要があります。お子さんは「自分らしい喋り方」ができていますか? 「自分らしい喋り」ができる=自分の軸がしっかりできてきます。当センターでは、お子さんの生まれ持った性格がよくわかる独自の性格検査を行い、お子さんに合った具体的な会話・対応方法をお伝えしています。そして、親子の会話を通してお子さんの成長を促していきます。
参加者の感想は…
こうして約2時間の治療説明会が終了しました。
参加してくださった親御さんはそれぞれどのような感想お持ちになられたのでしょうか?一部をご紹介させていただきます。

自分たちでは気づかなかったことに
気づくきっかけやヒントをいただけたと思います。

周囲には子どもがリストカットをしていることは言えず、初めてこの悩みを打ち明けました。
悩んでいたのは自分だけじゃないんだと、
少しだけ気持ちが楽になりました。

ここに来るのはとても勇気が必要でした。
現実を認めるのが怖かったのだと思います。
今抱えている悩みに、すぐに効果が得られる
魔法のようなものはないんだな、と
問題の深さを痛感しました。
「リストカット・オーバードーズ治療説明会」のレポートはいかがでしたでしょうか。
「治療説明会に足を運んでみようかな」「ほかにはどんな療説明会があるのかな」など、当センターの治療説明会に興味をもたれた方は、下記に開催予定の治療説明会と過去の治療説明会レポートの一覧リンクがありますので、よければ一度のぞいてみてくださいね。
現在開催予定の治療説明会はこちら >> https://www.yodoyabashift.com/study_session/
過去の治療説明会レポート一覧はこちら >> https://www.yodoyabashift.com/report/