子どもの凝り固まってしまった心を解きほぐす
– リストカットを治すポイント –

9月30日(金)に、
親御さん向けリストカット治療説明会を開催しました。

お子さんのリストカットについて
今までどちらか相談に行かれましたか?

治療説明会冒頭に、当センター所長で医師の福田俊一から参加者の方へ投げかけた質問です。

「他のクリニックなどに行ったことがある」と答えてくださった親御さんは全体の50%でした。
クリニックなどでは、
「リストカットが治ったケースが無い」
「学校や社会で本人が認められたら治るかも・・・」
「薬で心を安定させて様子を見ましょう」
と言われた方が多く、
具体的な心のケアのアドバイスはなかったそうです。

どうしてリストカットをするに至ってしまったのか・・
どうして止められないのか・・・
リストカットをする理由や原因がはっきりと分からないことは良くあります。
理由や原因がはっきりしておらず、再発性も高いため、
リストカット治療は精神科や心療内科などのクリニックに相談をしても
あいまいに断られることが少なくないようです。

実は、理由や原因は治療を進めるなかで自然と明らかになります。
逆に、治療が軌道に乗る前に、原因を突き止めようと根気強くお子さんに聞いたとしても、
なかなか明らかにならずに時間ばかりが過ぎていくということは珍しくありません。
なぜなら、お子さんはまだ、親御さんに語る準備ができていないから。

まずは、お子さんが親御さんに本音を語れるようになる準備運動が必要なのです。
本音を語れるようになる準備運動とは、どんなことをすればいいのか。
それは、親子の会話の相性を今よりももっともっと良くすること。

その中で、お子さん自身の意見をしっかりと語れるようになることです。
それには、特別なやり方があるのです。

準備運動(自分のことを語る(演説する)練習)を積み重ね、
はじめは“小さな語り”だったお子さんのしゃべりが“大演説”になるように
親御さんが上手に聞いてあげると、
次第にお子さんが心に秘めていたことも親御さんに話せるようになってきます。

また、自分のことをどんどん語れるようになると、
自分自身の課題(人間関係や自分の将来についてなど、解決しなければいけないこと)
についても自分なりに考えるようになり、お子さん自身の問題解決意欲も高まってきます。

本音を語れるようになる準備運動が整い、お子さん自身に問題解決意欲が高まってくると、
リストカット解決まであと一押し!
ここで力を抜かずに、しっかりとお子さんの性格に合った対応を続けることで
綺麗にリストカットはなくなるでしょう。
と、所長の福田は語りました。

暗いからリストカットする
明るいからリストカットしないということではない

これは、治療説明会中に私がとても印象に残った言葉です。

リストカットは思い悩んだ末にどうしようも無くなって自分を傷つけてしまう行為
という印象が私個人にあったため、
リストカットする前は暗く思い悩んでいるのだろうというイメージがありました。

所長の福田によると、そうではないというのです。
「今日はとても明るく元気に過ごしていたから、リストカットはしないだろう」
と親御さんが安心していたら、
実は隠れて手首を切っていたということは珍しいことではないのだそうです。
親御さんの前での明るさリストカットをしてしまう衝動は比例しないのですね。
話を聞き進めていくと、リストカットをするタイミングに独特なパターンがあったり、
リストカットをしている本人にも独特な特徴があることもわかりました。

そういった独特なパターンや特徴をしっかり把握した上で、
お子さんの表面上の明るさの裏側にある、ガチガチに凝り固まってしまった心を解きほぐすこと
これが、リストカット治療で重要なのだと思いました。

臨床心理士・福田俊介によるケース紹介

《ケース》
心配症で緊張しやすい不登校の女の子(中学生)
月に2〜3回していたリストカットをしなくても
苦しくならなくなった理由

※ケース紹介では、当センターで治療を受けられた方が、どのように回復されていったのか
個人情報に配慮しながら紹介させていただいています。

リストカット治療のポイントは、本当のお子さんを引き出してあげること
こう語るのは、臨床心理士の福田俊介です。

そのために何をするのか。
お子さんの好きなことを中心に、お子さんと一緒に雑談を楽しむことが第一段階です。
「いや、うちは雑談楽しめてますよ!」と思われましたか?
いやいや、カウンセラーから言わせてもらうと、まだまだ本当のお子さんは引き出せていませんよ^^

というのは、治療説明会での臨床心理士・福田と親御さんのやりとりです。

ただ漠然と雑談するのでは効果はありません。
治療としての楽しい雑談の仕方を当センターではお伝えしています。

当センターのカウンセリングでは、お子さんの性格をしっかりと分析したうえで、
それぞれのご家庭に合った雑談の仕方や治療方法をデザインしていきます。
そして、実際に親御さんに実践していただき、その経過をカウンセラーと見直し・添削して、
また親御さんに実践していただく・・
それを根気強く繰り返すことで、
お子さんの心がほぐれ、リストカットを治すための足がかりができるのです。

今回ご紹介したケースでは、雑談を通して、ご本人だけでなくお母さんにも心に余裕ができたことが、
リストカットを治す第一歩となりました。

親御さんの想いをしっかりと届けるお手伝い

お子さんがリストカットをやめられなくなってしまったという事実は、
ご家族にとって衝撃的で心の痛む事件とも言えるでしょう。

お子さんが自身を傷つけてしまったということに親御さんはひどく心を痛め、
お子さんにリストカットをさせないために、
常に張りつめた気持ちでいらっしゃる親御さんはたくさんおられるのではないでしょうか。
でも、ずっとは見張っていられないし、お子さんも監視されることで息苦しくなる。
そんな状態では、お子さんの心は頑なになる一方ですよね。
リストカットの治療だけでなく、
お子さんが親御さんに本当の意味で心を開いてくれるためのお手伝いも私たちの役割だと思っています。

今回の勉強会では、お子さんが本当の意味で心を開き、
“本当の自分”を親御さんに見せてくれるようになることがリストカットの治療効果を上げ、
お子さん自身も本当の意味で精神的に成長できるのだということがわかりました。

この度は、当センターのリストカット治療説明会にご参加いただきましたありがとうございました。
参加してくださった親御さんにとって、いいきっかけとなりましたら幸いです。

次回のリストカット治療説明会は、12月23日(金)に開催を予定しております。
次回は、当センターのカウンセリングで実際に行っている
性格診断のミニバージョンを参加者の方に体験していただく予定です!

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2022.11.07  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》原田友美

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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