養護教諭向け研修会
〜児童・保護者・教員への対応〜

養護教諭向け研修会〜児童・保護者・教員への対応〜

2023年11月18日 土曜日、
保健室の先生(養護教諭)向け勉強会を開催しました。

勉強会の前半では 臨床心理士の福田俊介が
・高校生の不登校の事例と<
・中学生のリストカットの事例を発表しました。

「 事例を聞いたことによって、俯瞰して不登校や リストカットを見ることができたので理解が深まった」
「 事例に出てきた子が学生時代の私に似ていて自分のことのように思って聞いていました」

このような、様々な感想を頂きました。さて 今回のレポートでは 勉強会の後半にある、

所長で医師の福田俊一による Q & A のコーナー

を中心に記載していきます。

<精神科医師 福田俊一によるQ&Aのコーナー>

Q1:手当などの対応をしてもすぐに教室に戻らず、保健室に居座る子がいる。おそらく 保健室に来る理由が「構ってほしい」という子にはどのような対応を取ればよろしいでしょうか?

A:いろんな場合が考えられますが、例えば生徒さん本人が家で甘え下手で、他の兄弟が甘え上手な場合、それが影響しているかもしれません。
そんな場合なら、母親にインタビューして、母親とお子さん本人が2人だけになる時間がないか探します。
例えば他の兄弟が寝てしまってからとか、甘え下手な子でも例外的に甘えてくるタイミングがないか探してみます。
たまに甘えるような仕草をしてくる時があれば、そのチャンスを見逃さず母親が受け入れてあげるのです。
甘えが満たされてないことが原因の場合はそんな手を打ったりします。

Q2:不登校予備軍の児童への関わり方で悩んでいます。 押したり引いたりの匙加減が人それぞれで難しいなと感じています

A: 本当にその子にあった匙加減はとても大事ですね。
家での匙加減と共通していることが多いので【 これ以上言うと拗ねる】とか【これくらいなら大丈夫】とかの情報は家庭内にいっぱいあるはずです。
特に家ではお子さんの“地”が出ているのです。
匙加減について親御さんと情報共有すると何か見えてくることもあります

Q3:保護者から相談があれば 関わりやすいですが、 連絡が取りにくい保護者とはどのように関われば良いでしょうか?

A:保護者の方から相談に来てくれたら 一番やりやすいわけですが、 そうじゃない保護者の方もおられますよね。
養護の先生方はお忙しいと思うので、時間的にできるか分かりませんが
保護者の方のメールアドレスでも知っていれば
「今日は元気に お笑い芸人の話をしていました」
とか重要度の低いお知らせを時々流しておくだけで、先生に相談する敷居が低くなるかもしれません。

Q4:子供が不登校なのに保護者があまり関心がないように見える場合、 どのようにアプローチするのが良いでしょうか?

A:本当に関心がない場合は難しいです。 しかし 大抵は「心配してるけれど痛いところを 突っ込まれたくない」 「 先生とどうコミュニケーションを取ったら良いのかわからない」 という場合が多いのではないかと思います。 その保護者の方とうまく話せている先生がいれば、それを真似してみるのも一つの手です。 また、不登校の原因に関する親の思い込みが変わると、態度が変わってくる場合もあります。
例えば、

うちの子は学校が面白くないから不登校になったんだろう

と思い込んでしまっている親御さんに対して、

本当は、ちょっとしたことが気になって行きづらくなっているのかも・・・?

という子供のエピソードを保健室の先生(養護教諭)が収集してみると、 だんだんその子の事がより深く見えてくる場合がよくあります。

そしてそこからわかったことを保護者の方に伝えてみるのも有効です 。

そのほかに、希死念慮がある子供への対応や、いじめのトラウマを抱えている子への対応、休みがちな教員のメンタルヘルスなどについてもお話しました。

特に多くの方が「なるほど!」とおっしゃっていたのが、腕の良い近所の心療内科の先生を探す意外な方法です。

それはなんと、薬剤師さんに聞くという方法です。そしてまた、聞き方にも工夫が必要です。 近所の名医が分かれば人に紹介しやすくなりますね 。

養護教諭の方々とお会いすることは、我々にとってとても新鮮な刺激になっております。

保健室の先生(養護教諭)向け勉強会は不定期で開催しております。 次回の勉強会でも、また多くの先生方にお会いできることを楽しみにしております。

他にも記事がありますのでご覧ください
【児童・生徒のメンタルヘルス〜養護教諭にできること・家族にできること〜】
保健室の先生(養護教諭)向け 不登校とリストカット勉強会レポート

2023.12.07  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》臨床心理士 福田俊介

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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