【不登校】小学一年生の不登校の子が語る。行きたくないのは「先生が怖いから」

更新日:2012.09.20

いきなり強烈な見出しですが、ポイントは「小学一年生の子が語る」なのです。当センターでは30年近く不登校の解決のお手伝いをしてまいりました。その中で「先生が怖い」が小学一年生に限り、不登校の理由のダントツ一位なのです。

ただ、初めから「先生が怖いから行きたくない」というわけではありません。休み始めの頃は「お腹が痛い」「頭が痛い」といった、身体の不調から休み始めることが多いようです。

それがカウンセリングを進めるうち、身体症状が減ることに反比例するように「先生が怖い」「先生に会いたくない」「先生がいっつも怒ってる」など、担任の先生を批判する発言が口をついて出てくることがよくあります。

もちろん、実際には不登校の子に対して担任の先生が厳しく叱ってばかりいるわけではありません。むしろ、自分は叱られていないものの、他の子を叱っている先生のことを「怖い」と感じる子の方が多いようです。中には、叱っているわけではないのに、担任の先生の語調が強かったり、声が大きかったり、早口でしゃべるだけでも同様の「恐怖心」を感じることもあるようです。それはいったい何故なのでしょうか。

親御さんから幼稚園・保育園時代の様子や、家庭のムード・教育方針などをお聞きしていると、一つのヒントが浮かび上がってきます。簡単にいえば、恐怖心を感じる子は、「恐怖」そのものに慣れていないということが言えます。幼稚園や保育園では先生方がとても優しく、家庭もとてもアットホームで、「叱る・叱られる」「怒鳴る・怒鳴られる」といった習慣が身についていないのです。

一方、小学校はいわゆる教育機関として、集団行動や授業態度などについて、一定のルールが求められるようになります。もちろん授業中の私語やたち歩きなども注意の対象になるわけです。これまでの幼稚園や保育園生活や家庭のムードで経験してこなかったような事が起こることで「不慣れ」→「恐怖感」という図式になるというのが大きな原因のようです。それに加えて、小学一年生。いわゆる表現力が十分に身についていないということも深く関係しているようです。

当センターのカウンセリングは、「なるべく早く再登校」が第一の目標です。「恐怖心」の元がわかったならば、早急に親御さんに対応の工夫をお勧めしたり、担任の先生に協力をお願いすることで、比較的早期に解決できる道筋が確立しています。

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2012.09.20

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