【不登校】「別室・放課後登校」と「冬休みまでの登校ペース」

更新日:2023.12.07

今年は遅い学校でもクリスマスまでには冬休みに入ったようです。「別室登校(保健室登校・会議室登校・カウンセリングルーム登校)」や「放課後登校」をしてきた不登校の子にとってもしばしの骨休みです。

一方、親御さんにとっては、これまで別室・放課後登校してきた子が、新学期(三学期)からどんなスタートを切るのかが気になるところですね。私どもでの不登校のカウンセリングでも、二学期の終業式・冬休みに入るまでに「どんなペースで登校時間や登校日数を増やしていったか」はとても気になります。「二学期のうちに少しでも登校できる日数や学校で過ごせる時間を増やして三学期に弾みをつけてやりたい」。このような考え方が親御さんや担任の先生の中で一番多いのではないでしょうか。

しかし、不登校の子の性格やペースの上げ方によっては、一概にはそうとは言えないのです。さらに、子どもさんの年齢(小学校低学年・高学年、中学生、高校生)によっても、十分な配慮が必要なのです。

これまで多くの不登校の子どもさんの「別室・放課後登校から再登校」へのプランを立てカウンセリングを行ってまいりました。概ね、年齢の低い子ほど「別室・放課後登校をしながらクラスメートと出会える機会をその子の抵抗のない範囲で増やしていく」という方法が向き、中学生や高校生など思春期に入っている子には「その子のペース(態度や表情も)に合わせて別室・放課後登校の計画を立て、いっそう慎重にクラスメートとの接点をつくっていく」という方法が効果的だと言えるでしょう。何より、親と担任が連携をとりながら、登校した日の「自宅を出るまでや帰宅後の様子」「学校での過ごし方・様子」などについて互いに共有しながら進めていくべきでしょう。

不登校の子の年齢やペースに合った進め方ができていれば、新学期(三学期)のスタートからの別室・放課後登校もスムーズに進めることができ、二学期の頃以上に「教室登校」の期待がもてるようになります。逆に、「二学期の終業式までに登校できる時間や日数をできる限り増やしておいた方が自信がついて、三学期はもっと頑張れるだろう」「これまで別室・放課後登校してこれたんだから、終業式だけでも教室登校させ、良い形で二学期を終わらせてやろう」といったように、「二学期の終業式」を「大きな節目」として考えておられる親御さんや担任の先生も多いようです。しかし、その考え方(親心)が、子どもさんの性格やペースに合わなかった場合、新学期(三学期)が楽しみどころか、スタートからつまずいたり後退すらしてしまう可能性が高くなるのです。

冬休みをはさむからといって、「冬休みに入るまでに何とかここまで!」と、子どもさんに無理をさせすぎてしまい、新学期からの登校が「怖い」「嫌だ!」という結果はぜひとも避けたいものです。淀屋橋心理療法センターでは、子どもさんの性格やペース、それに「子どもさん自身の納得の度合い」が登校の結果を大きく左右するということをたくさん経験してきました。別室・放課後登校までこぎつけてらっしゃるならば、教室登校まであと一歩なのです。だからこそ、ペースや(目標の)ハードルの上げ下げは慎重に判断すべきなのです。

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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