カウンセリング その驚くべき効果とは?
不登校からの回復

益子玄一郎 福田俊介

私は淀屋橋心理療法センターのライターで、公認心理師でもある益子です。

当センターのカウンセリングが、いかに驚異的な効果を上げるか。親御さんへのカウンセリングによってお子さんがどのように変化したか、実際のケースからご紹介しましょう。ちなみにこのご相談には、お子さん本人は一度も来所されていません。

不登校のカウンセリング 小学3年生の場合

ある秋の日。上品なご婦人が当センターにお見えになりました。「不登校のご相談ということですけれども、特にどのようなことを心配しておられますか?」とお尋ねすると「息子は自分の気持ちを伝えるのが苦手なので、欲しいものが手に入らないんじゃないかと、心配で仕方がないんです」と、目にうっすらと涙を浮かべながら、一語一句を噛みしめるように話され始めました。

お母さんによれば、小学校3年生のユウイチロウ君(仮名)は2年生の時から全く学校に行けなくなってしまいました。「行ってきます」と言って家を出たのに、玄関の前でうずくまっていたこともあります。どうして学校に行けないのか、理由を聞いてみても、うつむいて口ごもるばかりで、全く説明することが出来ません。

ユウイチロウ君は口数少なめで、親と長時間の対話をすることはありません。とても怖がりで、どこかビクビクしています。そして、冗談を言ったりふざけたりすることが全くと言っていいほどありません。

ユウイチロウ君は週に2、3回。帽子を深くかぶり、マスクをして、近所の公園の鉄棒にタッチをして、家に戻ってきます。まだ小さな少年が本人なりに今の状態から抜け出そうと一生懸命がんばっているのです。

家族構成ですが、ユウイチロウ君には5歳上の姉が居て、両親と4人で住んでいます。

変化1 会話が長くなってきた

お母さんはとても意欲的で、勉強熱心でした。そして、非常に聞き上手でした。約1カ月後、カウンセリングの効果は早い段階で現れました。ユウイチロウ君の会話量が明らかに増えてきたのです。イキイキと楽しそうに語れるようになりました。

カウンセリングの効果が出てくるのはかなり個人差がありますが、このご相談は変化のスピードが早い方でした。

変化2 学校に行けるようになってきた

カウンセリング開始から2カ月後、全く登校できていなかったのに、週に2、3日は登校できるようになったのです!

次回のカウンセリングの予約を取られたお母さんに、カウンセラーは少し感心して言いました。「お子さんが学校に行けるようになると、このまま自然と解決するのではと思われるのか、来所されなくなる親御さんも居られるんですよ」

お母さんは「今のままでは、根本的な解決にはならないと思うので」とおっしゃり、過度に楽観することなく、カウンセリングを継続されました。

変化3 偏食が治ってきた

食べ物の好き嫌いが激しかったユウイチロウ君ですが、嫌いだった野菜なども「頑張って食べてみようかな~」とチャレンジするようになりました。そして、徐々に、食べられるようになってきました。

カウンセリングが順調に進むと、このようなところでも変化が出てくるのです。

変化4 不安や迷いを表現できるようになってきた

「今日は学校に行こうかな・・・どうしようかな・・・悩むなあ」「あの時は行けなかったけど、不安な気持ちだったから、どうしても無理だったんだよね」「こんな事、お母さんに言うのは初めてなんだけど」

不安や迷い、葛藤を少しずつ表現できるようになってきました。

変化5 気持ちに余裕が出てきた

真面目で堅苦しい所があったユウイチロウ君が、冗談を言ったり「変顔」をしてきたり、明るくユーモラスになってきました。また、今までは、からかわれたりするとカッとなって癇癪をおこしていましたが、そのような事もなくなりました。気持ちに余裕が出てきたので、冗談を冗談だと理解できるようになったのです。

「ママ、なんかした?ユウイチロウが、前と全然違う」とお姉ちゃんは驚いていたそうです。順調な変化に、お母さんの頬はゆるみっぱなしです。カウンセラーが「少し、上手くいきすぎかもしれませんね」とお伝えすると、お母さんの表情がシュッと引き締まりました。

変化6 物事の両面を見る事ができるようになってきた

ユウイチロウ君は細かい事に敏感で、環境の変化が苦手です。皮膚も敏感肌です。「敏感なのは、いろいろと不便だなあ」とこぼした後に「でも良いところもあるんだけどね。ささいな変化もすぐに気がつくから」と明るく言いました。物事のプラス面も見ることが出来るようになってきました。

また、ある日。公園までの散歩から帰ってきたユウイチロウ君は帽子を被っていなかったようです。「あれ?」と変化に気づかれたお母さん。それ以来、帽子を被らないで公園に行く日が増えてきました。自信がでてきたのかもしれません。

変化7 メンタルが強くなってきた

自分の背中を強くたたいてくる同級生に対し「やめろよ!むかつくねん!」と、言い返せるようになりました。以前だったら、その瞬間に言い返すことができませんでしたが、嫌な事は嫌、とハッキリ言えるようになりました。

ユウイチロウ君はお父さんと相撲を取ることがあります。今までは、負けると「もういい!」と言って引きさがっていたのですが、負けても負けても立ち向かうようになりました。「お話をお聴きしていると、ユウイチロウ君は強くなってきましたね」とカウンセラーが言うと、 「かなり!」とお母さんがおっしゃいました。

変化8 自主性が伸び、しっかりしてきた

カウンセリング開始から8カ月後。

なんと、土日は、ユウイチロウ君が朝早く起きてきて、パンを焼いてくれたりコーヒーを入れてくれたりする日も出てきました。機嫌の良い時は、食器の後片付けもして、せっせと床に掃除機をかけてくれる時もあるそうです。自主性が伸びてきました。

ある日、ユウイチロウ君はお母さんと一緒にスーパーに買い物に行きました。お母さんが何かを探していました。ユウイチロウ君は「店員さんに聞いた方が早いやん」と言います。

また、宿題をしないお姉ちゃんをお母さんが注意した時、ユウイチロウ君は「ママ、お姉ちゃんに注意しないほうが良いよ。また機嫌が悪くなっちゃうから。宿題やらなくて先生に怒られるのはお姉ちゃんなんだから、ほっといたら?」と言います。お母さんにアドバイスするようになりました。なかなかしっかりしてきました。

ユウイチロウ君は、毎日は登校できていません。しかし、お母さんは「前は登校しない息子を見てイライラしたけど、最近はイライラしなくなったんです」と仰います。カウンセラーが「どうしてそう思えるんですか?」とお尋ねすると「うちの子は大丈夫じゃないかと思えるんで」と、微笑まれました。

それから2ヶ月後
ユウイチロウ君は、たまに休む日もありますが、
ほぼ完全に登校できるようになりました。

*  *  *

以上のように、淀屋橋心理療法センターのカウンセリングは劇的な効果を上げるのです。「本当にそんなにうまく行くの?」と思われるかもしれません。実際の変化は直線的ではなく、もう少し紆余曲折があります。また個人が特定されないように配慮し、一部を脚色していますが、ご紹介した変化は、ほぼ事実に沿ったものです。

この記事をご覧になっている親御さんも、このような大きな変化を体験していただければ幸いです。(ライター 益子玄一郎)

担当カウンセラー 福田俊介による振り返り

お子さんが変わっていくスピードには個人差がありますが、この事例に登場するユウイチロウ君(仮名)には、 かなり早いペースでどんどん良い変化が起こりました。私が差し上げたアドバイスをお母さんが早く身につけることができたのがその要因の一つなのは間違いないでしょう。とにかく、お子さんのペースに合わせるのが得意なお母さんでした。

しかし、いつもいつもカウンセリングをしていて難しいなと思うのは、親御さんがなかなかお子さんの変化に気づけないことです。それがとても小さな変化なのであれば確認するのは難しいでしょうが、ユウイチロウ君のように毎回の変化が大きなケースでも意外と親御さんは気づけなかったりするのです。

カウンセリング冒頭「さあお母さん、この2週間のユウイチロウ君の様子はどうでしたか?」と私がお聞きしても、「特に何も変わりません」

「表情はどうですか?」「声の大きさはどうですか?」「しっかりしてきたなあ、というところはないですか?」といくつか質問していると、「あ、そういえば。夫や娘にからかわれた時に、以前は顔を真っ赤にして怒っていたのに、こないだは、一緒になって笑ったり、自虐ネタを言う余裕が出てきました」 「あ、他にも。ショッピングモールのフードコートに行った時に、水を取ってきて、と言ったら、 コップに入れて持ってきてくれました。前だったら恥ずかしがって絶対に取りに行ってくれませんでした」

ユウイチロウ君のように毎回の変化が大きい場合であっても、意外と親御さんは変化をすぐに忘れてしまうのです。やはり、同じ家に住んでいる我が子の変化に気づき、しっかりと覚えておくというのは難しいのでしょう。だからこそ、親御さんと一緒にお子さんの変化を共有し、喜ぶ。ここがカウンセラーの大きな役割です。

他にも、ユウイチロウ君のお母さんの素晴らしい点がありました。それは、油断されなかったことです。親御さんの対応が上手で、子どもに早く変化が出てきた場合、大抵、親御さんは 油断します。 しかし、ユウイチロウ君のお母さんは油断されませんでした。私が気が緩まないように働きかけていたこともありますが、ここまで油断しなかった親御さんは珍しいです。

元々とっても心配性だった小学3年生の男の子がどんどん強くなっていく。その状況をお聞きできたため、このカウンセリングを通して私も癒され勇気をもらいました。とても印象的なご相談でした。「欲しいものをつかめる人になってほしい」。これが、最初のカウンセリングで仰っていたお母さんの希望でした。どうやら、そうなれそうです。(臨床心理士 福田俊介)

2024.05.04  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》公認心理師 益子玄一郎 福田俊介

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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