真ん中っ子の性格、本当のところは?その子だけを見る親の接し方

更新日:2026.07.05
真ん中っ子の性格、本当のところは?その子だけを見る親の接し方

淀屋橋心理療法センターで定期開催している、親御さん向け治療説明会。

筆者も先日、聴講スタッフとして参加させていただいたのですが、参加者の親御さん方に不思議な共通点があったのです。

  • 参加者全員が、「3人のお子さん」の親御さんだったこと
  • 悩みを抱えておられるお子さんが、全員「真ん中の子」だったこと

実は私(筆者)も、3人の子を持つ母親です。日々接するなかで、つい真ん中の子への接し方が粗くなってしまうことも…。

実は、「ミドル・チャイルド・シンドローム(真ん中っ子症候群)」という言葉もあるくらい、裏では孤独感やモヤモヤを抱えている真ん中っ子が多いとも言われています。

そこでこのコラムでは、

  • 真ん中っ子症候群とは何か
  • 真ん中っ子の性格傾向(研究結果をふまえながら)
  • 親御さんはどう接したらよいか

について、家族療法の専門機関である当センターの視点も交えながら、お伝えしたいと思います。

「うちの真ん中の子、なんだか接し方がうまくいかないな…」と悩まれている親御さんに向けて、少しでもヒントとなれば嬉しいです。

真ん中っ子症候群(ミドル・チャイルド・シンドローム)って?

真ん中っ子症候群(ミドル・チャイルド・シンドローム)って?:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

「真ん中っ子症候群(ミドル・チャイルド・シンドローム)」……これは、医学用語や心理学用語ではありません。

真ん中っ子が寂しさや劣等感を抱きやすいといった、精神的な状況を表した言葉です。

フロイトやユングと並び称される心理学者、アルフレッド・アドラーは、真ん中っ子(中間子)について、ちょっと気になることを述べています。

“中間子は親の愛を独占したことがないため、競争的、攻撃的で、すねた人になりがちだ。自分の人生は自分で切り拓かなくてはならないと思う傾向にある”

引用:小倉広『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』より

初めての子として、親御さんの愛情を一身に受ける上の子と、最後の子として、思いきり可愛がられる末の子。

そんな2人に挟まれて、親御さんからの愛情が「自分にはちょっと少ない?」と、真ん中っ子が感じてしまうのも無理はないかもしれません。

でも、だからといって真ん中っ子は、アドラーの言うような「攻撃的で、すねやすい子」になってしまうのでしょうか。

昔と今で変わった、真ん中っ子の見方

昔と今で変わった、真ん中っ子の見方:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

過去の研究結果と最新の研究結果から言われている「中間子(真ん中っ子)の特徴」を見ていきましょう。

かつては攻撃的でひねくれやすいと言われ…

アドラーをはじめ、心理学の世界では昔から、「生まれ順で性格が変わるのか?」という研究がたくさんされてきました。

例えば、白佐(2006)がまとめた『中間子の人格・行動の特徴』は、適応力や社会性といった強みの一方で、「親としてちょっと気になるサイン」も挙げられています。

【中間子の強みと気になるサイン】

強み 気になるサイン
  • 活発
  • 適応力、実行力がある
  • 社会性、社交性がある
  • 自己主張が強い
  • ひがみを持ちやすい、ひねくれやすい
  • 負けん気が強い
  • 乱暴な行動に走りやすい
  • 引っ込み思案、感情に乏しい

引用:白佐俊憲『きょうだい関係とその関連領域の文献集成2(論述紹介編)』

最新研究では「誠実で協調性が高い」と判明

最新研究では「誠実で協調性が高い」と判明:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

しかし、近年の大規模研究では違った結果が出ています。

例えば、ある2万人規模の調査(Rohrer et al., 2015)では、最初に生まれた上の子(第一子)や一人っ子のほうが、知能テストの結果がわずかに高いことがわかりました。

しかし、知能以外の性格特性に関しては差が認められず、生まれ順による長期的な影響はないと結論付けられています。

また、70万人以上を対象にした最新の大規模調査(Ashton & Lee, 2024)では、興味深い結果が出ています。

同じきょうだいの数の中で比較した場合、中間子は【協調性(Agreeableness)】や【誠実さ・謙虚さ(Honesty-Humility)】のスコアが、わずかな差ではありますが、最も高いという結果(中間子 > 末っ子 > 第一子 > 一人っ子)が出たのです。

以上のことをまとめると、

  • 長らく心理学の世界では、出生順位が性格特性に影響を与えると考えられてきた
  • 近年の大規模な研究では、長期的な影響はないという結果が出ていた
  • しかし最新の70万人規模の研究によって、真ん中っ子は協力する力や誠実さ・謙虚さを持っていることが新たに示された

攻撃的でひねくれやすい……そんな古くからのイメージを覆す、人を思いやり、誠実な真ん中っ子の姿が見えてきたのです。

「ひねくれやすい」だけじゃない、真ん中っ子の素顔

「ひねくれやすい」だけじゃない、真ん中っ子の素顔:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

ここまで、真ん中っ子のこれまでのイメージと、最新の研究でわかった新たな一面をお伝えしてきました。

それでは、研究結果をふまえて、改めて真ん中っ子の素顔について見ていきましょう。

【なんとかする力】適応力と実行力

家庭内で揉まれて育つ真ん中っ子は、生きていく上でとても強いパワーを自然と身につけています。

日頃から上の子の様子をよく観察しつつ、下の子の面倒も見ている真ん中っ子。

その場の状況に臨機応変に合わせる「適応力」や、自分から動く「実行力」が育ちやすいと言われています。

【相手の立場で考えられる】誠実さと優れた社会性

家族の中で揉まれている分、外の世界で人間関係を築くのがとても上手です。

上の子の様子をうかがい、幼い下の子には目線を合わせて……。そんな日常の積み重ねが、自然と「相手の立場で考える力」を育てるのかもしれません。

友達の間でも、上手に立ち回れる「社会性」を早くから発揮します。

【こうしたい!】芯の強さと自己主張

真ん中っ子症候群(ミドル・チャイルド・シンドローム)って?:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

「黙っていたら、自分の存在が埋もれてしまう…」

そんな環境の中で、真ん中っ子は自分の居場所を自分で作ることを覚えます。だからこそ、「自分はこうしたい」という意志が強く育ちやすい。一見おとなしそうに見えても、内面には一本芯が通った子が多いと言われています。

自立心が強いと言われるのも、この芯の強さが影響しているのかもしれませんね。

真ん中っ子と、どう向き合うか? 所長・福田のアドバイス

真ん中っ子と、どう向き合うか? 所長・福田のアドバイス:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

社交性の高さ、誠実さなど、真ん中っ子の素敵な個性がわかりました。では、親御さんは日々どう接すればいいのでしょうか。

この章では、当センター所長で精神科医の福田俊一のアドバイスをお伝えします。

バランスより、その子だけを見る瞬間を

きょうだいの子育てで大切なのは、「バランス」より「メリハリ」だと福田は言います。

きょうだいへの接し方を平等にしようとすると、なかなかうまくいかないものです。

ある瞬間、その子のこと「だけ」を考える。このような時間が大切です。

精神科医師:福田俊一

あるときは上の子だけに集中する。あるときは真ん中の子だけに集中する。またあるときは、下の子だけに集中する。そういったメリハリのきいた接し方をする。それが、子育てをうまくやるためにも大事な要素です。

お姉ちゃんより真ん中の子のほうが、多少短い時間しか接してもらえてなくても、その時間が充実したものであれば、子どもは満足感を感じるものです。

「いまこの瞬間は、自分が一番に考えてもらっている」とお子さんが感じられることが、とても大事だと福田は言います。

愛情はその子に合った形で伝えて

そしてもうひとつ大切なことは、愛情の伝え方です。

人に相談できず、妙に頑張りすぎる子や、妙に強気な子…そんな真ん中っ子に対して、たくさん愛情をかければうまくいくかというと、そう簡単にはいきません。

もちろん、一番大事なのは愛情です。しかし、「その子に合った対応をしないと愛情は伝わらない」と、福田は言います。

真ん中の子の持ち味をよく見極めて、その子に合った対応をし続けてあげることが、一番大事なのです。

そうすると、お子さんが前よりもなついて微笑んでくれるようになり、親御さんも嬉しくなる――そんな好循環や相互作用が起こります。

そもそも、きょうだいのバランスを意識しすぎると、かえってわからなくなるものです。

子どもは理性で公平かどうかを判断しているわけではなく、自分の気持ちを正直に言葉にするだけ……だからこそ、その子その子にメリハリをつけて接することが大切です。

真ん中っ子症候群(ミドル・チャイルド・シンドローム)って?:カウンセリング(真ん中っ子症候群)

まとめ「生まれ順」のレッテルを外してみよう

血液型や生まれ順で性格を判断したり、上の子を育てたやり方を下の子にもそのまま当てはめたり…。

そういった「パターン」があると、確かにわかりやすいのも事実です。

ですが、福田の言葉にもありますように、大切なのはその子の持ち味を見極めて、その子だけを見る時間を持つこと。

「生まれ順のメガネ」を外して、目の前のその子だけと向き合う時間を作る。それが、真ん中っ子との親子関係を育むために大事なことです。

出典・参考

白佐俊憲『きょうだい関係とその関連領域の文献集成2(論述紹介編)

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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