子どものいじめ解決~親や先生の上手くいく関わり方~

子どものいじめ解決~親や先生の上手くいく関わり方~

10月21日(金)開催 ミニ講演会【いじめについてできること】

新しい年が始まりました。

小学校や中学校の入学、クラス替えなど、お子さん達の環境が変化する時期が近づいています。

親御さんにとって、お子さんが元気に楽しく学校に通うことができるかどうか、勉強についていけるかどうかなど、心配事は尽きないと思います。

しかし、親御さんにとって一番の心配事であり、何よりも願うことは
「大切なわが子がいじめに巻き込まれないで欲しい」
という事ではないでしょうか。

そして今現在、お子さんがいじめにあい、心を痛めているというご家族もたくさんおられると思います。

大切なお子さんがいじめの被害にあってしまった時、親は何をしたらよいのか?

今回の講演会では、お子さんのいじめの解決や、いじめの後遺症
親御さん、そして学校の先生がどう向き合っていくかについて、お話させていただきました。

【 講演会の主なお話の内容です 】

  • いじめはどうやってつくられるか
  • いじめ解決の難しさ
  • いじめの後遺症
  • いじめの解決策はお子さん本人の中から生まれてくる
  • いじめられている子にも原因がある?
  • いじめを上手く解決するために、親御さんや先生はどう動いたら良いのか
  • 参加者の方の実体験やQ&A

今回の記事で全てをお伝えすることはできませんが、印象に残ったいくつかのポイントをご紹介致します。

【 いじめはなくならない 】

まず始めに、今現在のいじめ問題の“問題点”についてお話させていただきます。

教育現場や職場、ママ友の付き合い、あらゆる場所で常にいじめは起こっています。
長年、どんなに口を酸っぱくして「いじめをなくそう」「いじめを作らないようにしよう」と訴えても、残念ながらいじめをゼロにすることは難しい。

大勢の人間関係の中で生きていれば、誰でもいじめの被害者になる可能性があると思います。

だからこそ、実際にいじめが起こってしまったときどう動けばいいのかを、大人たちはしっかり考え、心構えをしておかなければなりません。

しかし、今の学校や社会では「いじめが起こってしまった後の対応」について、
大人たち一人ひとりの認識や知識がバラバラであり、上手に行動を起こせていないのが現状です。

「いじめはいけないこと」「いじめのない学校を作ろう」という倫理観を唱えるだけでは、もはや子どもを救うことは難しいのです。

大事なのは、いじめが起きてしまった後。
「いじめを解決する具体的な技術を大人たちが身に着けること」
「いじめ解決のための的確な判断を、現場の誰しもができるようになること」

です。これが今の教育現場では、必ずしも十分でないことが大きな問題点だと考えます。

いじめられている側にも原因があるの?

【 いじめられている側にも原因があるの? 】

「自分の意見が言えないから」「コミュニケーションを取るのが苦手だから」… などという理由で、「うちの子どもにもいじめられる原因があるのではないか」と考える親御さんがいたり、もしくはお子さん本人が「いじめられているのは自分が悪い」と自身を責めてしまっている場合があります。

  • いじめている側が絶対的に悪いの?
  • いじめられている側にも原因があるの?

どの意見が正しいのかをはっきり決めつけるのは難しいかもしれません。
しかし、当センター所長の福田はこのように言います。

「いじめられているお子さん本人が「自分が悪い」と思ってしまうと いじめは解決できない」

いじめには、何らかの理由や背景があるでしょう。
しかし、いじめられているお子さん本人や親御さんが、それにとらわれすぎてはいけません。

「自分は悪いわけじゃない」

まず最初は、お子さん本人がそのような意識を持てるようになることが、とても大事なことです。

いじめの解決策は、お子さん本人の強さの中から生まれてくるものでもあるからです。

もちろん、お子さん本人が心の成長をした後で「自分にも良くないところがあった」と気づかれることもあるかもしれません。しかしそれは今、必要なものではありません。

本人が、自分を肯定し自信を持つということは、いじめの解決に大きな影響を与えるだけではなく、今後の生き方を力強い方向に変えることにもつながっていくのです。

いじめ解決のためのそれぞれの役割

【 いじめ解決のためのそれぞれの役割 】

いじめられているお子さん本人が、自分を肯定すること、自信を持つことは、
いじめを解決する上でとても大事なことです。

しかし、一度いじめという辛い経験をしたお子さんにとって、そのような意識を持つことは容易なことではありません。

むしろ、いじめのトラウマから、他人や自分自身を信じられなくなり、その悩みが大人になってもずっとついてまわるというケースも、多くあります。

いじめのトラウマから、他人や自分自身を信じられなくなり、その悩みが大人になってもずっとついてまわるというケースも、多くあります。

では、いじめられているお子さん本人の心のケアや、いじめの解決を図るには、周りの人達それぞれがどのような行動をとればよいのでしょうか。

当センターでは、 誰が・どのように いじめ問題に対応していけばよいのかを細かくアドバイスし、いじめられているお子さん本人が、いじめを乗り越えていけるようにお手伝いすることを得意としています。

お父さん・お母さんの役割は?
学校の先生の役割は?

親御さんには親御さんの大事な役割があります。
また、先生には先生の大事な役割があります。

いじめの解決のために、親御さんと先生が、全く同じような動きをとれば良いのかというと、そうではありません。

いじめの問題には、

・いじめられているお子さん本人
・いじめている子どもたち
・傍観者
・親御さん
・担任の先生や、別のクラスの先生 

・・・それ以外にも、たくさんの人間関係が複雑に絡み合っているものです。

いじめられているお子さん本人に対する心のケアだけではなく、いじめている側の子どもたちや、傍観者への正しい対応が、必要になってきます。

いじめられているお子さん本人に対する心のケアだけではなく、いじめている側の子どもたちや、傍観者への正しい対応が、必要になってきます。

しかし、その対応を間違ってしまうと、いじめられているお子さん本人と親御さん(または先生)との信頼関係が壊れてしまう、いじめがさらに加速してしまうなど、状況が悪化する可能性が高まります。
ですから、専門家からの正しい知識を学び、正しい対応の経験を重ねて行くことが大切なのです。

いじめの問題解決には、みんながみんな、同じ方向を向いていれば良いわけではありません。

*お父さんもお母さんも先生も、いじめの原因の追究ばかりに気をとられて いませんか?

*いじめられている子との信頼関係はしっかりとれていますか?

*いじめている子に対して、しっかり観察・ケアできていますか?

*先生は傍観者の子ども達と、いじめられている子の関係がこじれないように、 うまく対応できていますか?

いじめの問題解決のゴールは統一する必要がありますが、行動や役割はそれぞれ違います。

*お父さんやお母さんの役割はなんでしょう?

*担任の先生、他のクラスの先生、それぞれの役割は?

*いじめられている子や傍観者、いじめている子に対し、それぞれどのような対応をしたらよいでしょう?

*いじめられている子が、自分を肯定し自信が持てるようになるためには?

所長の福田は、
「いじめられているお子さん本人との関係をいかに大事にし、
キープし続けるかがとても大事であり、想像以上に壊れやすいところでもある。
この点に関してはいくら大事に考えても、考えすぎることはない」

と強調していました。

いじめられているお子さんが、親御さんや先生に不信感を感じ、本当にあったことを語ってくれなくなると何も見えなくなってしまうからです。

このことを踏まえた上で、関わり方の連携をしっかり考えることが、いじめの問題解決の鍵となるでしょう。

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2023.01.17  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》湯浅愛美

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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