【不登校】登下校するだけで疲れてしまう子

更新日:2014.06.25

親御さんの熱心な対応に加え、クラスメートの誘いかけや担任の先生の家庭訪問などの努力が実を結び、「ちょっとだけでも登校してみようかなー」と「放課後登校」をスタート。これは、淀屋橋心理療法センターの不登校のカウンセリングでも比較的多い再登校のファーストステップです。

親御さんも「放課後だけでもいい!半年ぶりにやっと登校する気になってくれた!」と大喜び。放課後登校の当日も「担任の先生に挨拶して帰ってくるだけだから」とスムーズに登校。

ところが・・、帰ってきた時の子の顔がとても疲れきっていることがあります。その日ばかりは、よくしゃべるようになっていた子もほとんどしゃべらず、すぐに自室に入って寝入ってしまうことも。あとで聞いてみると「学校にいた時間は30分ぐらいだったけど、色んな先生に声をかけられたー。それより行くだけで疲れたー」・・。

確かに不登校の半年間、特にネットゲームやアニメ動画などに明け暮れ、ほとんど家にひきこもっていた子は、ほとんど運動らしいことができていません。そして、しばらくは何日かに一回登校しては疲れて帰ってきて、またしばらくしてから登校するパターンに。

こんな時に子どもさん自身が思いつきやすいのが「体力・筋力トレーニング」なのです。自分が続けて登校できないのは体力がないからだと考え、毎日のように家で腹筋をしたりダンベルで鍛えたり、夜に近所をジョギング・ウオーキングしたりと、なんとか体力をつけようとする子が意外といるのです。

【カウンセリングでのチェックポイント1】

適度な運動からスタートしたり、適度にトレーニングを継続するなら次第に体力もついてくることが望めるでしょう。しかし、不登校の子の特性に多いのですが、いきなりガンガン飛ばして頑張ってしまう子がいます。早く体力をつけたい気持ちはわかるのですが、逆にトレーニング自体に疲れてしまったり、すぐに成果が出なくて悔しい気持ちが強くなり、登校する気力も失せてしまうこともあるだけに要チェック。

【カウンセリングでのチェックポイント2】

子どもさんは本当に「体力不足」だけが原因で継続登校できないのでしょうか?。これも不登校の子を理解する上で大きなチェックポイントです。久しぶりに慣れない学校に登校するだけでも緊張するでしょうし、いきなり何人もの先生に声をかけられたりしたことで、「気疲れ」というメンタル面での疲れも大きくはないでしょうか?。おまけに、気疲れについては自分自身で認識できないこともよくあります。

当センターの不登校のカウンセリングに通っておられる場合なら、他にもいくつかのチェックポイントを確認しながら、いろいろな角度から継続登校できない原因を探ります。また、いきなり頑張りすぎる子にはどんな声かけをすれば反発されずに親のアドバイスを受け入れられるのか、メンタル面の疲れに気づいていない子にはどうしてやれば良いのか、子どもさんの性格に配慮しながら親御さんの声かけや対応の仕方を細かくアドバイスしています。

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2014.06.25

1.【不登校】登下校するだけで疲れてしまう子

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