【不登校】休み休み登校できる力・遅刻早退しながらでも登校できる力

数ヶ月や一年以上も完全不登校だった子にとって、再登校しはじめの頃は体力的にも精神的にも疲れを感じやすく、毎日ヘトヘトになって帰ってくる子も多いでしょう。そんな子が、せっかく行き始めたと思ったら一ヶ月もたたないうちに学校を一日休んだり、遅刻や早退をくりかえしながら登校することがあります。しかし、一日休んだかと思えば次の日はすんなり登校したり、遅刻する子も毎日遅刻ばかりというよりは、一週間に一、二回だったり、時どき早退して帰ってきたりするのです。こんな場合は厳しく叱ってでも毎日きちんと行かせるべきなのでしょうか。

私どものカウンセリングの経験から、最初から「完全登校」だけでなく「次第に安定登校」につながっていくというパターンがよくあります。最初は「ほどほど」に頑張って、慣れてくるにしたがって勉強の遅れを取り戻そうと努力したり、友だちづきあいの幅を広げていくというのがその一例です。他にも、毎日の学校生活で溜まったストレスを上手に発散しながら登校をつづけるというパターンもあります。

しかしながら、完全な不登校だった子の中には「完璧主義」な子も多く、そんな子にとっては「ほどほど」にがんばったり、「ストレスを上手に発散する」というのは簡単なことではありません。ですから、淀屋橋心理療法センターでは「ほどほどに頑張れるようにする」「上手にストレス発散できるようにする」にはどうするか、そのためのアドバイスに非常に大きなエネルギーを注いでいます。

そのため、親御さんへのアドバイスが効果を上げ完全登校を達成するまでは、時どき欠席する「五月雨(さみだれ)登校」や遅刻したり早退しながら登校する「部分登校」を、当面の間は「よし」とする場合があります。もちろん、目標は安定登校ですから、その子の「五月雨登校・部分登校」が次第に安定登校につながっていくかどうか、しっかりと見極める必要があります。

2011.05.26  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2011.05.26

1.【不登校】休み休み登校できる力・遅刻早退しながらでも登校できる力

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