不登校の相談に来られる親御さんの中に、ガックリと肩を落とされ、つかれきった感じで話される方がおられます。当然のことながら面接室にも重苦しい雰囲気がただよいます。しかしながら、一時間ほどカウンセラーがお話をうかがい、解決の見通しをお話しする段階になると、多くの親御さんに笑顔や気軽なムードが見受けられるようになります。「頑張れば見通しがひらけてくる」というお話に期待をもっていただいたのは確かですが、何よりこの「気軽さ」が不登校の解決には欠かせないのです。
親がめいった状態では子どもが近よりにくい上に、気まずいムードがいっそう子どもの気力(登校意欲)を奪ってしまいます。不登校の子にとって、家族を避けたり学校の話題を避けているうちは、なかなか登校の見通しが開けてきません。一方、家庭内に気軽なムードが漂いはじめると、家族の前に顔を出しやすくなって、親子の会話が増えてきます。気軽なムードで安心してしゃべっているうち、学校で味わったイヤな体験や再登校に際しての不安な気持ちがどんどん口をついて出てくるようになります。登校にまつわる様々な話題が出てくることで、イヤな思い出をトコトンしゃべって発散し、登校後の不安にも向き合う気持ちが出てきます。適切なアドバイスや周囲の人の協力が必要な場合もありますが、親子のムードがよくなって会話が弾むことで再登校できる場合もあるのです。