ゲーム・スマホ依存「お母さん、みてみて」

ゲーム・スマホ依存の中学生の男の子

学校には行かず、ますますゲームの世界に深く入っています。親御さんとの会話はめっきりと減ってしまいました。話しかけても返事すら返ってきません。食事中もスマホで動画鑑賞。最近は食事におりてこない日も出てきました。

親御さんは、ゲームをする上でのルールについて何度も話し合おうとしたり、ゲームを取り上げたこともありましたが、暴言や暴力もあり、うまくいかなかったようです。「万策尽きました」と疲れた表情の親御さんが当センターに初めて来所されました。

親御さんだけで来所されるようになってから、お子さんに小さな変化がいくつか出てきました。カウンセラーの私が最初に注目した変化は、ゲーム中の「お母さん、みてみて」という発言です。部屋にこもって1人で黙々とゲームをしていた子ですが「お母さんにも見てほしい」「お母さんと楽しみを共有したい」と行動が変わってきたのです。

「お母さん、みてみて」が数週間経ち、「お母さん、みてみて。ようやくこのアイテムが手に入ってん」と久しぶりに笑顔を見せてくれました。また「お母さん、みてみて。この街は僕が作ってんで。センスが良いやろう?」と自信のある発言をするように変わってきました。

「お母さん、みてみて」が出てくるようになると、親子の会話が増え、徐々にリビングにやってくる時間が増えていきます。その後しばらくすると、お風呂になかなか入らなかった子が、スムーズに入るようになったりという変化も出てきたりします。ただし、これは「お母さん、みてみて」が出てきた時に親御さんが適切な対応をされた場合です。うまく対応できなければ、絶好のチャンスはすぐに消えてしまいます。

ゲーム依存、スマホ依存の相談は今とても増えていますが、当センターの面接室では、親御さんから『子どもが「お母さん、みてみて」と言うようになりました』と嬉しいご報告をよくお聞きしています。

現実の世界でも人と楽しみを共有したい、コミュニケーションを取りたいという意識が強くなってくると、ゲーム・スマホを適度に楽しみつつも、現実の世界で生きることが楽しくなっていきます。

2020.09.29  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊介

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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