【不登校】高校生の子が留年決定。次の進路を決める際の注意点

更新日:2014.07.07

高校生の不登校の子の場合、7月になると「入学当初だけ何日か登校していた子・4月だけ登校していた子」や、「休み休み登校していた子(五月雨不登校)の子」が「留年決定」の告知を受ける時期です。

親御さんにとっては、留年になってしまったことは大きなショックでしょう。しかし、留年が決まった以上、次の進路をどうするのか、慌ててインターネットで単位制・通信制高校の情報を調べたり、公立・私立高校に転入・編入可能かどうかなどの問い合わせをされる方が多いようです。そもそも、親御さんが慌てて調べる理由の中で多いのが「何とかして三年間で高校を卒業させてやりたい」という切なる親心からきているようです。

「9月から転入すれば、三年間で卒業できる単位制・通信制高校があるよー」「○○高校に電話してみたら、欠員があるから転入できるかもしれないよー」など、様々な情報を集めて子どもさんの説得にかかります。そうです、なんとしても次の進路(高校)を早く決めてやりたいのです。

【不登校カウンセリングのチェックポイント1】

子どもさんは本当に三年間で高校を卒業することに執着しているのでしょうか?高校生の子どもさんの中には「ちょっとゆっくり考えたい」という気持ちが強く、留年が決まったからといってすぐに次の進路には気持ちが向かない子も多いようです。これは、子どもさんの日頃の発言をチェックしているとわかります。「あー、私一年遅れになるんやー」「年下の子と一緒は嫌やナー」といった発言があれば、子どもさん自身も「三年で卒業」にこだわっている可能性があります。

【不登校カウンセリングのチェックポイント2】

何の理由で不登校になったのか、親御さんはしっかり把握できていますか?。「友人関係」なのか、「勉強の遅れ」なのか、「部活での挫折」なのか、それによって次の進路の選択は大きく変わってきます。これも親御さんの想像だけでなく、日頃の親子の会話をチェックしていればわかります。

【不登校カウンセリングのチェックポイント3】

意外と、在籍していた高校そのものには問題があまり無い場合があります。不登校の中学時代から当センターのカウンセリングを受けておられる方にはいくつかのチェックポイントを予めおさえた上で高校を選択していただきます。たとえば、「この子はゆっくりペースか・ハイペースでもついていける子か」「中学時代に不登校だっただけに、高校への期待・理想が高すぎないか」「そもそもこの子は友だちをすぐ作れる子なのか、とても時間がかかる子なのか」などを事前にチェックしておきます。そして、自分にあったペースの学校を選べているか、すぐに友だちを作ろう(友だちができるだろう)という期待を抱きすぎていないか、などをチェックし、高校選びの段階でカウンセラーが関われている場合は、適切なアドバイスをしています。逆に、適切な選び方ができないまま高校選びをし、入学してから「こんなはずじゃなかった」という高校生が「不登校→留年」になってしまう子がとても多いのです。

【不登校カウンセリングのチェックポイント4】

いずれの場合でも、「日頃の親子の会話が十分か」や「早いうちに不登校カウンセリングを受けておられるか」というのが大きなチェックポイントになります。高校生になれば、親の思惑以上に不登校の子本人の意思が思っている以上に強くなっています。表向きは、親のアドバイスに対して「うん、わかった」「そうするわー」という子でも、いざその場になると・・。自我がはっきりしてきている高校生は、いくら親御さんが積極的に・親心で動いても報われないことが多くなってきます。いかに本人の意見をしゃべらせつつ、本人の「納得」をとりつけて決めることが必要か、不登校のカウンセリングを専門にしておりますと痛切に感じます。

淀屋橋心理療法センター不登校カウンセリングは、親御さんのみの来所が中心です。ご本人の情報は、日頃の親子の会話や対応の様子を教えていただくことで十分に理解・把握できます。カウンセラーが親御さんにアドバイスをお出しすることによって、親御さんが子どもさんの専属カウンセラーになっていただくわけです。親御さんが子どもさんのことをしっかり理解し、対応のコツをつかんでいただけますと、カウンセリングを終了してからも安心です。尚、「どうしても本人を診てほしい」という場合は、ご相談ください。

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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