【不登校】4月から毎日登校しているのに安心できないって本当?

小学生時代を不登校のまま卒業して中学一年生となり、入学と同時に「見違えたように頑張る子・一日も休まず登校する子」は意外とおられると思います。「小学校は卒業式さえも出られなかったのだから中学校もこのまま休み続けるんじゃないだろうか」と不安でいっぱいだった親御さんにとって、相当な安心感を抱かれたのではないでしょうか。

淀屋橋心理療法センターでも、中学一年生・高校一年生という「新しい環境」に変わった時点で再スタートを切る子がたくさんおられます。他にも、学年の変わり目から再登校をスタートされる子や不登校の最中に高校受験だけは何とか受けて(受かって)、入学説明会や教科書販売など、入学式の前から動きはじめる子もおられます。まさに「環境を変えて心機一転」という感じでしょうか。

ところが、毎日学校から帰ってくると無愛想であったり、帰ったら制服のまま寝てしまう子がいます。登校している一方でこのような状態が続いたり、口数が少なかったり極端に食が細くなっている場合は、今の状態は「黄色信号」かもしれません。

「自分の能力以上にあれもこれもと頑張りすぎている」
「新しいクラスメートに対して気をつかいすぎている」
「『話しかけられたらどうしよう・先生に当てられたらどうしよう』などで常に頭が一杯で、緊張しすぎている」
…ということもあるのです。

長らく学校やクラスメートとの接触がないと、学校での自分のペースや人との会話の仕方さえも忘れてしまっていることもあります。だからといって、一日でも休んでしまったら不登校になってしまうのではと、親のみならず子どもさん自身も「不登校の再発」を恐れている場合もあるのです。

「なんとしても毎日登校しなければならない」と無理に自分に言い聞かせているのか、「ほどほどにやっているけど、慣れるまでは疲れるなー」ぐらいの状態なのかによって、ゴールデンウイークあたりになると結果が二通りに分かれてきます。

「疲れ切ってダウン」なのか「やっと慣れてきて登校が楽になってきた」か、これは見た目の「毎日登校している」だけでは判断できないのです。

2011.04.20  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2011.04.20

1.【不登校】4月から毎日登校しているのに安心できないって本当?

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