
「ゾーマ戦のベホマズンが〜!」
「ベギラゴンとギガデインの強さは……」
ゲームが大好きな子どもたち。ゲームについて話すときは、とっても楽しそうに、饒舌に話しますよね。
しかし親御さんにとっては、何かの呪文かはたまた外国語を聞いているかのよう。「一緒に楽しめない」と苦慮されている方も多いでしょう。
この記事でお伝えしたいのは、そんなゲームが大好きなお子さんの持ち味のこと。
ゲーム依存症解決には、「ゲームをもってゲームを制す」。親御さんがコツコツと対応を意識することで、【かいしんのいちげき】にきっと繋がります。
※この記事は、2025年9月16日に淀屋橋心理療法センターで行われた治療説明会を基に執筆しております。
満席のゲーム依存症(ゲーム障害)治療説明会
今回のゲーム依存症治療説明会は、多くのお申し込みにより、会場は満席。当センターのスタッフである筆者も一緒に聴講させていただきました。
数ある疾患別の治療説明会の中で、毎回多くのお申込みをいただくのが、ゲーム依存症(ゲーム障害)です。カウンセリングのお問い合わせも、年々増加傾向にあります。
文部科学省によると、小学生の約30%が平日1日あたり3時間以上ゲームをするという調査結果もあります。
当センターへのお問い合わせの多さや、最新の調査結果を踏まえると、お子さんのゲーム依存症に悩まれているご家庭は想像以上に多いのだと感じます。
出典:令和6年度文部部科学省 全国学力・学習状況調査の結果(概要)
2つのゲーム依存症(ゲーム障害)の事例
治療説明会の講師を務めるのは、淀屋橋心理療法センター 臨床心理士・福田俊介。福田からは、2つのケースの回復過程や親御さんへのカウンセリングなどが紹介されました。
- 食事中もゲームを手放せず、昼夜逆転生活になってしまった子の事例
- ゲームに依存しすぎて、暴力・暴言など人が変わってしまった子の事例
淡々と「ゲーム依存症とは……」のように講義形式で語るのではなく、事例で説明することで、

- 登場人物がいて、その人のキャラクターがわかる
- セリフや行動から、回復の過程を理解しやすい
- どれくらいで治っていったのか、時間の流れもわかりやすい
このようなメリットがあります。
また、福田の事例紹介には珍しい特徴も…!ぜひ説明会にお越しいただいて、事例の詳細をご覧ください。
ゲーム・スマホが手放せない子どもたち
参加された親御さんの自己紹介コーナーでは、お子さんのゲーム・スマホ依存症の程度や、日常生活・学校生活に支障が出ていることなどをお聞きしました。

本人は高校生だが、子どものころからとにかく液晶が大好きだった。今も特にやりたいこともなく、ちょっとでも隙があればスマホをいじっている。

最初はスイッチから始まった。スイッチで遊んでいる時はまだよかったが、対戦型のネットゲームにはまってから一変。生活リズムが崩れ、学校にも行けなくなった。

ゲームをとりあげると激しく暴れる。好きなだけ殴らせたこともある。それでも手加減して殴ってきているのがわかる。まだ可能性があるのではないかと望みを捨てずにいる。
ゲームにハマるのは持ち味?
皆さんのお話から、お子さんは強烈な興味やエネルギーをもってゲームやスマホで遊んでいることがわかります。中には、昼夜問わず手放せないお子さんもおられました。
しかし、見方を変えれば、ハマる=何かひとつのことに、物凄い関心と集中力を持って取り組める人とも言えます。もともとの性格として、何かにハマりやすい持ち味を持っている人なのです。
親の立場からすると、ゲームに没頭する姿を見続けるのはとてもしんどいこと。
ですが「これも、この子の持ち味?」と思い直してみると……。また違った心持ちになれると思いませんか。
自分の世界が大事な人
臨床心理士・福田俊介は、ゲーム依存症のように何かにハマっている人のことを、「自分の世界が大事な人」という表現をしました(実際はもう少し違う表現です)。
興味関心事の多くが、自分の好きなものや自分の半径1m以内に向いていて、好きなもの(例えばゲーム)について語る時は、とってもイキイキしているのだそうです。
依存症ではなくても、こういった状態になることはよくありますよね。
大好きな推しのアイドルについて語る時や、とにかく愛してやまないものについて語る時…。
人は誰でも、多弁になったり興奮して早口になったり、つい相手そっちのけで一人語りしてしまうこともあります。
ゲームにハマるお子さんたちも、同じです。
「誰よりもゲームが好きで、寝食を忘れるほどの熱量でハマる人」と、見方を変えて接してみると、関係が変わるきっかけになるかもしれません。
自分の世界だけでなく周囲と関わりを持てる
さて、そんな「自分の世界が大事な人」に、どうやって外の世界に興味を持ち始めるのか、気になりますよね。ヒントは、臨床心理士・福田俊介の言葉の中にありました。
日頃から自分の世界に生きているので、お子さんは「どうせ俺の言うことなんて伝わらない」と、最初から諦めている部分があるそうです。
ですので、彼らが語る「世界の話」に耳を傾ける・聴いているよという姿勢を見せると、

「ん?うちの親、話が通じるぞ……?」
と、自分から「見て!聞いて!」と好きなものを親御さんと共有しようとします。

「話題がどんどん広がり、そしてお子さんの視野も広がっていきますよ」
それまでゲームのこと以外何も関心がなさそうだったのが、政治ニュースにツッコミを入れたり、お母さんのちょっとした外見の変化に気づいたり……。
自分の世界に生きていた人が、周囲と関わりを持ち始め、協調性が顔を出し始めた瞬間です。
ゲームをもってゲームを制す
「ゲームをもって、ゲームを制す」ーー淀屋橋心理療法センター所長であり精神科医・福田俊一の言葉です。とてもシンプルで、力強く心に刺さります。
※2025年8月19日(火曜日)放送のNHKほっと関西『ゲーム・スマホしすぎ…保護者のモヤモヤ 夏休み、どう向き合う?』に、福田俊一が出演。ゲームにハマりすぎる子どもたちにどう対処すべきかという問いに対し、精神科医師の立場から福田が述べたコメントより抜粋しています。
なお、(視聴可能期間が過ぎているため、閲覧はできません)

能動性は、しゃべり(話し方)に現れます。
前述の通り、ゲーム以外のことに広く目を向けられるようになると、心の中に「能動性」の芽が育ち始めると福田は言います。
これに関連し、Q&Aコーナーでの臨床心理士・福田俊介と親御さんのやりとりをご紹介します。

芸能ニュースとか、子どもが話す内容が薄っぺらすぎるけど、いいの?だんだん話し方が上手になっていくの?

最初は幼稚でもOK。次第にしっかりと、洗練されていきます。例えば、説明の仕方が上手になったり、話の展開にストーリー性があったり、話し方が上手になります。
続いて、ゲーム以外のことへ話題が広がります。
芸能・時事ニュースなどを見て、「自分の意見」を言うようになるのです。
これが、少しずつしゃべりに能動性が現れ始める過程。「ゲームをもってゲームを制す」、果たして、皆さんはどう感じられたでしょうか。
この他にも、ゲーム・スマホ依存症(ゲーム障害)のお子さんへの対応について、過去のレポートでも詳しくお伝えしております。どうぞこちらもお読みになってみてください。
子どものゲーム依存症(ゲーム障害)でお困りの 親御さん向けのカウンセリング 治療説明会
ゲーム依存症の治し方とは?カウンセリング治療|ゲームを利用して子どもを成長させて解決へ
ゲーム依存症・ネット依存症【カウンセリングによる】治療と回復事例&アドバイス
まとめに代えて:依存症ではなく「大のゲーム好き」さんとして
説明会終了後に、ご感想を拝見しました。内容を理解して終わりではなく、行動してみようとお考えの方がいらしたことが印象的でした。
ゲームやスマホだけに向けられていたお子さんのエネルギー。その力を会話を通してゲーム・スマホ以外へと伸ばしていけたら…。
親御さんも、お子さんが変化する可能性を感じてくださったのではないかと思っております。
地道に努力を続けながらも、それでもうまくいかない時は、淀屋橋心理療法センターまでどうぞご相談ください。お子さんがイキイキとした姿を取り戻すその時まで、当センターのカウンセラーが道案内いたします。
「いきなりカウンセリングでは不安な方」や、当センターが「どんな雰囲気か知りたい」といった場合も大歓迎です!少しでも気になる説明会がございましたら、ぜひ一度お越しください。
▶ 最新の治療説明会日程はこちらをご覧ください。