家庭内暴力カウンセリング説明会 解決するために親は何ができるのか

家庭内暴力カウンセリング説明会 解決するために親は何ができるのか

家庭内暴力を治せる専門家は少ない

家庭内暴力を治せる専門家は少ない

家庭内暴力を治せる専門家は少ないようで、コロナ禍になってから、リモートカウンセリングで遠方からの家庭内暴力の相談がとても増えています。
特に地方では専門家が少ないようで、薬あるいは入院の2択しかないと医師やカウンセラーから言われて困っているという親御さんからの相談が増えています。

一回のカウンセリングだけでは解決しません

一回のカウンセリングだけでは解決しません

暴力を振るう人を暴力を振るわないように成長させたいのです。
人を成長させるには、ある程度時間がかかります。
そのため、1回ご相談に来られたぐらいでは解決しません。
ところが、家庭内暴力の相談では、相談内容はかなり深刻なのに、一回で解決できると思い込んでおられる方がおられます。何ヶ月か継続して、コツコツと努力していただく必要があります。

家庭内暴力とお子さんの性格

家庭内暴力とお子さんの性格

性格的には、こだわりの強い傾向のある人が家庭内暴力を起こしやすいと言えそうです。

こだわりが強いというのをもう少し具体的に説明すると、

① 自分のルールがあり、それが守られないと怒る
例えば、親御さんが良かれと思って部屋を片付けられると、「なんで勝手に部屋を片付けたんだ!」と怒る。

② 昔のことを覚えている(執着気質)
「昔こんな酷い事をされた」「昔こんなことがあった」と昔の嫌なことを沢山覚えているのです。

家庭内暴力解決の糸口は親子の雑談から

家庭内暴力解決の糸口は親子の雑談から

家庭内暴力のご家庭の会話というのを確認していると、会話が微妙に噛み合っていないことが多いのですが、ほとんどの親御さんはそれに気づくことができていません。
人間、話し方はその人のこれまでのクセがあるので、無意識な発言が、実は相手をイラつかせていたりするのです。
当センターでは、親御さんと何回かお会いする中で、ここにお子さんが引っかかってるんじゃないかというのを確認していきます。

精神科医・福田俊一によるQ&Aのコーナー

精神科医・福田俊一によるQ&Aのコーナー

家庭内暴力治療説明会では、問題が深刻なため、熱心に質問して下さる親御さんの姿が印象的です。

家庭内暴力を解決するためには

Q1:
やっぱり家庭内暴力を解決するには、親が明るく元気である必要がありますよね?

A1:
そういう考えもあるようですが、お子さんの暴れ方がひどい場合、
実際問題として元気に振る舞うのは難しいですね。

当センターの治療では、お子さんが暴れ、親御さんが元気でなくても、
親子の会話がご本人にピッタリ合うように、噛み合うようになると、家庭内暴力は改善に向かいます。
会話よって、のばせていなかったお子さんの中に眠る芽が伸びていくのです。良い対応をしても、芽がしっかりと伸びるまでは多少時間がかかります。 そして、お子さんが元気になっていく中で、
それに連動して親御さんも元気になっていかれるのです。

他のカウンセラーには、解決するのに五年かかると言われたのですが・・・

Q2:
以前相談に行った別のカウンセラーから、5年間子供が荒れているのであれば、解決するのに5年かかると言われましたが、 やはりそれぐらい覚悟しないといけないのでしょうか。

A2:
おそらくそのカウンセラーは、
親御さんを焦らせないためにそう言ってるのではないでしょうか。

確かに、こういう問題は焦ると解決しにくいのです。
当センターでは、10年間引きこもっていたケースが、
半年や1年で解決したということもたくさんあります。
そのため、5年経過している問題を改善するのに5年という風には考えていません。
ただし、しっかりと軌道に乗った場合の話です。
軌道に乗せるということがとても大切なのです。

離婚歴があるので、子どもに対して罪悪感を感じてしまって辛いです

Q3:
私は離婚をしています。
親として育て方に罪悪感があるのですが、それを感じたらしんどくなってしまいます。
何か良い方法ないでしょうか。

A3:
お子さんがどんどん元気になっていくと、
親の育て方とか、「お前たちのせいで」という風に
親を責める事は減ってくるでしょう。

お子さんがどんどん元気になっていく姿を見る中で、
その姿に癒され、罪悪感はいつの間にか消えてしまうということが多いのです。
ですから、今の親と子の関係にエネルギーを集中させて、そこにチャンスを見つけることが大事なのです。我々がお手伝いします。

夫婦は一枚岩でないといけないのか?

Q4:
以前通っていた別のカウンセラーから、夫婦は1枚岩ではないといけないと言われました。
正直、夫と私は相性がいいとは思っていませんが、やはり問題解決のために1枚岩でないといけないのでしょうか。

A4:
今から30年以上前は、講演会などで私も「夫婦は1枚岩でないといけない」とよく言っていました。しかし、臨床経験を積んでいく中で、そんな必要がないことがわかりました。

夫婦の関係性が良くなくても、お母さんあるいはお父さん、どちらか片方が頑張ってくださる中で、家庭内暴力が解決した事例はたくさんあるのです。

臨床心理士 福田俊介の感想

今回、私、福田俊介は、いつものように講演者としてではなく、参加者としてこの治療説明会に参加していました。
やはり印象的だったのは、各ご家庭の抱えている問題がかなり深刻であるということ
そして、親御さんが熱心に質問されている姿です。
親御さんのなんとか解決したいという気持ちが、とても伝わってきました。
ただ気になるのは、かなり深刻な問題であっても、なぜか不登校や引きこもり・摂食障害などに比べて、家庭内暴力の相談はカウンセリングの継続率が低いということです。
1回ご相談に来られたぐらいでは問題は解決しません。
是非、お子さんが暴力を振るわなくてもいい人になるように時間をかけて育てましょう。
そこまで育てることができたら、後々、親御さんは楽になっていかれることでしょう。

治療説明会後の反省会

今回の治療説明会後。スタッフによる反省会は、特に議論が活発しました。

今回の治療説明会後。スタッフによる反省会は、 どうやったら親御さん達に高くご満足いただけるのか、かなり議論が飛び交いました。
やはり、いきなりこうしたら家庭内暴力が解決しますようと解決策を提案するよりも、冒頭で、時間に限りがありますが、少し親御さんのこれまでの苦労話をお聞きしたり、家庭内暴力は決して親が悪いわけではないということをお伝えする。また解決した事例をお見せすることによって、希望の光をお見せすることが大事なんじゃないかという話になりました。
我々は勉強会の回を重ねることに精度を上げていっております。

次回の家庭内暴力治療説明会は、2024年3月22日に開催を予定しております。【淀屋橋心理療法センター公式 LINE 】 から、勉強会開催のお知らせや最新記事の更新などをお知らせしております。是非ご登録ください。LINE 友だち追加

2024.03.11  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》臨床心理士 福田俊介

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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