保健室の先生(養護教諭)向け 不登校とリストカット勉強会レポート

更新日:2024.07.29
保健室の先生(養護教諭)向け 不登校とリストカット勉強会レポート

令和5年6月24日(土)淀屋橋心理療法センターにて保健室の先生(養護教諭)を対象とした勉強会を開催しました。

勉強会前半 福田俊介による事例発表

勉強会では、不登校とリストカットの事例を発表しました。

不登校の事例ではどんどん元気になっていっていた高校生のユウジくん(仮名)。そのまま解決に向かうと思いきや、調子を崩しました。
「なぜ彼が調子を崩したと思われますか?」

勉強会でずっと聞いて頂くのはしんどいと思い、途中で先生方に質問をしていきました。

最初に発言された先生が「もし間違ってたら…」と緊張した面持ちでおしゃったので、 「勉強会ですから、むしろどんどん間違ってくださいね」とお伝えしたら、そこから勉強会の空気が柔らかくなったのが印象的でした。

保健室の先生からの事例の感想

各事例の最後には、感想を言って頂きました。発言して頂くことで、少しでも私がお話した内容を、後になっても覚えておいて頂きたいからです。

● 不登校の事例の感想

私はどうしても先生なので、「授業を受けなよ」と生徒に言ってしまう。もうちょっと生徒のしんどさをわかってあげたいと思いました

● リストカットの事例の感想

普段、生徒や保護者と関わっていると色々見えなくなってしまっていました。事例を聞くことで俯瞰して見ることができて、「こういうことだったのか!」とよくわかりました。

前半終了後、10分の休憩時間

勉強会では前半と後半の間に10分の休憩を取ります。
後半が始まるまでの間に、前半で学んだことを充分に理解していただきたいからです。

印象的だったのは、この休憩時間中、初対面であろう、先生方が仲良くお話されていたことです。
それぞれの学校での状況をお話しされているようでした。仲良くお話されている姿を見るって良いものですね。

勉強会後半 所長福田によるQ&Aのコーナー

Q&A

【その一部をご紹介】

Q. 保護者との関係作りが難しい。保護者の中には「先生の言うことなんて」と、聞いてくれない場合もある。 どうしたらいいでしょうか?

A. 家の中での様子と学校での様子が、だいぶ違うというお子さんがいます。
このような場合、親御さんに、学校でお子さんがこんなことをして困っています、という風に伝えても親御さんにうまく伝わらない時があるのです。
それを防ぐ方法の一つとして、普段から学校での様子を伝える。
家では少しわがままぐらいの子が、学校ではすごく自分を抑えていたりします。学校での様子を普段から伝えていれば、何か困ったことが起きたときに保護者が理解しやすいでしょう。

また生徒の発言を親御さんに伝えておくことも重要です。たとえば朝起きるのが苦手な子の場合、親御さんは、「うちの子は怠けていて、嫌なことから逃げているんだな」と理解しているかもしれないです。しかし、もし先生の前で「僕だって学校に行きたいと思ってるんだけど、なんか朝になったら気分が重くなって。そんな自分が嫌になるんだ」

このような発言を子どもがしたことを伝えておけば、
「あー、うちの子供は学校に行きたい気持ちがあるんだな」と我が子の事をより理解できるようになり、先生方が保護者と話をしやすくなるでしょう。

勉強会 終了

勉強会後のアンケート

– 養護の先生からの感想

すべて「なるほど!」と思いながら聞くことができました。養護教諭の立場でどこまでできるかというのがありますが、今までより少し自信を持って、子どもたち、保護者、同僚、教員と話ができるような気がします。 ありがとうございました!

カウンセラーの意外な発見!

養護教諭向けの勉強会の準備をするにあたり、先生方を励ますということは特に考えていませんでした。しかし、結果として我々の勉強会に参加いただいた方は、「励まされました」「自信が持てました」と答えてくださる方が多かったです。これは想定外でした。我々の勉強会が先生方に新しい知見をお伝えするだけでなく、養護教諭としてで学校で頑張っておられる先生方の励ましになっていることが分かり、嬉しかったです。

カウンセラーの意外な発見!

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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