高校一年のY子は、不登校に加えて腹痛と多汗症に悩んでいた。腹痛が強いと学校を休んだり、痛みが治まってから登校するという日々を過ごしていた。そんなY子を起こすのは母親の役目だった。
仕事を持っている母は、Y子を何とか休ませないようにと毎朝必死で起こしていた。おまけに仕事に出る時間も意識して、動きのにぶい時はどうしてもきつい口調になっていた。
カウンセリングでは親子の「持ち味」の違いに焦点があたった。
母親は何でも手際よくこなす「スピーディ」な人だ。朝一番に起きては、他の家族を起こしつつ、洗濯・朝食づくり・洗い物・お弁当作り等を短時間でこなしてから仕事へ。日ごろから「○○!、もう△時やでー!」「早よせな遅刻するよー!」「いつまで○○してんの!」が口癖だった。
一方、Y子は何をするにもゆっくりペース。宿題や着替えなどのとりかかりも、母親から再三どなられてから動く毎日だった。「わかったー」と良いながらも動かなかったり、「後でええやん」がY子の口癖だった。
学校のある朝は当然のごとく「修羅場」であった。必死に起こす母とフトンのひっぱり合いの毎日が続いていたのだが・・・。
後半へ続く