夏休み明け、子どもが荒れるのはなぜ?育てにくさを感じたとき

更新日:2026.09.17
夏休み明け、子どもが荒れるのはなぜ?育てにくさを感じたとき

夏休み明けになると、お子さんの様子が普段と違って見えることがあります。

特にHSP傾向や発達障害グレーゾーンのお子さんは、集団生活の刺激を受けやすく、家庭で「荒れ」や、学校への行き渋り・不登校気味の様子が表れることも少なくありません。

この記事では、夏休み明けにお子さんが不安定になりやすい理由と、親としてどう関わればよいかを解説します。

夏休み明け、なぜ子どもは不安定になりやすいのか

夏休み明け、なぜ子どもは不安定になりやすいのか:カウンセリング(夏休み明け)

夏休みは、お子さんにとって学校生活から少し離れ、心と体を休める大切な時間です。

朝早く起きる必要がない、苦手な人間関係から距離を置ける、自分の好きなことに時間を使えるなど、普段学校で頑張っているお子さんにとって、心を緩める事ができる期間でもあります。

一方で、夏休みが終わり2学期が始まると、生活リズムが学校中心に戻ります。

授業、友達関係、集団生活、周囲への気遣いなど、お子さんを取り巻く環境は大きく変化します。

そのため、夏休み明けには、

  • 朝起きられない
  • 学校に行きたくないと言う(行き渋り)
  • イライラすることが増える
  • 家族に強く当たる
  • 泣いたり怒ったりすることが増える

といった、いわゆる「荒れる」と呼ばれる変化が見られることがあります。

場合によっては、そのまま不登校につながってしまうケースも少なくありません。

ここでいう「荒れる」とは、単に反抗的になるということではありません。

怒りや涙、学校への行き渋り、親への強い言葉など、お子さんの中にある不安や疲れが行動に表れている状態を指します。

こうした変化は、単なる「わがまま」や「甘え」として片付けられるものではなく、環境の変化に心や体がついていけず、負担が表れているサインであることがあります。

夏休み明けの不調は、学校で頑張っていた証かもしれません

夏休み明けの不調は、学校で頑張っていた証かもしれません:カウンセリング(夏休み明け)

「先生から学校ではまったく問題なく過ごしていると言われました。でもうちの子は、家では毎日のように癇癪を起こします」というご相談をいただくことがあります。

実はお子さんの中には、学校では周囲に合わせようと努力し、失敗しないようにすごく気を張りながら過ごしている場合があるのです。

先生や友達の前では我慢していても、安心できる家庭に戻った途端、

  • 急に怒り出す
  • 泣き出す
  • 親に強く当たる
  • 何もしたくなくなる

という姿を見せることがあります。

これは親御さんを困らせたいからではありません。

家庭が安心できる場所だからこそ、外で頑張っていた疲れや本当の気持ちを出している場合もあります。

「家で荒れる=家庭で問題が起きている」ということではなく、外で頑張り続けてきたお子さんが、安心できる場所で力を抜いていることもあるのです

外で頑張りすぎてしまう子どもの背景には、HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる、感受性の強い気質が関係していることもあります。

外で頑張りすぎる子どもと、HSPという気質

外で頑張りすぎる子どもと、HSPという気質:カウンセリング(夏休み明け)

HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略で、「非常に感受性が強く敏感な気質をもった人」と定義されています。HSPは出生後に後天的に現れるものではなく、先天性の気質だと言われており、最近ではその性質が少しずつ認知されるようになってきました。

(参考・関連ページ:淀屋橋心理療法センター「HSPとは?」)

※HSPは、心理学者エレイン・アーロンが提唱した「感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity)」という気質概念を指す通称であり、医学的な診断名ではありません。

精神疾患の診断基準であるDSM-5-TRにも記載がなく、HSPであること自体を理由に治療が必要になるものでもありません。ただし、刺激を人一倍強く受け取りやすいという特性によって、日常生活で疲れやすさや困りごとを抱える方がいることも指摘されています。

(参考:Wikipedia「ハイリー・センシティブ・パーソン」/武田薬品工業「大人の発達障害ナビ」HSPとは)

こうした特性を持つお子さんは、周囲から「気にしすぎ」「考えすぎ」と言われてしまうことがあります。

とはいえ本人にとっては、周囲が気づかないところで多くのエネルギーを使いながら生活していることが多いようです。

例えば、

  • 周囲の人の表情や気持ちを敏感に感じ取る
  • 大きな音や人の多い場所で疲れやすい
  • 失敗を強く気にする
  • 周りに合わせようとして頑張りすぎる
  • 相手の期待に応えようとして無理をする

といった特徴が見られることがあります。

夏休み中は、そうした刺激から一時的に離れられるため、心身の疲れが回復しやすい時期でもあります。

ただ、学校が始まると、クラスでの人間関係、授業中の集中、周囲への気遣い、集団生活のルールなど、多くの刺激を再び受けることになります。

その結果、夏休み明けに不安、イライラ、無気力、時には行き渋りといった形で表れることがあります。

発達障害グレーゾーンの子どもが抱えやすい困りごと

発達障害グレーゾーンの子どもが抱えやすい困りごと:カウンセリング(夏休み明け)

HSP傾向だけでなく、発達障害の診断には至らないが、その傾向のある「グレーゾーン」と呼ばれるお子さんたちの中にも、次のような困りごとを日常生活で抱えている場合があります。

例えば、

  • 気持ちの切り替えが苦手
  • 急な予定変更への対応が難しい
  • 忘れ物や準備が苦手
  • 集団の中で疲れやすい
  • 相手の気持ちを読み取ることが難しい

などです。

周囲から見ると、苦手なところがなかなか見えにくかったりします。

しかし本人の中では、毎日多くの努力や工夫をしながら生活していることが多く、その頑張りが限界に近づいた時、学校への行き渋りや家庭での荒れとして表れることがあります。

なお、HSPと発達障害グレーゾーンは似た文脈で語られることがありますが、性質の異なる概念です。

関わり方のヒントも一人ひとり異なるため、気になる場合は専門家と一緒に見極めていくことをおすすめします。

子どもが荒れた時、親が「叱る」より先に見てほしいこと

子どもが荒れた時、親が「叱る」より先に見てほしいこと<:カウンセリング(夏休み明け)

お子さんの問題行動が出た時、親御さんは目の前の行動を何とかしたいと思いがちです。

「早く◯◯しないと」「そんなことで泣かないの」「学校に行きなさい」

と言いたくなることもあるでしょう。

大切なのは、行動だけを見るのではなく、「なぜ今、この状態になっているのか」という背景を見ることです。

お子さんの荒れた姿の奥には、

  • 疲れている
  • 不安を抱えている
  • 自信を失っている
  • 助けてほしいと思っている

という気持ちが隠れていることがあります。

上記の事柄に該当する場合には、お子さんの疲れをとり、自信や勇気を回復する必要があります。

当センターではこのような場合、親御さんとお子さんの個性の歯車がうまく噛み合うような道を探し、案内していきます。

子どもの困りごとを一人で抱えていませんか?

子どもの困りごとを一人で抱えていませんか?:カウンセリング(夏休み明け)

お子さんが荒れたり、学校を行き渋ったりする姿を目の当たりにすると、親御さんの中には、「自分の育て方が悪かったのではないか」「もっと上手に関わらなければいけないのではないか」と悩む方も少なくありません。

ですが、親御さんが日々の関わり方を工夫することで、お子さんが知らないうちに元気を取り戻していくことがあるのです。

ただ、そのお子さんに合った関わり方を見つけるまでの道のりは、迷いやすく孤独になりがちです。

お子さんの特性や抱えている困難に合わせて、そのお子さんに合った親御さんの関わり方をその道に熟練した専門家と一緒に見つけていくことが、次の一歩につながります。

当センターのカウンセリングでは、お子さんが自分の気持ちに気づき、言葉にしていく力を少しずつ育てていきます。

小さな芽が少しずつ大きく育ち、子供さんが自信を回復していく様は、親御さんにも大きな勇気と安堵を与えてくれるでしょう。

こちらの記事もあわせてご覧ください

・HSPとは?

臨床心理士:福田俊介
HSPの方々は、繊細な心を持っておられますが、悪いことばかりに影響されやすいと言うわけではありません。良い刺激からも影響を受けやすいので、良い仲間と交流したり、好きな音楽を聞いたり、良い映画を見たりすることでいい方向にうまく利用することができます。

「敏感さ」という生まれ持った気質であるHSPについて、特徴や種類、向き合い方を詳しく解説した記事です。

https://www.yodoyabashift.com/treat/hsp/

・発達障害のグレーゾーンとは?発達障害の子どもの特徴や対応|発達支援(カウンセリング)をご紹介

発達障害のグレーゾーンとは?発達障害の子どもの特徴や対応:カウンセリング(夏休み明け)

診断基準を満たさない「発達障害グレーゾーン」の特徴や関わり方について、当センターの考え方も交えて解説した記事です。

https://www.yodoyabashift.com/column/25173/

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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