完璧主義(完全主義)の相談で 進級進学を控えた春休みがチャンス
中学2年生の女子のケースです。起床時間、朝食のメニュー、食べる順番、歯磨きの時間、時間割の確認、着替えの順番、トイレタイム、出発・・・。毎朝分刻みにタイムスケジュール通り動かないと不登校になってしまう娘さんです。
親御さんもスムーズに登校出来るように毎朝細心の注意を払い、子どもさんの行動の邪魔をしないように動かれていました。無事登校出来るとようやく一息つけお母さんはゆっくりコーヒーを味わえるそうです。春休みになり登校の必要がなくなり親御さんも余裕が出来たことで相談に来られました。
彼女のように自分の決めたスケジュール通り動かなければどうしても先に進めないというご相談は沢山あります。この完璧主義は常にご本人もご家族も緊張の糸を張りつめていることで窮屈な生活になってしまいます。それはとてもしんどい生活です。
そこで日々の対応を工夫することで完璧主義の一角を崩していくのです。「まあこれくらいいいか」と自分を許せることで娘さんを柔軟に動きやすくしていきます。
しかし完璧主義が自分を縛っている、生きにくくしているとわかっている人は意外と少ないのです。ご本人はそれ以外の生き方を知らないのですから。いくら周りが『完璧主義はしんどいよ』と説得したところでご本人には響きません。自分自身で楽な生き方があることに気づいてもらえるよう親御さんに対応のアドバイスをしていきます。
進級進学を控えた春休みの今が対応の工夫を始める大きなチャンスです。
2015.03.19 著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》スタッフU
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
シリーズ記事
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2015.03.19
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