
2026年9月4日、三重県伊賀養護部会研修会にお招きいただき、淀屋橋心理療法センターの臨床心理士・福田俊介が養護教諭向けの実践セミナーの講演をいたしました。
筆者もスタッフとして聴講しましたが、特に印象的だったのが、Q&Aコーナーです。
事前に受付した質問と当日の質疑応答をあわせて、さまざまな疑問や悩みが寄せられました。
「子どもが本当の気持ちをなかなか話してくれないときは、どうすればいい?」
「学校に不信感を抱いている保護者には、どのように関わればいい?」
本記事では、こうした問いに対して福田が当日、臨床心理士であり家族療法の専門家としての見解を交えて回答した内容をお届けします。
回答内容はもちろん、当日の雰囲気も感じていただければ嬉しいです。
また、当センターの養護教諭向けセミナーへの参加を迷っておられる方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Q:「なぜかわからないけど涙が出る」子への対応は?

「自分でも何が理由かわからないけど、急に涙が出てくる」ため、教室に行けないという子に対して、どう対応したらよいかというご質問がありました。
小学生の男の子。保健室に来ると、大好きな給食の話などをしながら、1時間ほどを過ごしているそうです。
気持ちが落ち着いて、涙も止んだところで、先生とこんなやりとりを交わしています。


と、教室へ復帰するものの、またその翌々日ぐらいに、再び保健室を訪れます。

と、また最初に戻る…その繰り返しだそうです。先生からは、
先生からのご質問

Q:
雑談はしていますが、確信に至るような話はまだ何もできていません。
これは、信頼関係がやや崩れてきているからなのでしょうか?
このまま対応を続けていてよいのでしょうか?
福田は、先生が築いてきた生徒との関係性を認めながら、今後どう伸ばしていけばよいか、具体的な対応のポイントをお伝えしました。

生徒さんと信頼関係を積み上げてきて、素晴らしいですね。雑談が活性化してきたら、いやだった出来事に対しての本音が出てくるでしょう。
福田によると、こうした言葉は、子ども自身が自分の気持ちに気づくための手がかりでもあるそうです。
例えば、
「友達から『またそれ買ったの~?』って言われたけど、『好きなんだからいいでしょ』って言ったら、気持ちが明るくなった!」のような、日常のささいな出来事に関するもの。
こうして自分の気持ちを少しずつ口にできるようになってくると、子どもなりに自分はどんな人間か、「自分自身への理解」が進んでいく、と福田は言います。

この回答を聞き、保健室は、「自分の気持ちを言える・その気持ちを否定せず認めてくれる場所」のひとつなのだと、改めて感じました。
Q:登校しぶりのある子の保護者が「学校は自分のために何もしてくれない」と感じているようです。どう対応すれば?
続いて取り上げるご質問は、学校に不信感を抱いている保護者にどう向き合い、関係を作っていくか、というものです。
詳しく見ていきましょう。
登校しぶりをするお子さんのことで来校する保護者へ、どう対応すればよいかとご相談がありました。先生によると…
保護者が『学校は自分たちのことを「悪い親」だと思っているのではないか』と不安を抱えているようだ、というものでした。
もちろん先生としては、
- 味方になりたいと思っている
- そのつもりで保護者のお話を聞いている
一方で、保護者側は、
「学校は自分と子どものために何もしてくれてないし、訴えても改善が見られない」
と受け取っている状態。これを踏まえ、先生からは、
先生からのご質問

Q:
学校に対して不信感を持っている保護者が、学校は自分の味方だと思ってもらえる聞き方や、その声のかけ方を知りたいです。
いままさに「現場で起きている事例」ならではの難しい質問です。福田は、保護者との関係づくりには、いくつかの考え方があると述べました。
まず、保護者が信頼している先生がいる場合には、その先生に対応を代わってもらうことも一つの方法だと言います。
養護教諭の先生に限らず、保護者との相性を一番に考えて、誰が対応するのがよいかを考える、そういった臨機応変な考え方がポイントだとわかりました。
さらに福田は、こちらの意見を言い過ぎないこともアドバイスしました。

「まずは保護者の話を聞き、思いの丈をしっかりと受け止める」ことが重要だと福田は言います。
また保護者に何かを提案する際にも、保護者が悪者になるような言い方ではなく、「その子には合っていないのではないか」という視点で別の対応を伝えるほうがよい、とも伝えました。

このように、学校側や先生方が「サポートしたい」と思っていても、保護者によってはスムーズにいかない場合も多くあります。
そんなときには、相手の言いたいことや受け止め方を理解することを意識してみてください。
参加した養護教諭の先生方から、ご感想をいただきました
最後に、参加された先生方からいただいたご感想を、一部抜粋して紹介させていただきます。
明日からの業務にそのまま活かせる内容だった

どの事例やアドバイスも非常に実践的で、保健室で子どもたちに関わるうえで、明日からの業務にそのまま生かせる内容ばかりでした。
今回いただいた学びを、これからの業務に大切に活かしていきたいと思います。貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました。
普段の対応について、自信を持てた

カウンセラーと養護教諭という立場の違いはありますが、子どもや保護者と関わるうえで共通する大切な心構えについて学ぶことができました。
日頃、保健室で子どもたちの対応をするなかで不安に思うこともありますが、「普段行っていることが間違っていないな」ということも感じました。
学校での実際の事例をもとに学べた

実際の事例をもとに講演が展開されることで、学校での健康課題をきっかけに病院を受診するに至った事例を具体的に知ることができて、よかった。
普段自分たちが心がけていることについても言語化していただき、改めて大切にしたいことを確認することができました。
まとめに代えて:実践的に学びたい養護教諭の先生方へ
最後に、今回のセミナーを聴講し、子どもとの関わりに、これ!という「正解」はなく、その子その子にとっての最適解があると改めて知りました。
だからこそ、こういった場で、現場の実例をもとにディスカッションしたり、みんなで知恵を出し合ったりすることが、あとあとチカラになるのだと思います。
今回のレポートでご紹介した内容も、養護教諭の先生方から実際に寄せられた質問や事例から生まれたものです。
「このようなケースでは、どう声をかければいい?」
「何度関わっても同じことが繰り返されるとき、どう考えればいい?」
「保護者には、どのように伝えればいい?」
そんな現場ならではの、具体的な悩みを講師に直接質問しながら考えていけるのが、本セミナーの強みです。
講師に直接聞いてみたいと感じた方は、淀屋橋心理療法センターの養護教諭向けセミナーを、ぜひご活用ください。
※今回のように講演依頼でお伺いする場合もあれば、当センターで直接開催する場合もございます。
当センター主催の養護教諭向けセミナー日程について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

