【講演報告】美作地区小中学校養護教諭連絡協議会 合同研修会にて講演を行いました

更新日:2025.12.18
【講演報告】美作地区小中学校養護教諭連絡協議会 合同研修会にて講演を行いました

2025年10月27日(月)、淀屋橋心理療法センターの臨床心理士・福田俊介が、岡山県にて開催された「美作地区小中学校養護教諭連絡協議会 合同研修会」にお招きいただき、 講師として、先生方の前でお話しさせていただきました。

今回の研修会には、美作地区の小中学校で日々子どもたちと向き合っておられる養護教諭の先生方、約150名がご参加くださいました。

実は今回のご依頼、養護の先生が当センターのホームページやブログをご覧いただいたことがきっかけだったとのこと。
このような形でご縁をいただけたことに、スタッフ一同、心より感謝しております。

本記事では、当日講演に同行したスタッフが、会場の様子や講演内容、そして先生方の真摯な姿勢から感じたことをお伝えさせていただきます。

会場の様子や講演内容、そして先生方の真摯な姿勢から感じたことをお伝えさせていただきます。:カウンセリング(保健室の先生向け)

あたたかさに包まれた会場の様子

あたたかさに包まれた会場の様子:カウンセリング(保健室の先生向け)

会場に入ると、想像していた以上の参加者の多さに、思わず背筋が伸びました。
それでも、先生方同士の会話や笑顔があちこちに見られ、会場にはすでに穏やかな雰囲気が広がっていました。

講演の冒頭では、自己紹介を兼ねたグループディスカッションを行いました。
テーマは「名前と学校名、そして最近児童・生徒からしてもらって嬉しかったこと」。

どのテーブルでも“ほっこりエピソード”が続き、自然と笑顔があふれる時間に。
養護教諭の先生方が日々、気持ちを込めて子どもたちと関わっておられる様子が伝わる、あたたかなスタートとなりました。

講演が始まると、先生方は福田の話に大きく頷いたり、時折の冗談には笑いが起こったりと、落ち着いたやさしい空気感の中で進行していきました。

ほっこりエピソード”が続き、自然と笑顔があふれる時間に:カウンセリング(保健室の先生向け)

不登校・自傷の事例から学ぶ子どもとの関係づくりと連携

講演内容:カウンセリング(保健室の先生向け)

今回の講演では、主に以下のことについてお話しをさせていただきました。

  • 当センターで実際に関わった3つの事例(不登校・リストカット・激しい癇癪)
  • 養護教諭にできる情報共有

事例を通して考える “雑談の大切さ”

今回の講演では、不登校・リストカット(自傷行為)・癇癪といった、学校現場でもよく耳にするテーマを取り上げ、実際に当センターで解決した事例をもとに「どのような関わり方が効果的か」を具体的にお伝えしました。

その中で福田が特に力を込めてお伝えしたのが、
「雑談を甘く見てはいけません」
というメッセージです。

保健室では、児童・生徒との何気ない話が生まれやすいもの。
しかし時に、「意味のない話ばかりして」と誤解されてしまったり、子どもたちとの会話にゆっくり時間をとれなくなってしまったりすることもあります。

一方で、人は「中身のない会話ができない人に、相談しようとは思わない」ものです。

雑談とは、決して無駄なものではなく、関係づくりの“土台そのもの”。
焦らず、安心して話せる関係をつくることこそが、支援の第一歩になります。

安心して話せる関係:カウンセリング(保健室の先生向け)

情報共有のポイントは “エピソードの共有”

保健室の先生は、学校でたった一人の専門職であることが多く、孤立感を抱えやすいかもしれません。

だからこそ、周囲の先生方との情報共有がとても大切です。

児童・生徒の日常の小さなエピソードを集め、「どんな時にどんな行動が見られたか」を保護者や担任と共有することで、より具体的な支援につながります。

児童・生徒に対する見解は異なることがあっても、エピソードといった“事実ベース”の共有は、立場が違う大人同士でも認識を合わせやすく、担任・保護者・管理職との連携を強化するうえで力を発揮するでしょう。

:カウンセリング(保健室の先生向け)

臨床心理士によるQ&Aコーナー

臨床心理士によるQ&Aコーナー:カウンセリング(保健室の先生向け)

講演の終盤には、事前にいただいた質問に加え、当日その場でも多くの質問をいただきました。
どの質問からも、「児童・生徒をなんとか支えたい」という先生方の真剣な思いが伝わりました。
中には「講演の感想を講師の先生に直接伝えたい」と挙手される先生もおられ、大変ありがたい瞬間でした。
先生方のあたたかいお言葉を受けて福田が「このあと津山ホルモンうどんを食べに行く予定なのですが、皆さんのお言葉のおかげで、さらにおいしく食べられそうです」と話すと、会場には和やかな笑いが広がりました。(ちなみに、津山ホルモンうどんはこの地域の名産物だそうです)

先生方のお声

先生方のお声:カウンセリング(保健室の先生向け)

後日、郵送で届いた講演のご感想には、先生方の思いがびっしりと綴られていました。

「話しを聞きながら、いろんな子どもたちの顔が浮かんできました」
「自分の子育てにも重ねながら考えることができました」
「子どものためにまた頑張ろうと思えました」
「雑談ばかりで他にできることはないものかと思っていましたが、雑談は意味のあることなんだと、背中を押してもらえた気持ちです」

といった感想が多く寄せられ、講演を通してそれぞれの現場での実践につながるヒントを持ち帰っていただけたことを嬉しく思います。

こうした言葉をいただけたことは、講師にとっても大きな励みとなりました。

講師にとっても大きな励み:カウンセリング(保健室の先生向け)

おわりに

今回の研修会を通して、改めて養護教諭の先生方の温かさと真摯さを感じました。
子どもたちに寄り添い、日々奮闘されている先生方に心より敬意を表します。

子どもたちが安心して過ごせる学校づくりの中心にいるのは、まさに先生方です。
今回の講演が、明日からの実践に少しでもお役立ていただければ幸いです。

ご参加くださった皆さま、またこのような機会をご提供くださった主催者の皆さまに心より感謝申し上げます。

美作地区を走る汽車:カウンセリング(保健室の先生向け)

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記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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