“食べさせる”ことにこだわらない
拒食症治療

8月26日(金)に、
親御さん向け拒食症治療説明会を開催しました。

食べさせる努力だけでは、拒食症は治りません

お子さんが拒食症になってしまった場合、親御さんはまずどんな努力をされますか?

とにかく身体に栄養をとってほしくて、
「どう食べさせるか」ということに悩み、
食べさせ方を工夫される親御さんはとても多くいらっしゃいます。
病院でも、食べ方について指導されることも少なくないでしょう。

確かに、体調のためにも食べることはとても大切です。
ですが、拒食症になると痩せることに強く執着するようになり、食べることに拒否感を持つようになります。
そのような状態のお子さんに食事することを勧めても、なかなかうまくいかないでしょう。

食べたくないお子さん食べさせたい親御さん

食べる食べないの攻防を積み重ねるほど、
お子さんは頑なになり、親子の関係までこじれてしまうこともあります。
そうなってしまうと、ますます拒食症の治療は困難になります。
お子さんが食べることを受け入れてくれるようになるには、何が大切なのでしょうか。

勉強会の冒頭では、精神科医師で所長の福田俊一より
拒食症治療をはじめるときに、当センターで大切にしていることについてお話しました。

痩せるほどに元気になっていくお子さん

※本章では、“気持ちがイキイキとして明るい”という意味で「元気」という言葉を使用しています。

健康的な食事ができるということは、その人の活力のバロメーターでもあります。

心身ともに健康であれば、食欲もあり、とても元気
ストレスが溜まったり病気になると、食欲は落ち、元気も無くなる

というのが、一般的ですよね。

ですが、拒食症の人にはそれが当てはまりません。
周りの人が心配するほどガリガリに痩せて、
栄養不足で立ちくらみが起きたり、女性であれば生理が止まってしまったり・・・
明らかに衰弱している様子でも、痩せることへのこだわりをやめませんし、
痩せるほどに気持ちはイキイキと元気になっていく方がたくさんいらっしゃいます。

身体に不調が出ているのに、なぜ本人は明るく元気でいられるのでしょう。

それは、
“痩せることに成功している自分”にやりがいを感じているからです。
拒食症の人は“痩せること”が心の支えになっているのです。
と、所長の福田は語ります。

この心の支えを、“痩せること”から他のものに変えることで
痩せることへの強いこだわりを少しづつ小さくしていく
のが、当センターでの拒食症治療です。

言葉にすると、とても単純で簡単なように聞こえますが、
実は、親御さんの根気と我慢強さがとても重要です。

当センターでは、まず、お子さんの性格について分析し、
お子さんの性格に合った対応方法を親御さんにアドバイス・実践していただきます。
アドバイスの一つ一つはとても単純で、すぐに実行できるものばかりなのですが、
油断せずに継続するということがとても大切なポイントです。

頭では分かっていても、お子さんが少しづつ良い方向に向かい始めると、
「これくらいはいいかな?」と心の油断ができてしまう親御さんは少なくありません。
そうなってしまうと、せっかく治療が軌道に乗っていたとしても、
ガタガタと調子を崩してしまって、元通りになってしまいかねません。

“継続は力なり”という言葉のとおり、
時間をかけて、手間をかけて、油断をしない。
たとえ途中で少し躓いてしまっても、あきらめずに継続することが、拒食症治療でとても大切なのです。

臨床心理士・福田俊介によるケース紹介

《ケース》
「治療しても、何も変わらないからもう行かない!」と病院に行くことを拒否
完璧主義で本音を話さない大学生の女の子

※ケース紹介では、当センターで治療を受けられた方が、どのように回復されていったのか
個人情報に配慮しながら紹介させていただいています。

拒食症治療は、ご本人の治りたい気持ち治りたくない気持ちの闘いです。

こう語るのは、臨床心理士の福田俊介です。

当センターでは、食べさせ方を工夫するのではなく、
ご本人との普段の会話の仕方や対応方法を工夫することで、拒食症の治療を進めていきます。
ただ、拒食症の治療が軌道に乗り、“痩せることへのこだわり”に変化が見え始めても、
体重の増加として目に見え始めるには時間がかかります。

この頃、なかなか増えていかない体重に、気持ちが焦ってしまう親御さんも少なくありません。

体重がなかなか増えない理由の一つは、
ご本人の心の中で治りたい(拒食症を治したい)気持ち治りたくない(太りたくない)気持ちが葛藤しているから。

この気持ちの葛藤を親御さんが理解しているのと、していないのとでは、治療の効果が大きく違います。
自分の気持ちや葛藤を親御さんが理解してくれているというのは、
ご本人の安心感になり、親御さんへの信頼にもつながります。

ぜひ、ご本人の心の声に耳を傾けて、寄り添ってあげてください。

愛情をお子さんへしっかりと伝えるには・・・

勉強会後半のQ&Aコーナーでは、参加された親御さんからたくさんのご質問をいただきました。

とても印象的だったのは、皆さんのお子さんへの愛情の深さです。 お子さんの体調をとても心配されているのはもちろん、 お子さんの回復のために何かできないかと、普段から一生懸命勉強されているとのことでした。

私は、様々なご質問やご相談をお聞きする中で、 この親御さんのお子さんへの愛情が、お子さんにしっかりと伝わりますようにと心から思いました。

花は、水のやりすぎでも枯れてしまいます。 水やりや肥料の与え方次第で、その花がどのように成長するのかが決まります。 お子さんも同じ。 お子さんの将来は、お子さんだけで切り開いていくものではありません。 親御さんの愛情を、どんな形で与えたり伝えたりするかによっても変わるのではないでしょうか。

この度は、当センターの拒食症治療説明会にご参加いただきましたありがとうございました。 参加してくださった親御さんにとって、いいきっかけとなりましたら幸いです。

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2022.10.05  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》原田友美

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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