「ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催しました!
11月19日、淀屋橋心理療法センターでは第2回目となる「ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催いたしました。
ちょうどこの日の夕方からは「ほぼ皆既月食」という大変珍しいお月様を見ることができ、時間が進むごとにどんどん丸い形に変化してゆくのがとても神秘的でした。
月の形自体は変わらないのに、周りに影響を受けて見え方を変えていくところは、人間と似ているものがありますね。
当センターのインスタグラムにも月食の写真を上げています。
目次
1 ひきこもりのお子さんはただの「ひきこもりの子」ではありません
• 子供は多面体
• 「きっかけ」や「原因」ばかりに捕らわれてしまわないように…
2 ひきこもりが治りやすいケース・治りにくいケース
3 カウンセラー福田俊介によるケース紹介
• 「雑談があるひきこもりケース~親の油断が命取り」
• 「雑談のないひきこもりケース~話した言葉は(ピーナッツ)だけ」
4 おわりに
ひきこもりのお子さんはただの「ひきこもりの子」ではありません
①子供は多面体
今、親御さんが見ているお子さんはどのような子でしょうか。
ずっと部屋に閉じこもっていて、あまり口もきかないような状態であったりすると、
「気難しい」「やる気がない」「自信がない」など、その子の心配な部分だけが強く浮かび上がってくるかもしれません。
しかし当センター所長の福田はこう言います。
「子どもは多面体です。親御さんが知っているのは、たった一面だけ」
親御さんの前で見せる姿、学校や職場で見せる姿、友達の前で見せる姿、見知らぬ人に見せる姿…お子さんの姿は場面によって変わります。
「この子は、こんな子」と決めつけてしまうと、親御さんはお子さんを理解しづらくなります。
そして、お子さんへの理解が不十分なままだと、親御さんは「声のかけかた」「接し方」などの対応を誤ってしまい、ひきこもりの解決の妨げになる可能性が大いにあるのです。
②「きっかけ」や「原因」ばかりに捕われてしまわないように…
大学受験に失敗した、職場の人間関係でうまくいかなかった、など、多くのお子さんにはひきこもりになる「きっかけ」「原因」というものがあります。
お子さんや親御さんは、この「きっかけ」「原因」を大きな問題として捉え、それを排除することが重要だと考えていませんか?
「きっかけ」や「原因」を知ることで解決をはかることは大事なことですが、
原因はわかっていても解決できない場合も、この世の中にはたくさんあります。
そんな時は視点を変えてみることで、解決の糸口が見えることもあるのです。
では、何が重要なのでしょうか。
それは「つまずいたときに立ち上がる力があるか、ないか」です。
今ひきこもりになっているお子さんは、この「立ち上がる力」が弱い、もしくは発揮できていない方がほとんどです。
ですから、先ほど述べた「きっかけ」や「原因」をピンポイントで排除したところで、また新たな問題に出くわした時、再びつまずいてしまうのです。
お子さんには確実な「立ち上がる力」をつけ、様々な問題をクリアしていけるよう成長させてゆくことが大事です。
ひきこもりをしている日常のなかで、お子さん本人が勝手に変化していき、成長することは難しいですが、親御さんの援助のもと、親子関係の中で変わっていくことは可能です。
「友達にゲームの攻略法を丁寧に教えていた」「洗濯した衣類を棚に戻してと頼んでもしてくれないが、食べ終わった食器は自分から下げてくれた」など、様々な視点から見たお子さんのエピソードをたくさん集めることにより、その子の持ち味や性格をより深く知ることができます。
理解を深めた上で、家族がどうお子さんに接するかを考えるのです。
親御さんから見たお子さんは、ただの「ひきこもり」で「頑固」で「困った子」ですか?
しかしそれだけではないはずです。
お子さんには親御さんが気づいていない様々な面を持っており、そこにはお子さんを強くするきっかけとなるものがたくさんあるでしょう。
当センターのカウンセリングでは、その可能性を見出し、お子さん一人一人に合った対応方法をじっくり見極めていくことにより、ひきこもりを克服するための良い変化や成長に繋げていくのです。
ひきこもりが治りやすいケース・治りにくいケース
当センターの治療方法では、「ひきこもり」が治りやすいケースと、治りにくいケースがあります。それはどのようなケースのお子さんでしょうか?
と、所長の福田から、参加された親御さんにこんな質問がありました。
答え・・・それは「親御さんと雑談ができる」お子さんです。
その答えに、「うちは雑談があるから、希望を持てるかも」「うちは全然話してくれない…」など、親御さんそれぞれの思いがあったのではないでしょうか。
やはり親子のコミュニケーションが取れる場合のほうが、治療がスムーズな場合が多く、
逆に全く話さない、食事も一緒にとらないというようなお子さんは、変化するのに時間がかかる場合が多いようです。
しかしどちらのケースでも、親御さんの根気強い努力により、ひきこもりを克服し今は元気に社会復帰を遂げた方々はたくさんいらっしゃいます。
今回は、「雑談があるケース」「雑談のないケース」この両極端な二つのケース紹介を、担当カウンセラーの福田俊介からお話させていただきました。
タイプ別ケース紹介〜ひきこもりが治るまでの変化〜
①「雑談があるケース~親の油断が命取り〜」
将来の話はNG。
普通の雑談は多少できる、高校中退のひきこもり男性Kさん。
親御さんは、ボランティア活動や職業訓練をKさんに勧めるも、全く聞く耳を持ちません。
当センターからのアドバイスにより、親御さんはKさんに対する対応を変えました。
以前より口数が増えたKさん。
リビングで過ごす時間も長くなり、喋る声もはっきりするように。
最初の三か月、ぐんぐんと変化してゆく。
しかし
そこからピタッと変化が止まりました。
なぜでしょうか?
それは・・・
親御さんがKさんの変化に安心してしまい、対応が以前のように戻ってしまったのです。
子どもの変化が目に見えても、親の油断は禁物です。
簡単な事ではありませんが、
「子どもが元気になってきても気を抜かない」ことが大切です。
その後Kさんは、自分の意志で職業訓練校に入学。
そこで出会った仲間と、取り戻した青春を楽しんでいるそうです。
さらに、学校から帰宅したKさんが親御さんに手渡したある物とは…
②「雑談のないケース~話した言葉は“ピーナッツ”だけ〜
長年自室にこもり家族とはほとんど喋らない。
大学受験に失敗しひきこもりになったMさん
初めの頃、二週間で発した言葉はたった二つ。
「ピーナッツ」 「ヤクルト」
母「パンに何塗る?いちごジャム?ピーナッツバター?」
母「何か飲む?ヤクルトか、オレンジジュースがあるよ」
親御さんは本やテレビを参考に、Mさんに様々な声掛けや質問を繰り返すが、結果はなし。
当センターのアドバイスにより、対応を変えてみると・・・
リビングでテレビを観て「ははは」と笑う姿を見せる。
小さな変化が少しずつ。
その後、家族を変える大きな転機がありました。
それは、「淡路島にドライブに行きたい」というMさんの一言。
さらにその後、Mさんは自ら家族旅行の計画を立て、徐々に外の世界に出ていきますが・・・
【最近の傾向 高学歴のひきこもりの増加】
〜カウンセラー福田俊介の思い〜
なぜかここ最近、当センターにおいて高学歴なお子さんのひきこもりのご相談がとても増えています。
「超」がつく有名国立大学や、その地域でトップと言われる高校に、あまり勉強せずに受かった人達です。
ひきこもりに加えて、親御さんに対する暴言や暴力の相談もあります。
このようなご相談をお引き受けしていて強く思うのは、「優秀な頭脳を持ったお子さん達が世の中で活躍できていないというのはとても勿体ない」ということです。
我々は、そんなお子さん達が本来持っている力を社会で発揮できる人になれるように、親御さんにアドバイスをさせて頂いております。
おわりに
ここには詳しく書いておりませんが、当センターのアドバイスには、初めは親御さんも「意外…!」と思われるような対応をお願いすることもあります。
それは、お子さんの気質や性格をよく見極めた上でのものです。
「ひきこもり」だから、「こうする」のではありません。
「このお子さん」だから「こうする」という一人一人の個性に合わせたやり方なのです。
淀屋橋心理療法センターの「ひきこもり勉強会」では、親御さんの心配事やご質問にお答えするコーナーにも力を入れております。周りに相談できる人が少なくお困りの方や、ひきこもりの克服について深く考えてみようとお考えの親御さんは、ぜひ一度いらしてみてください。
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