
癇癪(かんしゃく)持ちの子どもを見て、「この子は将来大丈夫だろうか」と不安になる親御さんは少なくありません。なかなか癇癪が治らなかったり、小学生や中学生になっても激しい癇癪が続いていたりすると、「大人になってから苦労するのではないか」と心配になることもあるでしょう。
しかし、癇癪持ちのお子さんの将来が必ずしも大変なものになるわけではありません。本記事では、家族療法の視点から、癇癪持ちの子どもの将来について解説します。
癇癪持ちの子どもは「治らない」のか?
「癇癪は変わらない、治らない」そう思っている親御さんは、多いのではないでしょうか。専門家からも、そのような意見を聞くことがあるかもしれません。
確かに、癇癪を起こしやすい気質はなかなか変わらないと思います。しかし、癇癪をうまく乗りこなせるように成長することは、難しくありません。すなわち、癇癪持ちのお子さんが落ち着く方法はあるのです。
癇癪持ちの子どもの成長を支える関わり方
癇癪持ちのお子さんが落ち着く方法に、残念ながら「これを言えばすぐ解決」といった魔法の言葉がけは存在しません。また、癇癪を無理やり抑え込もうとするのも解決策にはなりません。
むしろ、癇癪を起こすお子さんの心や行動を受け入れ、栄養・水・お日様をたっぷり与えるようにその心を育てることによって、お子さんの良い持ち味をグーーン!と大きく伸ばすことができます。そうすることにより、癇癪を大きく和らげることができるのです。
性格も、癇癪の度合いや理由も、一人ひとり違います。その子に適した接し方を探り出し、コツコツと粘り強く関わっていくことが大切です。親御さんがお子さんにピッタリ合った関わり方を見つけられると、多くの場合、数か月で激しい癇癪は治まっていくでしょう。
癇癪持ちの経験こそが子どもを強くする
癇癪持ちのお子さんの将来を悲観する必要はありません。
かつて、親御さんをノックアウトしてしまうほど激しい癇癪を抱え、生きづらさに苦しんでいたお子さんが、それを乗り越えて、どっしりとした大木のような揺るぎない心を持つようになる——。
臨床の現場では、そんなケースを多く見てきました。そして、そういったお子さんに共通するのは、癇癪を乗り越えた経験そのものが人生にとって大きな財産になるということです。
癇癪を起こしそうになる衝動の波をうまく乗りこなせるように成長できれば、将来の学校生活や社会生活において、大きな力となるはずです。
癇癪を乗り越えた経験が、生きる力になる理由
今日、世の中の変化はめまぐるしく、日々新しい何かに追いかけられていると感じる方も多いでしょう。膨大な情報と複雑な人間関係の中で、大人ですら疲弊してしまう時代です。そんな現代において、子どもの心は常に刺激にさらされています。
そんな時代だからこそ、癇癪という激しい感情の波と向き合い、それを乗り越えてきたお子さんは強いのです。困難に直面しても、簡単には折れない心が育っているからです。
癇癪持ちのお子さんが、その経験を乗り越えて成長できるということは、むしろ大きなチャンスと言えます。そのチャンスを活かすためにも、癇癪持ちの経験を通してお子さんが成長していける環境を整えることが、何より大切なのです。
※知的能力障害につきましてはケースバイケースですので、ご相談ください。
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
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