
【カウンセリング開始時10歳(小学4年生)】
幼稚園生の頃に突然始まった、春斗くんの極端に長い手洗いやお風呂。
自分の決めた通りに進まないと癇癪を起こし、
ときにはお母さんに手が出てしまうこともありました。
症状は、落ち着いたりぶり返したりを繰り返しながら、次第にエスカレート。
トイレの後に足を拭かないと気が済まない。
蛇口の開け閉めや着替えを母親に任せる。
春斗くんの日常生活へのこだわりは増え続け、
やがて学校も、週に2〜3回は遅刻や欠席が続くようになっていました。
「もう、どうしたらいいかわからないんです」と
お母さんが淀屋橋心理療法センターにご相談に来られたのは、春斗くんが小学4年生の頃。
そこから、お母さんとカウンセラーが一緒に歩むリモートカウンセリングが始まりました。
あの日、出口の見えないトンネルの中にいた親子は、
どのように変化していったのでしょうか。
カウンセリング終結から約1年。
その過程と現在の様子について、お母さんにお話を伺いました。
※このケースは、お子さん本人ではなく、
お母さんへのカウンセリングを通して改善したケースです。
本記事は、カウンセリング終結から1年後に行ったお母さんへのインタビューに基づいて
構成しています。
淀屋橋心理療法センターのカウンセラー
主に不登校や過食症のカウンセリングで、高い治療実績を上げております。
当センターのスタッフとして電話対応や、親御さん向け治療説明会や治療成功事例などの記事を執筆しております。
目次

—— 本日はよろしくお願いいたします。カウンセリングを終えられて約1年が経ちましたが、今の春斗くんの様子はいかがですか?
元気に過ごしています。
以前はよく遅刻していたんですけど、登校班にも間に合うようになって、学校にも通っています。癇癪もほとんどなくなりましたね。
—— カウンセリング当初の様子を思い出すと、春斗くんの成長が感じられますね。
はい。私に対する言葉や態度も変わって、前よりも周りを見て動いてくれるようになったり、自分から手伝ってくれたりするようにもなって。
「ありがとう」「ごめんね」も自然に出てくるようになりました。
いろんなところに成長を感じられて、嬉しく思っています。

—— 最初に春斗くんの様子を「おかしいな」と思われた当時のことをお聞かせください。
春斗が幼稚園生のときですね。
コロナ禍で休園していた幼稚園が再開してすぐ、春斗が突然、家で歌の練習を始めました。
「僕は音痴だから」って言って、何回も何回も繰り返し練習するんです。でも、思うようにできなくて、同じところで止まってしまって、すごくイライラして…。
それが、ちょっと異常なくらいの繰り返しで、「あれ?」と思ったのが最初でした。
—— 手洗いやお風呂のこだわりも、そこから広がっていったのでしょうか?
歌の練習がきっかけというよりは、もう全てが同時に始まった、という感じでした。
歌の練習を繰り返したあと、今度は手を洗うのを止められなくなってしまって…。止められなくて、涙が出るくらいになってしまったんです。
お風呂の中でも、1から数を数えて、それがきっちり合わないと上がれない、そんな状態でした。顔も真っ赤になっていたので、最後は無理やり引き上げたんですけど……。
本当に、1日の中で急に始まった、という感じでしたね。
—— 実際にそういったことが始まって、すぐにどこかへご相談に行かれたんですか?
そうですね。たしか、翌日かその次の日くらいには動いていました。
最初に思い浮かんだのが病院で、あと保健センターでも相談できると聞いていたので、とりあえずその2つに。
もう、どうしていいのか全くわからなくて……。
—— お母さん、判断と行動がとても早いですね。
もう、本当に怖くなってしまって……。
春斗の行動を目の当たりにしたとき、ふと自分の子育てを振り返ったんです。
「私、すごい育て方をしてしまったんじゃないか」とか、「何を間違えたんだろう」とか。これまでの子育てをどんどんどんどん思い返して、すごく怖くなりました。
何かに頼らないと、もう自分がおかしくなってしまいそうで…。
それで病院で診てもらったんですが、特に異常はなくて、「感受性が強いんでしょうね」と言われたのを覚えています。
—— そのときは、何かアドバイスのようなものをいただいて、少し落ち着いたのでしょうか?
はい。大人がはしゃいで楽しい雰囲気をつくる、「大丈夫、大丈夫」と声をかけて子どもの不安を和らげてあげる、というお話でした。
実践したら、症状はだいぶ減って、そのままいったん落ち着いていったんですけど…。
やっぱり小学校に上がるときとか、進級するときとか、そういう環境が変わる時期になると、また症状が出てくる感じはありました。
その都度、「これくらいはあることなんだ」「大丈夫、大丈夫」と思いながら過ごしてきました。

—— 当センターにご相談いただいたのは、春斗くんが小学4年生の頃でしたが、その頃は深刻度が増していたのでしょうか。
はい。手洗いやお風呂の時間が、それまでの倍以上に長くなっていました。
トイレの後には、必ず濡れタオルで足を拭かないと嫌がって、「ママ、濡れタオル準備して」と毎日言うようになって…。
あと学校も、休んだり遅刻する日が増えていきました。
それまでは「大丈夫」と思っていたんですけど、「さすがにこれは…」と思い始めて、だんだん不安が強くなって…。
—— 不安になりますよね。どこからが大丈夫で、どこからがそうでないのか、その境界もわかりにくいですよね。
そうなんです。少し長いくらいなら、「こういうこともあるよな」と思っていたんですけど、それがずっと続くと、正直、水道代も気になってきたりして……。
いろんな角度から声をかけてみたりはしたんですけど、やっぱりそれだけで変わるものではなかったですね。
—— 当センターはご自身で調べて見つけられたのでしょうか?
はい。最初は近くの精神科クリニックを調べたんですけど、どこも予約がいっぱいで、すぐには受け入れてもらえる状況ではなく。
どうしよう…と思ってネットで探していたときに、淀屋橋心理療法センターさんの事例記事を見つけたんです。
—— 事例記事を読んでくださったんですね!
はい。手洗いがとても長い社会人の方の事例でした。
それを読んだときに、「あ、うちよりも長い!」と思ったんですよね。
お母さんやご家族全体で関わって改善していったという内容を見て、お願いしてみようと思いました。
もう、すがるような思いでしたね。
何でもいいから、ちょっとでも何か変わればいいなっていう気持ちで…。
とにかく不安で、自分一人では解決できないと感じていました。

—— 実際にカウンセリングが始まって、当センターの方針についてはどのように受け止められましたか?
納得しました。もともと何もわからない状態でしたし、「とにかくやってみよう」という気持ちでした。違和感や疑問を感じることは、特にありませんでしたね。
—— 手洗いや癇癪などの行動自体がすぐに落ち着くわけではなかったと思います。その中でも、お母さんは本当に根気強く取り組んでくださった印象があります。
本当に、福田先生の「必ず変わりますから」「必ず(調子の)波はあります」という言葉に支えられていました。
急に人が変わるわけではなくて、いろんなことを繰り返しながら進んでいくものなんだな、と。先生が「波はあっても、絶対上に上がっていく」と言ってくださったことが、ずっと頭の中にありました。
もう、信じてやるしかない、という気持ちでした。
—— お母さんは、春斗くんへの対応の仕方がとてもお上手だったとカウンセラーから伺っています。そのあたりはかなり意識されていたんですか?
油断すると、つい対等にやり合ってしまったり、無意識のうちにこちらが話し続けることがあって。
なので、「子どもの言い分にも耳を傾けてあげて」という先生の言葉は、ずっと忘れないようにしていました。
「あ、今やってしまったな」と思ったときは、一度引いて、しっかり耳を傾け、うなづくようにしていました。そうやって修正を繰り返しながら関わっていった、という感じですね。

—— 本当にいろいろなご苦労があったと思うのですが、具体的に「ここがしんどかった」というエピソードはありますか?
やっぱり、朝の登校前の時間です。
トイレに行って、手を洗って、着替えて出かける。このルーティンが、一番荒れていましたね。
手洗いもすごく長くって…ずっと、本当にずっと洗っていて…。
でも、私は、とにかくそれが終わるのを待つしかなくて。
それに、「ママ、濡れタオル出して」と言って足を拭いたりとか、理由は分からないんですけど、叩いてきたりすることもあって…もう色々と荒れていました。
あの時間は、本当に辛かったなって…。
—— 少し、荒れるというか、気持ちが高ぶって、お母さんに当たるような様子もあったんですね。
たぶん春斗が疲れているときに出やすかったんだと思います。
ちょっとした声かけに対して言い返したり、怒ったりすることもありましたし…。
今となってはぼんやりした記憶なんですけど、私自身も涙が出てしまったこともあって…。
途中で辛くなって、「一旦距離を置いた方がいいな」と思ったこともありました。
そのときは主人に学校の送迎をお願いしたりして、なんとか乗り切っていましたね。

—— そういう状況だと、お母さんご自身も疲弊していきますよね。息抜きやリフレッシュの方法はあったんですか?
特別意識していたわけではないんですけど、ひとりの時間にコーヒーと甘いものを楽しむのが好きで。
「今日はちょっと高いお菓子を食べよう」と思って、高級なケーキやチョコレートを買ってきて食べることはありました。
—— 素敵なひとときですね!お母さんご自身の精神状態を保つことは、カウンセリングを成功させるうえでも大事なことですね。
はい。それでいうと、カウンセリングで先生に話を聞いてもらって、何か言葉を返してもらえること自体が、すごく心の支えになっていました。
気持ちが落ちそうなときでも「先生に話すためにメモしておくぞ」と思えましたし、そうやって、なんとか持ち堪えられていた気がします。
—— 一人で抱えていると、「これで合っているのかな」とか、「本当に大丈夫なのかな」と不安になりますよね。
そうですね。誰かと話せる場があることで、一人だったらどんどん沈んでいってしまいそうなところを、そうならずに済んだと感じています。

—— カウンセリングを経て、お母さんご自身に何か考えの変化はありましたか。
もちろん、このままがいいとは思っていなかったですけど、「早く治さなきゃ」と焦るのはよくないな、というのは強く感じるようになりましたね。
—— 「治さなきゃ」と思うと、こちらもしんどくなってきますよね。焦りも出てくるかと思いますし。
そういう意味では、考え方を変えられたのは大きかったと思います。
先生から「ゆっくり、ゆっくり待ってあげてください」と言っていただいて、手洗いをしている間は、その子の意思や感覚を尊重して、とにかく止めずに待つことが大事だと教えていただきました。
それ以来「絶対に待つ」「途中で止めるようなことだけはしない」と、自分の中で強く意識するようになりました。
そのあたりは、先生に教えていただいたことが、今でもずっと頭に残っていますし、これからも大事にしていきたいなと思っています。
—— 今でも意識されているんですね。
意識している部分もありますし、もう無意識に気をつけている部分もあると思います。
最近だと、春斗がヨーヨーにハマってて、「見て見て」と言われたときには手を止めて、ちゃんと見てるようにしています。それで、「おー」とか「すごいね」とか言って、ひたすら見て聞いてを意識的にするようになりましたね。
—— そういった関わり方の変化は、ご自身でも感じられますか?
はい。振り返ってみると、前は何かしながら話を聞いていたことも多かったなと思います。目を見て話聞いてなかったなぁって。
この一年で、「ちゃんと目を見て話を聞く」ことの大切さに気づきました。
同じように聞いているつもりでも、目を見ているかどうかで伝わり方が全然違うんですよね。ちゃんと見ていないと、「聞いてもらえている」という実感が相手に伝わらなかったんだなと、すごく思いました。

—— そういった対応を続ける中で、春斗くんの変化や成長をはっきりと実感されたのは、どのあたりのタイミングでしたか?
なんとなく変わってきているな、という感覚は少しずつあったんですけど、「あ、変わった」とはっきり思えたのは、9月、夏休み明けの頃ですね。
—— 夏休み明けですか。学校が始まるタイミングって、親御さんは少し身構えるかと思いますが。
そうなんです。私も「また始まる」と思うと、どうしても不安になって、ビクビクしてました(笑)。
でもそんな中で、登校班に間に合うように行けるようになったんです!
—— それは大きな変化ですね。
はい。先生にアドバイスをいただいて、実践を続けてからちょうど6カ月後でした。
9月の新学期が始まったときに、「え?」と思って。
それまでは、遅刻しながら一緒に歩いて行ったり、たまに車で送ったりして、ギリギリ1時間目に間に合うか、そんな感じの繰り返しだったんですけど。
急に!急に変わって。
初日は少し遅れたかもしれないんですけど、2日目くらいから、登校班に間に合わせようとして準備している様子が見えて、本当に驚きました。
—— 春斗くん自身から、そういう意欲的な変化が見えたんですね。それはお母さんもびっくりですね。
間に合わせるつもりで準備している、その意欲が伝わってきて、本当にびっくりでした。
ただ、それでも「絶対絶対黙っておこう」と。「急かすようなことはしないぞ」と思って。
明らかにこのペースの準備だと間に合わないなと思っても、何も言わないようにしていました。
もう私も自分の準備をしたり、あえて別の部屋にいたりして、なるべく見ないようにしていましたね。
—— お母さん、そういうところも工夫されてたんですね。見えてしまうと、どうしても声をかけたくなりますよね。
言いたくなる気持ちはあったんですけど、とにかくそこは一番徹底して抑えていました。
急かさないというより、もう本当に言葉をかけないくらいの意識でした。
—— そうした関わりを続ける中で、春斗くん自身が自然と動き始めたんですね。
はい。結果的に、春斗自身が「遅れて一人で行くのは嫌だから」とか言って、間に合わせようとし始めましたね。
でも、ここで私も一緒になって慌ててしまうと良くないと思ったので、とにかく本人に任せるようにしていました。

—— 手洗いは、今はどうですか?
手洗いは徐々に減っていって、夏休み中にはだいぶ落ち着いていましたね。
今は、もう全然なくて。むしろ逆で!家に帰ってきて「石けんつけなくて(水だけで)もいい?」って毎回聞いてくるくらいです。
—— そっちに変わったんですね(笑)。
そうなんです。前は「ママ、石けん出して」って言ってたのが!
手洗いを止めずにもう放っておいたら、逆に今度はあんまり洗わなくなっていって(笑)。
むしろ洗わなさすぎて、百日咳、マイコプラズマ、インフルエンザと、親子揃ってことごとく罹ってしまいました(笑)。
でも、それもある意味、手洗いへのこだわりがなくなった証拠なのかなと思っています。
親子で「まぁいいか!」って。
—— 「まぁいいか!」ができるようになったんですね!お風呂やトイレへのこだわりはどうでしょう?
まずお風呂は、以前より明らかに時間が短くなりました。
私自身もあまり意識することがなくて、気にならないってことは、もう普通なんだろうなって気がしています。
トイレは、たまに「ママ、タオル濡らしておいて」って言うことが、1月から3月くらいの間に数回ありました。ただ、用意しておくと自分で拭いて終わるので、やっぱりその時期は少し敏感になるのかな、という感じですね。
—— 癇癪を起こすことも減りましたか?
はい。ワーっとなるのも、以前と比べると十分の一くらいに減ったかなと思います。
「あ、今怒るかな」っていう瞬間があっても、最近は「あ、ここで怒らないんだな」って感じることが増えました。
こらえているのか、うまく気持ちを流しているのかは分からないんですけど、そうやって感情を爆発させずにやり過ごせている様子を見て、「変わったな」と感じますね。
前は、「ママ来て」って呼ばれて巻き込まれて…で解決できなくて、春斗はイライラ、最後は私も泣きたくなる…みたいな、そんなループになっていたんですけど。
今は、春斗が多少何か言っていても、少し離れて見てると、自分の中で解決してたりするので。
こちらが巻き込まれることは、ほとんどなくなりましたね。本当に成長したなと感じます。

—— 目に見える行動の変化はもちろんですが、春斗くんの内面の成長についてはいかがですか?
主人に「この1年で大きく変わったって感じるとこある?」と聞いたことがあるんですが、「すごく自信がついたよね」と言っていました。
—— 1年前、ご相談当初は、自信の面ではどのような印象でしたか?
当時は自信がなかったんだと思います。
学校に行きたくなくなったきっかけも、吹奏楽でリーダー的な立場になりそうになったことだったのかなと。
本人からはっきり理由を聞いたわけではないんですが、自分たちが中心になるタイミングで行けなくなったので……そういう自信のなさが影響していたんじゃないかなと思います。
—— 春斗くんはもう6年生ですね。最高学年となると、学校生活でもリーダーを任されるような機会が増えるかと思います。そういった立場に対して、今の春斗くんはどんな風に感じているんでしょうか?
リーダーになること自体に、以前ほど抵抗はなくなってきていて、積極性が出てきたなって思う出来事があったんです!
学校の委員会で役職を決めるとき、委員長は別の子に決まって、副委員長は誰も立候補しなかったそうなんですね。
そのときに「もしみんなが嫌じゃなければ僕やるよ」って言って、自分から副委員長を引き受けたと話してくれて。
「すごいな」って言ったら、春斗も「そうなんよね」って(笑)。
—— それは春斗くんの優しさと成長を感じられるエピソードですね。
春斗自身、ちょっと勇気を出したことだったのかなと思いますね。
そういうことを自然に話してくれるのを聞くと、「ああ、変わってきているんだな」と感じますし、本当によかったなと思いますね。

—— 最後になりますが、同じように悩んでいる親御さんに向けて、何かメッセージはありますか?
とにかく、自分自身がゆっくりすること、焦らないことが大事かなと思います。
どうしても、子どもが慌てていると、こちらも「何とかしなきゃ」とか思って、つい振り回されちゃう、気持ちが引っ張られてしまうんですよね。
けど、そんなときこそ「大丈夫、大丈夫」って自分に言い聞かせる感じで。
慌てずにじっくり待っていたら、必ず変化は訪れるんじゃないかなって。それは、実際に経験して思いました。
—— 貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。お母さんが日々積み重ねてこられた関わりが、春斗くんの成長につながっているのだと感じました。
先生に教えていただいたことを続けていれば、きっと変化は出てくるんだと思います。
ほんとシンプルでわかりやすいアドバイスが、今でもずっと頭に残っています。これからも忘れずに続けていこうって思っています。

普段はスタッフとして電話や受付対応をしていますが、親御さんとじっくりお話しする機会は多くありません。
そのため、今回こうして直接お話を伺えたことを、とても嬉しく、ありがたく感じています。
インタビュー当日は、終始とても和やかな雰囲気で、お母さんが明るく自然体でお話ししてくださったのが印象的でした。
もともとは1時間ほどを予定していたのですが、気づけばあっという間に時間が過ぎてしまうほど、たくさんの振り返りと思いを語ってくださいました。
お子さんの強迫性行動が徐々に強まり、さらに癇癪、そして不登校も…と心配な要素が増えていく中で、親御さんが抱える不安は計り知れないものだと思います。
そうした状況に対して、すぐに解決できる方法があるわけではありません。
当センターでは、お子さん一人ひとりに合わせた関わり方を親御さんにお伝えし、それを日々の中で実践していただくことで、少しずつ変化を積み重ねていきます。
しかし、その道のりは決して簡単なものではありません。
目に見える大きな問題行動がすぐに変わるわけではなく、小さな変化を重ねながら、時間をかけて少しずつ改善していきます。
春斗くんのお母さんは、その過程の中で、焦らず、丁寧に向き合い続けてこられました。
インタビューでは話しきれなかった工夫や葛藤も、きっとたくさんあったのだと思います。
それでも「きっと変わる」と信じ、「待つこと」を続けてこられたからこそ、親子で「まぁいいか」と思える今に辿り着けたのではないでしょうか。
このインタビューが、同じように悩まれている方にとって、少しでも安心や希望につながれば嬉しく思います。
最後に、貴重なご経験とお気持ちをお話しくださったお母さんに、心より感謝申し上げます。

▽ 春斗くんのお母さんが、当センター来所前に読まれた事例記事
【強迫性障害】手洗いが止められない|1時間以上洗い続けた女性が回復するまで

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
日本の実践的家族療法の草分け的存在。
初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
著書多数。