
過食症になってしまった娘(紗月さん)とお母さんが二人三脚(カウンセラー含め三人四脚!?)で乗り越えたカウンセリング治療体験手記 第2章。
「またみんなで食事ができるようになりたい!」という願いを胸に、紗月さんの過食症治療に臨まれたお母さん。カウンセリングでのアドバイスを実践しようと頑張るのですが…。
【登場人物】
紗月さん
過食症に悩む20代の女性
会社員をしながら小説を書いている
お母さん
紗月さんの母親
紗月さんの過食症をなんとか治したくて、
淀屋橋心理療法センターへ相談する
俊介先生
淀屋橋心理療法センターのカウンセラー(臨床心理士)
Vol.1「またみんなで食事ができるようになりたい!」は、以下からお読みください。
カウンセリングに通い始める
ということで、大阪通いが始まりました。
大阪までは電車で片道2時間かかりましたが、
この道中の時間が私にとってとても大切な時間でした。
行きは好きな本や漫画を読んで過ごしました。
帰りは先生が仰ったことをブツブツ繰り返したり、ぼーっと車窓を眺めたり、帰ったら何と言おうか、と対策を練ったり。
初回のカウンセリングでは、何ページかのアンケートに答えて、紗月の性格の特徴を診断してもらい、診断結果を先生が説明してくれました。
「紗月さんはこだわりが強い職人気質ですね。
こういう人は、お母さんの対応を変えてあげるとグッと良くなっていきますよ」
「過食症の治療は過食を止めることだけでなく、
ご本人が人生の中で一番大事だと思っている『痩せる』ということを2番3番にすることです」
なんだか風吹けば桶屋が儲かるみたいな話やなぁ、とちょっと不思議な感じでした。
「まず、第一段階として親子の雑談をしやすいように導いてあげることが大事なんです」と先生が仰いました。
帰りがけに先生が、
「このカウンセリングが進んで上手くいったら、きっと紗月さんが悩んでいる、仕事のこととか友達のこととかも、自分で解釈して解決して歩いて行くことができるようになりますよ」とおっしゃいました。
それは遠い遠い未来の夢のまた夢みたいな話だったけど、本当にそうなったらいいな、と思って帰りました。
私の「今、紗月にどうなって欲しいか」の夢は、家族と一緒にご飯が食べられるようになってほしいということでした。
ワイワイしながら食事をすることがなくなって、もう2~3年が経っていました。
「その夢はきっと叶いますよ」と先生。
その言葉に「ヨシやってみよう!」と気合いの入る私。
過食症治療開始!けれど、なかなかうまくいかない娘への対応
紗月と雑談する気満々で家路についたのですが、いざアドバイス通りにやってみようとするとこれがなかなかうまくいきません。
まず、紗月への話しの振り方が分からない。気がつけば母一人で喋っている。
雑談はさらに難しい、どうしていいかわからん….。
過食も止まりません。
挙句、
「ここにおったら過食止まらん!もう家出て一人暮らしする!」
「環境が悪すぎる!一人暮らしする!」と言い出す。
止めても聞かず「家出る!」の一点張り。
夫に相談しても、1人暮らしは、「あかんあかん」と言うだけ。
先生に相談しようと電話したら土日で繋がらず、私はパニック。
その日は関東に住んでいる長男に相談し、ワンルームマンションの外見だけ見せて、紗月の気分を落ち着かせることにしました。
不動産屋に行かなければ部屋が借りれないことが分かると、紗月の気持ちは少しおさまりました。
家を出るのは無理だ、と理解したようでした。
家に帰ってから紗月と話し合ったところ、
一番困ってるのは、母の帰りが遅いため夕食ができるまで我慢できず、何かをつまむと止まらなくなるということと、
休みの日も、家で紗月一人になる日は、食べてダラダラ過ごしてしまう。結果、全部食べてしまって後悔するということ。
「それならその時間におかんが居ればええやろ。
勤務時間を早上がりに変えてもらって、紗月が休みの日は休日にしてもらう。
常勤は辞めてパートにしてもらうわ」と私は決心。
こうして紗月との新しい生活が始まりました。
過食症治療がなかなかうまくいかない中で気づいた「段取り」という考え方
私は夕方4時で仕事を終え、
寄り道せずに家に紗月が帰ってくる5時15分までに着いて、夕食を作り、
夕方5時半から6時には夕食が食べられるようにする。
食べ終えたらふたりで食べ物のない世界へ。ジムへ運動に行く。
9時半頃帰って風呂に入って寝る。
かなりタイトな計画でしたが、やるしかないので何とか頑張ってやりました。
そこは何とか頑張ったのですが、会話は相変わらず。
「食べた」「カロリー高いのどうの」という話が中心。
雑談はなかなかうまくいきません。
そして、こんなに頑張ってるのに隙を見ては私に隠れて食べ、せっかく頑張って作った夕食も「食べたからいらん」と言われる始末。
「おかん、今日作るの遅かったから、作ってる間に食べるもん食べた」
「6時には食べられるようにすぐに出してって言うてるのに、6時半になってる」
「ばあちゃんやおとんの分まで作るから遅なる。
手の込んだものを作ろうとするから遅なる。
私は時間に食べたいねん。
計画通りジムへ行きたいねん。余計なことせんといて!」
もう情けなくなりました。
なんでやねん、報われへん…。
面談の日、先生にボヤきました。
私:もう紗月がワガママすぎて…。
俊介先生:紗月さんは職人気質、段取りをとても大切にします。
予定を変えること、変えさせられることはとても苦手です、約束を破るととても怒ります。
できない約束は初めからしない方がいいですよ。
そうか段取りなのか!と思いました。
そう思って、先生と一緒に紗月の言動を思い返してみると、
「夕食は6時から6時半に食べるようにしてほしい、中身は何でもいい、魚焼いて味噌汁だけでもいい」と言っています。
「せっかくおばあちゃんも、お父さんも食べるんやから、みんなでちゃんと一緒に食べられるように作らなきゃ」という私の段取りを優先させてしまっていたから、紗月と揉めただけなのでした。
先生の言われる段取りという目線で思い返してみると、紗月はワガママというよりは段取り良く事を運びたい人なのでした。
この視点の変え方を教えてもらったことは、本当に役に立ちました。
段取りなら腹は立ちません。工夫すれば良い。
カウンセリングを通して気づいた、雑談の難しさ
そして、またまた母ぼやく…。
私:雑談って難しいです。
ほんまに雑談もできひん親子だったんですね。なんか情けなくなりました。
俊介先生:紗月さんの好きなRADWIMPS(ラッドウィンプス)の話なんかどうですか?
そのグループは私も知ってますよ。
私:やってみます。
家に帰って、早速話してみると、紗月が乗ってきました。
「9月にライブある、チケット当たったら一緒に連れてってやるわ」と紗月。
RADWIMPSの歌を聴いていると、気に入った曲があったので「これいいわ」と、私が何回も聴いていると、
「そやろ?おかんもなかなか目の付け所がいいな」と紗月は上機嫌。
だんだん色んな会話ができるようになってきました。
特に自宅近くの公園にウォーキングに行くのですが、1時間半、本当にいろんな話しをしてくれました。
職場での話しをジェスチャーを混ぜてイキイキと話してくれます。
「もう一人暮らししたいとは思わんわ。この生活がええ」
過食症が治ってきている!?という時こそ気を抜かない!
5月の終わりに映画を観に行く。私と紗月の初デート。
お手伝いも良くしてくれるようになりました。
会話は、紗月が話すボリュームが増えました。
「もう体型のこと、あんまり気にならんようになった。1位ではないなあ」
「やったぁ!」と思いました、6月のことです。
たった2ヶ月でも治りかけてる。すごいすごい!母さん、調子に乗ってしまいました。
先生からのアドバイス、
「こういう時は安心してしまって、お母さんが喋りすぎてしまうから、気をつけてくださいね」
6月21日、ジムの帰り、先生の予言的中、あ~あ…。
【予告】摂食障害カウンセリング治療体験談 繰り返す過食が止まるまで| vol.3 大荒れ、嵐の始まりと収束
カウンセリングに通いはじめて、カウンセラーのアドバイスにより、お母さんが紗月さんの段取り(ペース)を理解し、合わせることで好転した母娘関係と思いきや!?
摂食障害カウンセリング治療体験談 vol.3 大荒れ、嵐の始まりと収束は、こちらから↓ (2025.10.17掲載予定です)
