過食症•うつ病 母親の支援により症状が回復

<拒食から過食に。家では無愛想。外ではニコニコ>

ヒロミさんは22才のカフェ店員。

高校生の時に拒食症となり155cm 体重が35kgまで落ちました。その後、過食症になり、相談に来られた時の体重は55kgです。仕事があった日に過食をする傾向にありますが、「仕事ではあまりストレスを感じない」と言います。1度の過食費用は2000円程度。親御さんは仕事を辞めるように言いますが、ご本人は辞める気はありません。当センターに来所される以前から抗うつ薬を服用しています。仕事中に、しんどくなって早退させてもらうことも少なくありません。「娘は良い格好しいなんです」とお母さん。家ではブスッとしているのですが、外ではニコニコしていることが多いそうです。

<母親との関係>

「拒食症だった時に、お母さんが嫌そうな目で私を見て、ご飯を勝手に大盛りにした時があったんです」とヒロミさん。それ以来、お母さんとの仲はギクシャクしていました。しかし、最近になって信頼している知人から「親とは仲良くした方が良いよ」と言われたことが響き、以前よりお母さんとの会話が少し増えてきていました。

<過食がなくなった>

当センターに親子で通いだされてから、ヒロミさんの方からドライブに誘ったり、お母さんに心を開くようになってきました。また、職場でのストレスへの対処が上手になり、落ち込むことが減っていきました。その結果、過食の頻度と量が徐々に減少し、最後は過食がなくなったのです。

<良いタイミングでチャンスを掴んだ>

治療の成果を出す上で、タイミングというのがとても大事ですが、親子で良い時期に相談に来られ、チャンスを掴まれました。さて、ヒロミさんがどのように変わっていかれたのか。より具体的に見ていきたいと思います。

<変化① お母さんに甘えてくるようになった>

お母さんには過食症のヒロミさんと接する上でのコツをお伝えしました。以前は、職場のカフェから帰宅すると「ただいま」も言わず、自室で過ごすことが多かったヒロミさん。お母さんが接し方を変えると、徐々にリビングにやってくる時間が増えてきました。その後、親御さんの近くでゴロゴロするようにもなりました。

さらに数週間が経過。ヒロミさんがお母さんの肩に頭を置いたり、甘えてくる時も出て来るようになりました。以前の親御さんを避けている様子とは随分と変わってきました。

<変化② お母さんによく話すようになった>

「ただいまと家族の顔を見て言ってくれるようになりました」
「ドライブに誘ってくれました」とお母さんが報告して下さいました。
ドライブの時に会話が盛り上がりました。ヒロミさんがお母さんによく喋ったのは数年ぶりのことです。

「(職場の)吉田さんってメッチャ面白い人で、仕事の帰り道で〜〜〜〜〜〜〜〜」、「こないだ高校の同級生のカナと久しぶりに会ったら、カナの雰囲気がメッチャ変わっていて〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

ヒロミさんの口数がとても増えたので、「話を聞いていると、その場面が想像できるようになってきました。」とお母さんが驚いた表情をされました。

<変化③ 怒りの感情を出せるようになってきた>

ヒロミさんがお母さんとお出かけすることも増えてきました。ある日、ショッピングモールに向かう途中、電車のホームで中年の男性とぶつかったヒロミさん。その男性に聞こえない距離になると、「めっちゃムカつく!なんなん!」

これまで家の外では怒りを出さなかったヒロミさん。「おやっ、今までとは違う」とお母さんは思われたそうです。

<変化④ お客さんからのクレームに落ち込まない>

職場のカフェから帰って来て落ち込んでいる。こんな時は職場で何かがあった時です。しかし、この頃から落ち込むということが大幅に減ってきました。むしろ怒っているのです。「お母さん、ちょっと聞いて。今日は日曜でお店が混んでるのに、メッチャせっかちな客が来て、早く持ってこい、早く持ってこいってホンマにうざかってん!」

散々、文句を言った後で、「あースッキリした」

嫌なことがあった時に、1人で抱えて落ち込むのではなく、人に話してスッキリするという形に変わってきました。

<変化⑤ 無理して人に合わせなくなってきた >

以前は、仕事の休憩時間が辛かったヒロミさん。他の従業員の会話の輪の中に頑張って入ろうとしていたので、休憩中も緊張していたのです。しかし、この頃になると、だいぶ無理をするのが減ってきました。「最近は会話の輪の中に入らなくてもいいや。私は自分で楽しんでおこうって」とヒロミさん。

また、「最近はアクティブに生きたいと思ってるんです。趣味をメッチャ探してます!」目に力が出てきました。

<変化⑥ ますます良い感じ>

ヒロミさんは職場の40代の女性店員が苦手です。悪い人ではないのですが、話が長く、冗談が多いのです。またその冗談が面白くないのがヒロミさんを苦しめました。しかし、「相手を不快にさせてはいけない」と、ヒロミさんは相づちを打ったり、笑ったり、相手が期待するリアクションを懸命に続けていました。しかし、この頃になると、「本当に面白い時だけ笑ってます。相手をするのが面倒な時は忙しそうなフリをしてるんで」ニヤリと笑いました。

また、テニスサークルに入ったことも伝えてくれました。ヒロミさんの顔は少し細くなり、お化粧もバッチリ。服装もお洒落です。綺麗になってこられました。

<カウンセリング治療終了>

ヒロミさん:先生、また過食しちゃいました〜

カウンセラー:3食以外で何を食べたんですか?

ヒロミさん:土曜日は夕飯の後にエクレアとミルク。日曜日は夕飯の後に、おにぎりとみそ汁です

カウンセラー:それで体重は増えましたか?

ヒロミ:増えてないです

カウンセラー:なるほど。過食した物は美味しいと感じることなく、無理矢理口の中に押し込んだんでしょうか?

ヒロミ:いや… 美味しかったです

隣りで聞いておられたお母さんが私の方を見て仰いました。「先生、それって過食なんですか?私が見ている限り、普通の“おやつ”という感じですが」
「たしかに、おやつという感じですね」と答えると、
ヒロミさんがハッとした表情をされました。
「それで過食なら、深夜のラーメン屋が好きな私はどうなるんだ」
とカウンセラーが続けると、ヒロミさん、お母さん、カウンセラーの3人で笑いました。これが最後の面接になりました。

この半年後、ヒロミさんからメールで連絡がきました。
過食はその後もなく、抗うつ薬も必要なくなったそうです。

*この記事は、当センターにご相談に来られた複数のケースを基に書いており、個人が特定されないようにしております。

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