神経症とは?

神経症とは?

神経症とは

神経症とは、人間関係や環境などからくるストレスが原因で【一定期間以上の間、生活に支障が出てしまう】精神疾患のことを指します。ストレスに弱い人でも強い人でも、誰にでも起こり得るもので、心身ともに様々な症状が現れるため、日常生活や社会生活に大きな損失を生んでしまいます。

「心配症なだけではないか?」「考えすぎているだけかもしれない」と思っている裏側には、実は神経症が隠れているかもしれません。

「神経症」とはどんな病気?

「神経症」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、「ノイローゼ」と言われると分かる人も多いのではないでしょうか?

神経症はドイツ語で「ノイローゼ(Neurose)」と言い、人間関係・仕事・環境などからくるストレスが原因で心身のバランスが崩れ、「不安」に囚われてしまう症状が現れます。また、日常生活や社会生活にも支障が生じ、一定期間以上症状が続いてしまうのも特徴です。現在、国際的基準であるICD-10では『神経症性障害』として分類されています。神経症には、以下のようないくつかの種類があります。

1.不安神経症

はっきりとした対象はありませんが、漠然と次のような症状を常に感じている状態です。

・落ち着きがなくなる
・神経が敏感になったように感じる
・イライラすることが増える
・緊張が続いている
・動悸がする
・眠れなくなる
・頭痛、めまい、ふらつき、吐き気が生じる など

2.社交不安障害

他人からの批判や注目、人前で恥ずかしい思いをすることを「極度に恐れている」状態を言います。そのため、社会的状況を全て避けてしまう場合もあるでしょう。

・人前で発言したり、字を書いたりするときに手が震える
・顔が赤くなってしまう
・手足が震える
・異常に口の中が乾く
・緊張から汗をたくさんかく など

3.パニック障害

特定の対象などが理由で「強い不安や恐怖」に襲われてしまう状態です。主に、「パニック発作」・「予期不安」・「広場恐怖」の3種類の症状があります。

・パニック発作
特定の対象などが原因で「強い不安」に襲われたときや、緊張の糸が切れてホッとしたときなどに、突然激しいパニック状態に陥ります。同時に、めまいや動悸、震えや頻尿、発汗などが生じる場合もあります。大抵のパニック発作は5分~20分続き、自然に治まることがほとんどです。

・予期不安
パニック発作を経験してしまうと、「次はもっと激しい発作が起きるかもしれない」などと、強く不安を感じてしまいます。その不安が本人に常につきまとい、パニック発作の症状が緩和していても、「常に不安を感じている」状態が続くこともあります。

・広場恐怖
「以前パニック発作を経験した場所」や、発作が起きた時に「すぐに逃げられない場所」などに対して激しい不安を感じ、特定の場所を避けてしまう行動が広場恐怖です。例えば、次のようなケースが挙げられます。

・電車やバスなど、すぐに降りることができない空間が苦手
・パニック発作が起きたとき誰かにサポートしてもらえないので、一人で外出ができない
・一定の時間を過ごす美容室を避けたくなる など

4.全般性不安障害

様々なことが過度に心配になり、常に緊張している状態です。ただ心配するだけではなく、延々と考えてしまうため、次のような心身の症状が現れやすくなります。

・不安感が毎日続く
・「病気になってしまうのではないか?」などと、過度に心配をしてしまう
・自分自身で不安や心配の気持ちをコントロールできない
・落ち着きがなくなる
・集中力が低下する
・もうろうとする感覚がある
・自分の身体ではないように感じる
・緊張感が常にあるため、不眠になる など

5.解離性障害

極度の苦痛や体験などを受けた後、自分の精神が壊れてしまわないよう無意識に、辛い体験と現実を分離させようとする状態が生じてしまいます。具体的には、「苦痛を受けた際の記憶が無くなる」「痛みを感じなくなる」「別人のような言動を起こす」などの状態に陥ります。

※詳しくお知りになりたい方はこちら 解離性障害

解離性障害の代表的な種類として、次のようなものがあります。

・解離性健忘
特定の心的ストレスを感じた後、その際に体験した記憶や出来事を忘れてしまうことが特徴です。ほとんどの場合は一時的なケースが多く、数日のうちに記憶が戻ると言われています。しかし、中には時を経てもなかなか記憶が戻らない例もあります。

・解離性同一性障害
以前は、多重人格と呼ばれていた障害です。極度の苦痛や体験によるトラウマが原因で、複数の人格が一人の中に存在するような状態になります。例えば、普段の喋り方や声量が全く違う、誰かにのっとられたかのように人格が突然変わるなどの症状が現れます。

・離人症
「自分が自分なのだ」という感覚がなくなり、まるで自分の心や身体が他人になったかのように錯覚する状態です。また、自分のことを周囲から傍観しているような不思議な思いが生じます。

上記に記載した他にも、神経症には下記のような種類があります。また、神経症によっては、うつ病などを併発してしまう可能性の高い疾患も存在するので、注意が必要です。

・強迫性障害
・心気症
・気分変調症(抑うつ神経症)など

神経症の治療方法

神経症の治療で最も重要なのは、本人に「疾患に対する知識と理解」を持ってもらうことです。そのため、治療では主に、薬物療法と心理(精神)療法を行います。神経症の人は不安感が強い場合が多いため、まずはその症状を緩和するために、抗不安薬や抗うつ薬が用いられることが一般的です。また、緊張感や恐怖感などの影響で不眠症状が併発していることも少なくありません。その際は、睡眠薬を処方するケースもあります。

一方、神経症の人は物事を否定的に捉える考え方の癖が付いている場合も多いとされています。そのことがきっかけで不安や恐怖の症状が、より強く現れていることもめずらしくないのです。それゆえに、薬物療法と並行しながら心理療法を進めるのも良いでしょう。特に、心理療法のひとつである認知行動療法には有効性が示されています。

認知行動療法は、神経症の人の否定的な考え方の癖を修正し、より良い考え方へと導いて行く特徴を持ちます。認知行動療法を繰り返していくことで、症状の緩和が少しずつ見られていくことが多いのです。

神経症の治療方法

周りの方々へ

神経症は重篤な症状が出ない場合も多いことから、本人が受診をためらうことがあります。そのため、家族など身近にいる人が医療機関などに、本人への対応についてどうすれば良いのか、相談に訪れるのも効果的です。

専門家から神経症に関する知識を学ぶことによって、家族などの理解が深まり、本人への接し方も変化して行くでしょう。つまり、間接的に本人への支援が可能となるのです。それを続けるうちに、本人も受診のハードルが低くなり、直接的な治療につながる場合もあります。 専門的な家族療法で治療そしている専門機関では、本人が自信を持てるようになるために大変効果的なご家族へのアドバイスを出せる場合もあります。

周りの方々へ

2022.10.17  

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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