不眠症とは?

不眠症とは?主な原因や症状、治し方を解説

不眠症とは

不眠症とは、床に入ってもなかなか眠ることができなかったり、熟睡感がなかったりという症状のことを言います。このように睡眠に問題を抱えていると、日中に眠気に襲われてやる気が出ない、身体が疲れやすいなどの不調が生じやすくなります。

実際に、2017年に厚生労働省が行った調査によると、1ヶ月の間に睡眠が十分に取れていないと思うと答えた人は、約20%いることが示されました。この結果から、日本人で不眠に陥る人はめずらしくないということが分かるでしょう。

不眠症の原因

不眠症には、さまざまな原因が存在します。また、ひとつだけではなく、いくつかの原因が絡み合って不眠症が生じている場合もあるでしょう。以下に、考えられる不眠症の原因についてご紹介します。

身体的要因

風邪を引く、頭痛がするなど身体の調子が悪いときは、睡眠にも影響を及ぼすことがあります。例えば、痛みのせいで眠りにつくことが難しかったり、咳がひどくて途中で目が覚めてしまったりするケースも多くなるでしょう。また、年齢や性差が睡眠に関係する場合もあります。

精神的要因

基本的に、夜は副交感神経が活発になることでリラックスした状態になります。しかし、ストレスが溜まっていたり、悩み事があったりするときは、交感神経が優位になると言われています。交感神経が活性化すると緊張した状態になるため、睡眠を妨害する可能性が高くなるのです。

生理的要因

生活習慣によって、十分な睡眠が取れなくなる場合もあります。例えば、夜勤がある仕事で、帰宅後の朝~昼にかけて眠るという習慣を繰り返していると、体内のリズムが乱れてしまうことがあるでしょう。そのため、夜の眠るべき時間に眠ることができないという状況になるケースが存在します。

物理的要因

枕が変わると眠れないという話を聞いたことがある人は、多いでしょう。実際に、寝具や寝室を変えたり、引っ越しによって静かな場所から騒がしい場所へと周りの環境が変化したりすると、眠れなくなる場合があります。また、部屋の照明の明るさや暗さが関係するケースも少なくありません。

不眠症の影響

不眠症になると、日常生活にさまざまな悪影響を与えます。以下に、考えられる事柄をいくつか挙げてみましょう。

  • 頭痛やめまい、胃腸の違和感
  • 日中に眠気が襲い、何もできなくなる
  • 集中力や注意力が低下する
  • イライラしたり、不安感が生じたりする
  • 仕事でミスをする、運転中に集中できない
  • やる気が出ない など

不眠症の分類

不眠症の種類は、4つに分けることができます。それぞれのタイプについて、以下にお伝えします。

入眠障害タイプ

床に入ったのは良いものの、なかなか眠りに付けない状態を入眠困難と言います。大抵、横になってから30分〜1時間以上経っても眠れない場合は、このタイプに当てはまります。

熟眠障害タイプ

睡眠時間は十分に取っているにもかかわらず、ぐっすりと眠ったかんじがしないのが熟眠障害です。このタイプは、日中もぼんやりとした感覚が続くこともあります。

早朝覚醒タイプ

早朝(午前3時や4時頃)に目覚めてしまうタイプです。実際に起きる予定の時間より2時間以上早く起きてしまうことが続けば、早朝覚醒の可能性があります。目が覚めた後は、再び眠りに付くことが難しいのも特徴です。

中途覚醒タイプ

眠りに入ることはできても、途中で何度も目が覚めてしまう状態が中途覚醒です。中には、夜中に何十回と起きるケースもあります。

以上が不眠症のタイプですが、それらは単体で現れるとは限りません。複数が重なって生じる場合もあります。

不眠の治療法

不眠の治療法

生活習慣を改善する

生活習慣が影響して、不眠症に陥る場合は多いものです。例えば、日常生活が昼夜逆転していたり、寝る前にスマホなどの刺激の強い光を浴びたりすることが続くと、体内時計が乱れてしまう可能性があります。

体内時計は、日光によってリセットされます。つまり、朝の時間帯に起床して日光を浴びることが大切なのです。また、寝る前はブルーライトのような強い光を避け、ぬるめのお湯でゆっくりと入浴する(就寝1~2時間前)など、心身をリラックスさせることが大切です。

薬物療法

不眠症によっては、睡眠薬や抗不安薬を取り入れる場合があります。睡眠薬の種類は数多く存在しますが、当事者の不眠症のタイプに合わせて処方されるのが一般的です。例えば、入眠困難な方にはマイスリーやアモバンなど、寝付きを良くする薬が使われます。

また、不安や心配などが不眠に影響しているときは、気分を落ち着かせるために抗不安薬の服用を勧められるケースもあるでしょう。

心理療法

ストレスや心理的な問題が原因で不眠が生じている際は、当事者の考え方や捉え方にアプローチをする心理療法を用いることがあります。中でも、認知行動療法は不眠症に効果的だと言われています。

認知行動療法は、当事者の不適切な認知(考え方)のゆがみに着目し、より良い捉え方に修正していくことで問題(不眠症)を緩和する方法です。

最後に

なお、当センターでは不眠症の背景にはうつ状態があることが多いと考え、うつに適切なカウンセリング を行うことによって、気にする気持ちが緩み、安心感が増えよく眠れるように援助する方法で効果を上げています。

また、当センターでは、一人では頑張らず、身近な人の支えも得ながら治していく治療法をとっています。

2022.09.16  

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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