気分変調症とは?

気分変調症とは?

気分変調症とは?

気分変調症とは、抑うつ状態が長期間にわたって持続する状態の事をさし、持続性抑うつ障害とも呼ばれています。一日のほとんどをうつ気分で過ごすことから、以前は抑うつ神経症と言われていました。また、気分変調症は主観的な徴候が目立つことが多く、なかなか発見しづらい場合もあります。この記事では、気分変調症について詳しく解説します。

気分変調症の症状

気分変調症の代表的な症状としては、慢性的なうつ状態が最低でも2年以上持続することです。その他の症状としては、下記のようなものが挙げられます。

  • 食欲不振または過食
  • 睡眠困難でぐっすりと眠れない
  • 倦怠感や疲れやすさが生じる
  • 何かをする意欲がわかない
  • 自分に対して否定的になり、自尊心が低下する
  • 集中力が続かない
  • 判断力や決断力の低下
  • 生きる意味や自分の存在価値を見失い、絶望感に襲われる など

気分変調症は、上記の症状が2年以上続きます。しかし、重症ではないことが多いため、当事者も自身の性格によるものだと勘違いしやすく、病気の発見が遅れる場合も少なくありません。

気分変調症とうつ病の違いとは

「持続性抑うつ障害」とも呼ばれている事から、うつ病と同じだと思っている人も多いかもしれませんが、気分変調症とうつ病は明確に区別されています。うつ病は、強いストレスなどによって脳内の神経伝達物質であるセロトニンと、ノルアドレナリンが減少することで発症すると考えられています。また、そのまま放置すると重症化する恐れも否めません。

一方、気分変調症は、無気力感や生きる価値を見失うなどの症状はうつ病と同様ですが、症状の程度は軽度で、その状態が2年以上慢性的に持続します。さらに、症状が引き起こされる直接的な原因がはっきりしているケースも、多いと言われています。

気分変調症の原因

気分変調症の大きな発症原因としては、ストレスです。特に、日頃から関わることの多い人との関係性の変化や、自分が置かれている環境の変化なども気分変調症を発症する原因につながります。また、環境や人間関係の変化により、ストレスのはけ口がなくなったり、社会的な孤立感を強く感じたりすることによって、徐々に気分変調症の症状が表面化してくる場合もあるでしょう。

さらに、愛する人との死別や別れから来るストレスや、一見幸せにみえる結婚や引っ越しなどの変化も気づかないうちにストレスとなっているケースが存在し、慢性的なうつ状態へ移行してしまう可能性もあります。この他にも、身体的な疲労や疾患などが発症原因に繋がっている場合が指摘されています。

気分変調症の検査や診断

気分変調症は、「DSM-5」の診断基準を参考に、下記の症状が2年以上継続しているかどうかで判断します。

(DSM-5診断基準引用) A:抑うつ気分がほとんど1日中存在し、それのない日よりもある日の方が多く、その人自身の言明、または他者の観察によって示され、少なくとも2年続いている

B:抑うつの間、以下のうち2つかそれ以上が存在する
① 食欲の減退または増加
② 不眠または過眠
③ 気力の減退または疲労感
④ 自尊心の低下
⑤ 集中力の低下または決断困難
⑥ 絶望感

C:この症状の2年の期間中、2ヶ月を超える期間で基準AまたはBの症状がなかったことがない
D:2年間、うつ病の基準を持続的に満たしているかもしれない
E:躁病エピソードまたは軽躁病エピソードが存在した事は1度もなく、また気分循環性障害の基準を満たしたこともない
F:障害は、統合失調症、妄想性障害、その他の特定不能の統合失調症スペクトラム障害やその他の精神病症状では説明できない
G:物質または他の医学的疾患の生理学作用によるものではない

気分変調症の治療方法

気分変調症の治療方法には、大きく分けて「薬物療法」「家族療法」「認知行動療法」の3種類が存在します。

気分変調症の治療方法

薬物療法

気分変調症は、何らかの強いストレスがかかることによって発症すると言われています。強いストレスが加わると、うつ病と同様に脳内のセロトニンやノルアドレナリンのバランスが乱れてしまい、精神状態をコントロールするのが難しくなります。そのため、まずはうつ気分を改善させるために、「三環系抗うつ薬」や「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」などの薬を使用し、改善を図ります。

家族療法

家族療法の中にも色々ありますが、当センターの家族療法は気分変調症や出社拒否、うつなどに最適な治療法になっています。気分変調症に陥りやすい人の性格と特徴を徹底的に研究した中から生まれてきたもので、その人の持ち味からプラス面をいかに伸ばすか?の工夫がされています。ただし、一人で治すスタイルではないので、本人の親御さん、または配偶者の方々の治療意欲が高いときにはとても有効ですが、そうでないときには、使えない治療法です。

認知行動療法

認知行動療法は、精神的な病気全般の治療方法として採用されているものでもあり、非常に効果的なアプローチ方法です。患者さん自身の悲観的に物事を捉えてしまう認知の歪みを修正し、長所を引き出しながら解決に向かえるようにしていきます。また、この認知行動療法は気分変調症から回復した後に、患者さんが生活の中でストレスにさらされることがあっても、自分自身で対処していける力を身につけることが可能となります。

気分変調症になりやすい人の特徴

気分変調症は、一般人口の5~6%の人が経験すると言われています。気分変調症はやや女性が発病しやすく、未婚の若い人や低所得者にも多い疾患です。また、ストレスを適度に発散させる習慣がない人や、物事を悲観的に感じやすい人も注意が必要です。

まとめ

気分変調症:まとめ

気分変調症は、うつ病と似た症状が出現するため、最初にうつ病と判断された後に、気分変調症と診断されるケースもあります。しかし、気分変調症とうつ病は明確な違いがあり、治療を行う上でのアプローチ方法も異なります。そのため、症状が持続的に2年以上続いている場合は、早めに適切な治療を行うことが重要になるのです。

2022.10.08  

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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