自律神経失調症とは?
主な原因や症状、治し方を解説

自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れて頭痛や動悸などの症状が出ている状態

自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れて頭痛や動悸などの症状が出ている状態を指します。自律神経失調症を治すためには、治療方法や予防方法などの正しい知識を知っておくことが大切です。

本記事では、自律神経失調症の原因や主な症状、対処方法などを解説します。自律神経失調症の予防方法も紹介しているので、ぜひ役立ててください。

自律神経失調症とは

自律神経失調症の主な原因はストレスや環境・生活習慣の変化、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。主な症状はめまいや頭痛、耳鳴り、動悸、関節痛、発汗、肩こりなどです。

自律神経は人間の意思と関係なく24時間働き続ける神経です。

自律神経とは体を動かしているときに活発になる交感神経と、安静にしているときに活発になる副交感神経の、2つの神経のことで、消化器・呼吸器・循環器などの活動を調整し、支える役割があります。

正常な状態では交感神経と副交感神経の均衡が保たれていますが、生活習慣の乱れや過度なストレスなどが原因でバランスを崩してしまいます。自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまった状態のことです。

自律神経失調症の主な原因はストレスや環境・生活習慣の変化、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。主な症状はめまいや頭痛、耳鳴り、動悸、関節痛、発汗、肩こりなどです。

自律神経失調症の症状はさまざまな種類があり、どのような症状が出るのかは人によって異なります。ストレスを感じたりホルモンバランスの乱れた期間には何もなくても、時間差で症状が現れることもあります。さらに複数の症状が同時に見られたりするケースもあります。自律神経失調症の主な原因や症状の詳細は、以下で解説しているのでチェックしておきましょう。

主な原因

自律神経失調症の主な原因はストレス、環境の変化、ホルモンバランスの乱れなどです。それぞれ内容を確認していきましょう。

ストレス

過度なストレスを受けたときに、自律神経失調症になってしまうことがあります。ストレスの種類もさまざまで、人間関係のストレスもあれば、職場で重要な役割、仕事を任されたときのプレッシャー、五感に刺激になる光・音などから受けるストレスなどが挙げられます。

適度なストレスは集中力を高めてくれるなどのメリットがありますが、過度なストレスは自律神経失調症の原因になるため注意が必要です。

環境の変化

環境の変化が原因で自律神経失調症になる方も少なくありません。環境の変化の例として職場が変わったり、引越しをしたりすることなどが挙げられます。このように生活環境が大きく変わったときに、自律神経失調症にかかりやすいとされています。

環境が変化すると、知らない間に心や体に負担がかかっていることもあるので、注意しましょう。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスが崩れると、自律神経失調症を引き起こす場合があります。女性の場合は、生理中や更年期障害などのときに女性ホルモンのバランスが乱れやすいです。男性は、年齢を重ねる度に男性ホルモンが減少すると考えられており、加齢によるホルモンバランスの乱れが自律神経失調症の原因になる可能性があります。

生活習慣の変化

偏った食生活や慢性的な寝不足、長時間睡眠などによる生活習慣の変化が、自律神経失調症につながる場合があります。生活習慣の変化によって、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなるため、自律神経失調症を発症しやすくなります。

不規則な生活習慣は自律神経のバランスを乱す原因になるため、規則正しい生活を意識しましょう。

主な症状

自律神経失調症の症状は、精神的症状と身体的症状の2種類に分けることができます。症状は異なるものが別々に現れたり、同時に複数の症状が見られたりする場合があります。実際に見られる症状の種類や現れるタイミングなどは、人によって異なる場合も珍しくありません。

以下ではそれぞれの症状の特徴を解説します。

精神的症状

まず精神的症状の一例を紹介します。

  • 情緒が不安定になる
  • 落ち着きがなくなる
  • やる気が起きなくなる
  • 記憶力や集中力が低下する
  • イライラする
  • 不安を感じやすくなる など

精神的症状は他の精神疾患の症状にも似ているため、診断が難しいとされています。

身体的症状

身体的症状の例は、こちらのとおりです。

  • 頭痛
  • 肩こり
  • 便秘・下痢
  • めまい・立ちくらみ
  • 耳鳴り
  • 息切れ
  • 生理不順 など

身体的症状が出る範囲は全身にわたります。放置すればさらに症状が悪化して仕事や家事ができなくなる可能性もあるので、当てはまる症状がある場合は医療機関を受診しましょう。

自律神経失調症の種類

自律神経失調症は原因別に種類が分けられています。以下では4種類の自律神経失調症の特徴や原因を解説します。

本態性自律神経失調症

本態性型自律神経失調症は体力に自信が持てない方や、低血圧の方などがかかりやすいです。発症する原因としては生まれつきの虚弱体質が挙げられます。元々虚弱体質の方は交感神経と副交感神経のバランスが崩れやすく、自律神経失調症に発症しやすくなります。

本態性型自律神経失調症はストレスとの相関関係は見られません。

神経症型自律神経失調症

神経症型自律神経失調症はメンタル面の浮き沈みによって、症状が現れたり消失したりする場合があります。神経症型自律神経失調症はどうにもならないことを思い悩んでしまう傾向がある方や、体の不調に敏感に反応しすぎる方に多く見られる自律神経失調症です。発症の原因はメンタル面の問題が挙げられます。

心身症型自律神経失調症

心身症型自律神経失調症は自律神経失調症を発症する方の多くが該当するタイプです。日常的なストレスを感じているものの無理に抑え込んでしまっていることが、心身症型自律神経失調症を発症する原因になっています。

ストレスの種類などによって発症時に現れる症状は異なり、精神的症状と身体的症状の両方が見られます。

抗うつ型自律神経失調症

抗うつ型自律神経失調症は何事にも完璧を求める方や、些細なことが気になる几帳面な方に多いとされている自律神経失調症です。ストレスの蓄積に起因していることは心身症型自律神経失調症と似ていますが、抗うつ型自律神経失調症はストレスを溜め込むことで、うつ症状が現れます。

心身症型自律神経失調症を発症した方のなかには、重症化して抗うつ型自律神経失調症になる方もいます。

自律神経失調症の検査・治療方法とは

自律神経失調症の検査や具体的な治療方法を以下で詳しく解説します。

検査方法

自律神経失調症の原因を判断するために、さまざまな検査を行います。自律神経失調症の疑いがある場合に実施される検査は、以下のとおりです。

  • 心電図
    心電図は、横になっている状態と立ち上がったときの心臓に異常が見られないかを確認するための検査です。起立したときに心電図の波形が大きく乱れると、自律神経失調症の可能性が高まります。
  • エコー検査
    エコー検査は、超音波を用いて臓器の状態を画像で確認できる検査です。心臓系の病気をはじめ、他の病気の可能性を除外するために用いられます。
  • 心理検査
    心理検査は、ストレスやストレス耐性を探るために実施される心理テストです。
  • シェロング起立試験
    横になった状態と立ち上がったときの血圧を計測する検査です。自律神経が乱れている場合は、血圧が下がる傾向があります。

自律神経失調症に見られる症状は他の病気とも似ているため、診断が難しいと考えられています。上述した検査の実施によって他の病気の可能性を取り除くことができます。

治療方法

自律神経失調症の治療方法は主に薬物療法と精神療法の2種類があります。

薬物療法

薬物療法は投薬によって現れた症状の緩和を目指すための治療法です。自律神経の乱れで現れた症状を緩和させることで、体の不調に敏感に反応し、症状がさらに悪化するのを防ぐ役割があります。

薬物療法に用いられる薬には自律神経調整薬や抗不安薬、睡眠薬などが挙げられます。不安やうつ症状が見られる場合は抗不安薬や抗うつ薬など、不眠の方には睡眠薬が処方されます。薬の処方は実際に見られる症状に対して効果が期待されるものが処方されるため、診察の際に症状を正しく伝えることが重要です。

薬物療法による治療が行われた場合は、医師の指示に従って薬を飲用しましょう。処方される薬のなかには、長期間服薬しすぎると依存性が高まるものや、継続的に投薬しなければ効果が現れないもの、副作用を持つものもあります。そのため自己判断で薬を多めに飲んだり、飲むことを中止したりしないように注意しなければなりません。

精神療法

精神療法はストレスの蓄積などによって、メンタル面のダメージが大きい方を対象に行う治療法です。精神療法ではストレスによる不安感などの負担を軽減させることを目指しています。ストレスの要因は人間関係の悪化や生活環境の変化、仕事でのプレッシャーなど、さまざまです。

ストレスを発散するためには、自分がリラックスできる好きなことをする時間を作ることが大切です。具体的には読書や瞑想、音楽鑑賞、十分な睡眠をとるなど、リラックスできることを生活に取り入れていく方法があります。

ただし飲酒や暴飲暴食、ギャンブルなどの頻度が高まると、依存症や摂食障害などの別の問題を起こしかねません。読書や音楽鑑賞などのデメリットがないものを継続的に行うようにしましょう。

過去のトラウマが原因で自律神経失調症を発症している場合は、より専門的な治療法が求められます。例えば、自律神経失調症の要因になっているトラウマを探り、トラウマが自律神経失調症につながっているという思い込みをなくすための治療が行われます。

またストレスを感じたときにどのように解消すればいいのか、不安に押しつぶされそうになったときに、どのように対応すればいいのかなど、自律神経失調症との向き合い方を教えてもらえます。

精神療法によってストレス耐性を高めることができれば、自律神経失調症を再発するリスクを未然に防ぐことも可能です。

自律神経失調症の予防方法を紹介

自律神経失調症は自分で予防することができます。以下の方法を参考に実践してみてください。

生活習慣を見直す

自律神経失調症にならないようにするためには、規則正しい生活を心がけましょう。生活習慣が乱れると自律神経のバランスも崩れやすくなります。規則正しく過ごすことでバランスのとれた生活を送れるようになります。

生活習慣を見直す際は運動の頻度や十分な睡眠がとれているかをチェックしましょう。運動する機会がない場合は日中に体を動かす習慣を取り入れます。運動する時間がない方は、通勤・通学の際に一駅手前で降りて徒歩で帰宅する、エレベーターではなく階段を使う、自転車で通勤・通学するなども一つの方法です。

また十分な睡眠をとって前日の疲れを癒やし、朝起きてから窓を開けて日光を浴びることで、体内時計をリセットできます。特に朝に日光を浴びると、抗ストレス作用が期待されているセロトニン(神経伝達物質)が分泌されるため、自律神経のバランスを維持しやすくなります。

食習慣を改善する

自律神経失調症を予防する上で栄養バランスのとれた食事をとることが大切です。食習慣を改善する場合は三大栄養素の炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスを考えたメニューを心がけましょう。

栄養バランスのとれた食生活を送ることで、セロトニンを活性化させることができます。セロトニンは、副交感神経の機能を高める働きがあります。他にもカルシウムや食物繊維の摂取も副交感神経の機能を活発化するのに有効とされています。

肉・魚・卵などのたんぱく質や、納豆・みそ・ヨーグルトなどの発酵食品は、交感神経と副交感神経の両方の機能を高めたいときにおすすめです。一方で食生活が乱れると自律神経を活性化できなくなり、結果的に自律神経失調症を引き起こしやすくなる場合があります。例えば朝食抜きや暴飲暴食、偏った食事などに注意しましょう。

ストレスをためない・発散する

自律神経失調症を予防するには、ストレスを蓄積しないように定期的に発散する習慣をつけることが大切です。適度なストレスは集中力や緊張感を高める上で良いとされています。しかし過度なストレスを受けた際に無理に自分のなかで抑え込もうとすれば、自律神経のバランスが崩れて自律神経失調症を発症してしまうでしょう。

運動やストレッチ・マッサージなどは、ストレス発散におすすめです。また不安や悩みを一人で抱え込まずに、周囲の人に相談しましょう。自分にあったリラックス方法を日常生活に取り入れてみてください。

まとめ

主な治療方法は自律神経調整薬などを使用する薬物療法や、メンタル面のケアを行う精神療法の2つに分けられます。自律神経失調症を予防するためにも規則正しい生活を意識し、生活習慣や食習慣を見直してストレスをためないようにしましょう。

自律神経失調症は交感神経と副交感神経の2種類の神経からなる自律神経のバランスに支障が出ることで、精神的・身体的な症状が出る疾病です。生活習慣の乱れや過度なストレスの蓄積などが原因とされています。

主な治療方法は自律神経調整薬などを使用する薬物療法や、メンタル面のケアを行う精神療法の2つに分けられます。自律神経失調症を予防するためにも規則正しい生活を意識し、生活習慣や食習慣を見直してストレスをためないようにしましょう。

2022.09.06  

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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